つばめろま〜なから、なにかを知りたい貴方へ。
広告ディレクターの馬場マコト氏による、昨年出版された「戦争と広告」にも登場した、花森安治の足跡をたどった伝記小説です。
私はこの1冊を読むまで、花森という人のことを知りませんでしたが、「暮しの手帖」創刊時からの編集長として有名な文化人だったようです。「戦争と広告」での主人公、山名文夫のことも本を読むまで知らなかった私は、広告業界にいながら無知な奴であると、あらためて思いました。現役の広告マンのこともよく知らないし、あまり興味もないのですが。
さて、著者の馬場さんとは、幸運なことに何度か一緒にお仕事をさせていただいたことがありますが、さすがにしっかりと芯の通ったクリエイティブをされる方です。大先輩の仕事ぶりを見るだけで、広告制作の面白さと厳しさを教えられる感があります。
その馬場さんがいま、さらに先建クリエイターたちの生き様について振り返り、著作として発表されるのは、広告とか出版とかの業界にいる後輩たちへ伝えたい、強いメッセージであると思っています。広く一般の人が読んでもおもしろく考えさせられる本だと思いますが、やはりメインターゲットはそこでしょう。
あとがきで、今はきな臭い世の中になってきているが、戦争は決して起こしてはいけない、なぜなら戦争が起これば嫌だと思ってもそれに加担せざるを得ないから、というように書かれています。
平和な世を生きて来た私達が、そんなことはないと思っていても、花森の生涯を見ればわかるだろうと、つきつけてきます。もともとリベラルな思想の持ち主であった花森が、戦争を鼓舞するのための宣伝に尽力した。そのあたりのメッセージ性は、前作の山名文夫の生きざま以上に明確に伝わって来ました。
戦争というものが人間に与える影響の大きさ。それは体と心に刻まれる、完治することのない大きな傷です。もちろん、その時代に生きる人は、それなりに幸せや充実などを覚えることもあるでしょうが、自由を制約された中での幸福は、真の幸福ではあり得ないものです。
自然災害や人的災害も、同じように人間に不幸をもたらすということを、今年私たちは再認識させられたわけですが、戦争というものは避けようのない災害ではなく、人間の意志によって起こされる不幸である、そこが根本から違うのです。
民主主義は、民衆のための思想である、しかし民衆は、時代に流されるものである。戦前から戦中の世の中に流された花森を、戦後の全共闘時代に流された馬場さんが語ると、非常に説得力があります。
私は子供のころに左翼活動家たちのレジスタンスに憧れの目を向け、革命家になりたいなどとも思いましたが、一人で行動できる齢になった時には、そうした空気は社会になくなっていました。なんとなく、体制には騙されないぞ、資本主義には躍らされないぞ、という意志だけをもちながら、それを行動で示すような場がありませんでした。私は、時代の喪失感に流されてきたのかもしれません。
その間にも、民衆は経済中心に流されてきました。日本列島改造計画、バブル経済、小泉構造改革(新自由主義経済)。そんな中で危うく育ってきたのが、原発依存のエネルギー政策だったり、偏向した愛国心や国粋主義だと思います。また、今の反原発の潮流にしても、本当にライフスタイルを根本から変える気がなければ、一過性で終わってしまうでしょう。
戦後66年経って、結局のところ理想の世界などまったく実現していない、その方向さえ定まらないのは不思議とすら思えます。いまこそ、次の世代へとつなげるための、民衆の意識を変えるための、優れた思想とそれを広めて告げる広告が必要なのかもしれません。
花森の「暮しの手帖」もそうした民衆の意識を変えるための一運動でしたが、もっと大きなものを作ろうではないかと、馬場さんもそこまでのメッセージを送ってきたのではないでしょうが、そこまで行って欲しいですよね。いや、誰にもなんの影響力もない(悲しいかな行動力もない)私などは、残念ながら他人事のようにしか言えないのですが。
広告人だった山名文夫は、クライアントがあって作り発信し続けた。出版人となった花森安治は、広告を取らずに読者のために作り発信し続けた。この違いがなにより大きく、馬場さんは広告人ですが、小説家という自己表現者でもあるわけで、「戦争と広告」の派生続編ではない、対象的な生きざまを描かずにいられない動機となり、自らの想いを世に問おうとしたのかなと思いました。
そんなふうに問われれば、とても意義のある1冊でした。白水社の刊ということで、どれだけ発行されたか分かりませんが、力のある広告人、出版人の多くに届けばと思います。でも、発売日の朝に汐留の電通本社ビルの下の本屋に行ったのですが、見つからなかったのですよ…。
白水社の本書紹介ページ

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私はこの1冊を読むまで、花森という人のことを知りませんでしたが、「暮しの手帖」創刊時からの編集長として有名な文化人だったようです。「戦争と広告」での主人公、山名文夫のことも本を読むまで知らなかった私は、広告業界にいながら無知な奴であると、あらためて思いました。現役の広告マンのこともよく知らないし、あまり興味もないのですが。
さて、著者の馬場さんとは、幸運なことに何度か一緒にお仕事をさせていただいたことがありますが、さすがにしっかりと芯の通ったクリエイティブをされる方です。大先輩の仕事ぶりを見るだけで、広告制作の面白さと厳しさを教えられる感があります。
その馬場さんがいま、さらに先建クリエイターたちの生き様について振り返り、著作として発表されるのは、広告とか出版とかの業界にいる後輩たちへ伝えたい、強いメッセージであると思っています。広く一般の人が読んでもおもしろく考えさせられる本だと思いますが、やはりメインターゲットはそこでしょう。
あとがきで、今はきな臭い世の中になってきているが、戦争は決して起こしてはいけない、なぜなら戦争が起これば嫌だと思ってもそれに加担せざるを得ないから、というように書かれています。
平和な世を生きて来た私達が、そんなことはないと思っていても、花森の生涯を見ればわかるだろうと、つきつけてきます。もともとリベラルな思想の持ち主であった花森が、戦争を鼓舞するのための宣伝に尽力した。そのあたりのメッセージ性は、前作の山名文夫の生きざま以上に明確に伝わって来ました。
戦争というものが人間に与える影響の大きさ。それは体と心に刻まれる、完治することのない大きな傷です。もちろん、その時代に生きる人は、それなりに幸せや充実などを覚えることもあるでしょうが、自由を制約された中での幸福は、真の幸福ではあり得ないものです。
自然災害や人的災害も、同じように人間に不幸をもたらすということを、今年私たちは再認識させられたわけですが、戦争というものは避けようのない災害ではなく、人間の意志によって起こされる不幸である、そこが根本から違うのです。
民主主義は、民衆のための思想である、しかし民衆は、時代に流されるものである。戦前から戦中の世の中に流された花森を、戦後の全共闘時代に流された馬場さんが語ると、非常に説得力があります。
私は子供のころに左翼活動家たちのレジスタンスに憧れの目を向け、革命家になりたいなどとも思いましたが、一人で行動できる齢になった時には、そうした空気は社会になくなっていました。なんとなく、体制には騙されないぞ、資本主義には躍らされないぞ、という意志だけをもちながら、それを行動で示すような場がありませんでした。私は、時代の喪失感に流されてきたのかもしれません。
その間にも、民衆は経済中心に流されてきました。日本列島改造計画、バブル経済、小泉構造改革(新自由主義経済)。そんな中で危うく育ってきたのが、原発依存のエネルギー政策だったり、偏向した愛国心や国粋主義だと思います。また、今の反原発の潮流にしても、本当にライフスタイルを根本から変える気がなければ、一過性で終わってしまうでしょう。
戦後66年経って、結局のところ理想の世界などまったく実現していない、その方向さえ定まらないのは不思議とすら思えます。いまこそ、次の世代へとつなげるための、民衆の意識を変えるための、優れた思想とそれを広めて告げる広告が必要なのかもしれません。
花森の「暮しの手帖」もそうした民衆の意識を変えるための一運動でしたが、もっと大きなものを作ろうではないかと、馬場さんもそこまでのメッセージを送ってきたのではないでしょうが、そこまで行って欲しいですよね。いや、誰にもなんの影響力もない(悲しいかな行動力もない)私などは、残念ながら他人事のようにしか言えないのですが。
広告人だった山名文夫は、クライアントがあって作り発信し続けた。出版人となった花森安治は、広告を取らずに読者のために作り発信し続けた。この違いがなにより大きく、馬場さんは広告人ですが、小説家という自己表現者でもあるわけで、「戦争と広告」の派生続編ではない、対象的な生きざまを描かずにいられない動機となり、自らの想いを世に問おうとしたのかなと思いました。
そんなふうに問われれば、とても意義のある1冊でした。白水社の刊ということで、どれだけ発行されたか分かりませんが、力のある広告人、出版人の多くに届けばと思います。でも、発売日の朝に汐留の電通本社ビルの下の本屋に行ったのですが、見つからなかったのですよ…。
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1回目から聴きに行ってますが、今回が19回目だそうです。
1日目(ラジオ)と2日目(ホール会場)の感想などなど書きます。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
10月7日(土)FMラジオ聴取
今年の横浜ジャズプロムナード、初日は所用ができて聴きに行くことができませんでした。ただ、NHK横浜FMでジャズプロと連携した生放送があったので、家でそちらを聴くことに。とてもジャズプロ気分を味わえるように考えられたプログラムで、十分に楽しめました。
■吉野弘志 彼岸の此岸
吉野弘志(b)太田恵資(vl)鬼怒無月(g)吉見征樹(tab)
打楽器としてタブラをフィーチャーした、エスニックなサウンド。ジャズのワールドミュージックな面を前面に出した好演奏には、なんでもありの横濱ジャズプロならではの魅力が出ていました。
■五十嵐はるみ & THE HOT GANG
五十嵐はるみ(vo)岡本洋(p)早川哲也(b)平山惠勇(ds)佐野 聡(tb)
キュートな声が魅力の女性ボーカル。ちょっと気取った艶っぽいボーカルは苦手なので、この人は良かったです。ジャズのスタンダードの他、ユーミンの「チャイニーズ・スープ」や、CMソング「ウィスキーがお好きでしょ」など、日本語の歌が歌謡曲とは違った音楽性があって素敵でした。
■北浪良佳 ユニット
北浪良佳(vo)宮川純(p)中林薫平(b)小前賢吾(ds)
この日の一番のお目当ては、数年前に板橋文夫と一緒にやっていた良佳さん。ちょっとハスキーな声でオペラ仕込みの歌唱力、独自性を追求する音楽性、モデルもやっていた美しい容姿と、天然ボケなキャラが魅力的なシンガーですが、放送でも容姿以外の全てが炸裂していました!「赤とんぼ」など、歌もバックの演奏も素晴らしかった。同時に、遅刻ぎりぎりで間に合ったエピソードなども楽しかったのでした。
■小山太郎 カルテット
小山太郎(ds)川嶋哲郎(ts)スガ・ダイロー(p)生沼邦夫(b)
モダンに少しフリー要素も加味した感じの演奏でしたが、安定した演奏でノリが良かったです。このあたりは、生で見ながら聴くのが一番なんだよなぁと思いながら。
放送は出演者の話や、街角でのお客さんやボランティアインタビューなども織りまぜて雰囲気が伝わるものでした。また、この出演者を選んだジャズプロのディレクター・柴田浩一氏が、解説もしてくれながらの放送でした。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
10月8日(日)
まずは関内の駅前で前売りチケットとバッジを交換します。直接会場に行っても良いのですが、なにかここを通らないとはじまりの気分が盛り上がらないので。

関内ホール・小ホール
前の記事で不満を書きましたが、今回は同じ時間に聴きたいものが重なってしまうということで、それなら1箇所で動かずに通してやろうと意を決しての、体には楽なプログラムで聴きました。ただしこのホールのイスは長時間はきついのですが。

■ヒカシュー
巻上公一(vo,etc)三田超人(g)坂出雅海(b)清水一登(p)佐藤正治(ds)
ヒカシューもジャズプロ出演3回目となり、やっと抵抗感少なく受け入れられるようになってきた、のかもしれません。1回目・2回目は、途中で席を立つ人が多かったですが、この日は、ヒカシューを聴きたいというファンが増えてきたような印象が感じられました。
それほどに刺激的な演奏、自由な音楽世界が繰り広げられます。面白すぎです。むしろ、それこそがジャズの本質であります。シベリアツアーから帰ってきたなかり、向こうでも同じスタイルで演奏してきたということで、やはり本質的な音楽は国や文化を超えるということでしょう。メンバー各人のパフォーマンスが素晴らしく、それでいてバンドとしてのまとまりがあるから、何が起こっても安心です。
ジャンルとか先入観にとらわれてはいけません。聴く方にも、音楽を自由に楽しむ資質が問われるのです。ジャズプロムナードは、そうしたファンを育てられなければいけないのです。
ステージチェンジの間に昼食です。時間がかからず食べられるということで、ここ数年はこの博多ラーメンです。
ジャズプロも観客が増えて、会場が満員で入れないという話をよく聞くようになりましたが、私はまだ一度もありません。それは、早目に行くからです。始まる30分も前なら、人気のある人のライブでもまず大丈夫ではないでしょうか。

■田中信正 KARTELL + 神田佳子
田中信正(p)山田晃路(b)大槻カルタ英宣(ds)神田佳子(per)
神田さんは現代音楽の打楽器奏者だそうです。妻が以前にクラシックオルガンとの競演に感動してきたので、ジャズプロに出演するならぜひ聴いてみたいと。
とはいっても、異種格闘技的な感ではなく、ジャズの演奏の中に入ってしまえば普通に溶け込んでいます。マリンバを中心にいろいろな打楽器が使い、もちろん演奏者の音楽家としての個性や実力は光っていましたが。
違和感を感じさせないのは、田中トリオの安定感あってのことかもしれません。ミュージシャン同士の信頼感あってこそ成り立つ世界ですから。気持ち良い演奏でした。
■沖至 UNIT
沖至(tp)林栄一(as)川崎知(ts)羽野昌二(ds)井野信義(b)
このセッションは、初聴きとなるヨーロッパで活躍の沖さん、一番好きなベーシストの井野さん、いろいろなグループで聴く林さんはさておいて、羽野さんが一番の目当て。ずいぶん前になりますが、知り合いの詩人・パフォーマーの女性と羽野さんがデュオをしたのを見に行って、終わったあとで少しお話するチャンスがあり、音楽観に感銘を受けたのです。その後ジャズプロでドイツのブロッツマンとの競演を聴いてから、実に久々でしたから。席も最初からドラムが見やすい位置で。
演奏は完全にフリースタイル、各人が好きに演奏して全体としてどんな世界観が出来上がるかというのが見物ですが、ホーンだけではバラバラに分解していく感じ、それをドラムがつなぎとめてる、ドラムも好き勝手に叩いて入るのですが、力技でまとめ上げているところが凄く面白かったです。
ドラマーでは、森山威男さんや小山彰太さんが好きですが、彼らとはまったく違ったスタイルの、常に自己表現を目指す羽野さんは、目が離せない人です。

■鬼武みゆき with Friends
鬼武みゆき(p)グラストン・ガリッツァ(vo,g)鳥越 啓介(b)
岩瀬 立飛(ds)ゲスト:Saigenji(vo,g)
いつもならばこの時間から板橋文夫さんを聴きに行くのですが、今回はあえてこちらに。このメンバーで素敵な演奏が聴けるのは保証書付き、ガリッツァさんは3年連続となりますが今後も聴くことがあるかはわかりませんし。
という期待以上のステージでした。鬼武さんとガリッツァさんも2度目となり、アルバムを作ったり全国ツアーに行ったりとすっかり2人の音楽性が融合して新しいもの世界が生まれたという演奏。聴いていて心が平和になる、幸福になる、でも耳には刺激的で楽しく。素晴らしい。
ゲストのSaigenjiさん(日本人)もまた同じベクトルの世界観と音楽性を持つ人で、美しい世界をさらに優しくしていきました。ベースとドラムも良い腕で盛り立てていましたし、誰もがこの場にいられて幸せだったと感じるだろう、奇跡的な出会いだったように思います。
■赤松敏弘(vib)道下和彦(g)ユキ・アリマサ(p)TWIN DUO×TRIO
いつもは板橋オーケストラで賑々しく終わることの多いジャズプロですが、今年は最も心地よいサウンドで心静かに終わりました。
赤松さんと道下さんのデュオをはじめて聴いたのが第2回ジャズプロ、はまぎんホール。広めの会場にお客さんが少しだけで閑散としていたことを覚えています。でも演奏は素晴らしくて、翌年からも赤松さんを探して時間さえ合えば聴き続けてきました。その2人も13年ぶりの再会だそうです。当時とはずいぶんルックスが変わりましたが、美しい音の世界は外見と同じくふくよかになった気がします。
そしてアリマサさんを含めたトリオの演奏、これもジャズなんだよなぁと。いや、一般の人からするとこれがジャズのいめーじなのかもしれませんが、私にとってはこちらがかえって新鮮だったりもするのでした。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
FMの放送でジャズプロのディレクター・柴田氏が、年配者だけでなくもっと若い人に聴きに来て欲しいということを言ってましたが、各会場の客層を見ればまさしく。そのためにはやはり、もう少しイベント全体のプログラムを考えた方が良いと思います。
初期のジャズプロではそんな意識的なプログラムが多かったと思うのです。今の50歳も、ジャズプロ第一回の時は31歳の若者だったわけで。新しいファン層の獲得には、なにか新しい血の導入が必要かもしれません。スタッフも、出演者も・・もちろん、個々の演奏では若い人を起用したりと考えられていますが、もっとフェスティバルでしかできない企画的なこと、音楽のジャンルを超えたようなものなのだと思います。私は1ファンに過ぎませんが、考えて提案してみるのも良いかな、などと思っているのですが。

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1日目(ラジオ)と2日目(ホール会場)の感想などなど書きます。
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10月7日(土)FMラジオ聴取
今年の横浜ジャズプロムナード、初日は所用ができて聴きに行くことができませんでした。ただ、NHK横浜FMでジャズプロと連携した生放送があったので、家でそちらを聴くことに。とてもジャズプロ気分を味わえるように考えられたプログラムで、十分に楽しめました。
■吉野弘志 彼岸の此岸
吉野弘志(b)太田恵資(vl)鬼怒無月(g)吉見征樹(tab)
打楽器としてタブラをフィーチャーした、エスニックなサウンド。ジャズのワールドミュージックな面を前面に出した好演奏には、なんでもありの横濱ジャズプロならではの魅力が出ていました。
■五十嵐はるみ & THE HOT GANG
五十嵐はるみ(vo)岡本洋(p)早川哲也(b)平山惠勇(ds)佐野 聡(tb)
キュートな声が魅力の女性ボーカル。ちょっと気取った艶っぽいボーカルは苦手なので、この人は良かったです。ジャズのスタンダードの他、ユーミンの「チャイニーズ・スープ」や、CMソング「ウィスキーがお好きでしょ」など、日本語の歌が歌謡曲とは違った音楽性があって素敵でした。
■北浪良佳 ユニット
北浪良佳(vo)宮川純(p)中林薫平(b)小前賢吾(ds)
この日の一番のお目当ては、数年前に板橋文夫と一緒にやっていた良佳さん。ちょっとハスキーな声でオペラ仕込みの歌唱力、独自性を追求する音楽性、モデルもやっていた美しい容姿と、天然ボケなキャラが魅力的なシンガーですが、放送でも容姿以外の全てが炸裂していました!「赤とんぼ」など、歌もバックの演奏も素晴らしかった。同時に、遅刻ぎりぎりで間に合ったエピソードなども楽しかったのでした。
■小山太郎 カルテット
小山太郎(ds)川嶋哲郎(ts)スガ・ダイロー(p)生沼邦夫(b)
モダンに少しフリー要素も加味した感じの演奏でしたが、安定した演奏でノリが良かったです。このあたりは、生で見ながら聴くのが一番なんだよなぁと思いながら。
放送は出演者の話や、街角でのお客さんやボランティアインタビューなども織りまぜて雰囲気が伝わるものでした。また、この出演者を選んだジャズプロのディレクター・柴田浩一氏が、解説もしてくれながらの放送でした。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
10月8日(日)
まずは関内の駅前で前売りチケットとバッジを交換します。直接会場に行っても良いのですが、なにかここを通らないとはじまりの気分が盛り上がらないので。
関内ホール・小ホール
前の記事で不満を書きましたが、今回は同じ時間に聴きたいものが重なってしまうということで、それなら1箇所で動かずに通してやろうと意を決しての、体には楽なプログラムで聴きました。ただしこのホールのイスは長時間はきついのですが。
■ヒカシュー
巻上公一(vo,etc)三田超人(g)坂出雅海(b)清水一登(p)佐藤正治(ds)
ヒカシューもジャズプロ出演3回目となり、やっと抵抗感少なく受け入れられるようになってきた、のかもしれません。1回目・2回目は、途中で席を立つ人が多かったですが、この日は、ヒカシューを聴きたいというファンが増えてきたような印象が感じられました。
それほどに刺激的な演奏、自由な音楽世界が繰り広げられます。面白すぎです。むしろ、それこそがジャズの本質であります。シベリアツアーから帰ってきたなかり、向こうでも同じスタイルで演奏してきたということで、やはり本質的な音楽は国や文化を超えるということでしょう。メンバー各人のパフォーマンスが素晴らしく、それでいてバンドとしてのまとまりがあるから、何が起こっても安心です。
ジャンルとか先入観にとらわれてはいけません。聴く方にも、音楽を自由に楽しむ資質が問われるのです。ジャズプロムナードは、そうしたファンを育てられなければいけないのです。
ステージチェンジの間に昼食です。時間がかからず食べられるということで、ここ数年はこの博多ラーメンです。
ジャズプロも観客が増えて、会場が満員で入れないという話をよく聞くようになりましたが、私はまだ一度もありません。それは、早目に行くからです。始まる30分も前なら、人気のある人のライブでもまず大丈夫ではないでしょうか。
■田中信正 KARTELL + 神田佳子
田中信正(p)山田晃路(b)大槻カルタ英宣(ds)神田佳子(per)
神田さんは現代音楽の打楽器奏者だそうです。妻が以前にクラシックオルガンとの競演に感動してきたので、ジャズプロに出演するならぜひ聴いてみたいと。
とはいっても、異種格闘技的な感ではなく、ジャズの演奏の中に入ってしまえば普通に溶け込んでいます。マリンバを中心にいろいろな打楽器が使い、もちろん演奏者の音楽家としての個性や実力は光っていましたが。
違和感を感じさせないのは、田中トリオの安定感あってのことかもしれません。ミュージシャン同士の信頼感あってこそ成り立つ世界ですから。気持ち良い演奏でした。
■沖至 UNIT
沖至(tp)林栄一(as)川崎知(ts)羽野昌二(ds)井野信義(b)
このセッションは、初聴きとなるヨーロッパで活躍の沖さん、一番好きなベーシストの井野さん、いろいろなグループで聴く林さんはさておいて、羽野さんが一番の目当て。ずいぶん前になりますが、知り合いの詩人・パフォーマーの女性と羽野さんがデュオをしたのを見に行って、終わったあとで少しお話するチャンスがあり、音楽観に感銘を受けたのです。その後ジャズプロでドイツのブロッツマンとの競演を聴いてから、実に久々でしたから。席も最初からドラムが見やすい位置で。
演奏は完全にフリースタイル、各人が好きに演奏して全体としてどんな世界観が出来上がるかというのが見物ですが、ホーンだけではバラバラに分解していく感じ、それをドラムがつなぎとめてる、ドラムも好き勝手に叩いて入るのですが、力技でまとめ上げているところが凄く面白かったです。
ドラマーでは、森山威男さんや小山彰太さんが好きですが、彼らとはまったく違ったスタイルの、常に自己表現を目指す羽野さんは、目が離せない人です。
■鬼武みゆき with Friends
鬼武みゆき(p)グラストン・ガリッツァ(vo,g)鳥越 啓介(b)
岩瀬 立飛(ds)ゲスト:Saigenji(vo,g)
いつもならばこの時間から板橋文夫さんを聴きに行くのですが、今回はあえてこちらに。このメンバーで素敵な演奏が聴けるのは保証書付き、ガリッツァさんは3年連続となりますが今後も聴くことがあるかはわかりませんし。
という期待以上のステージでした。鬼武さんとガリッツァさんも2度目となり、アルバムを作ったり全国ツアーに行ったりとすっかり2人の音楽性が融合して新しいもの世界が生まれたという演奏。聴いていて心が平和になる、幸福になる、でも耳には刺激的で楽しく。素晴らしい。
ゲストのSaigenjiさん(日本人)もまた同じベクトルの世界観と音楽性を持つ人で、美しい世界をさらに優しくしていきました。ベースとドラムも良い腕で盛り立てていましたし、誰もがこの場にいられて幸せだったと感じるだろう、奇跡的な出会いだったように思います。
■赤松敏弘(vib)道下和彦(g)ユキ・アリマサ(p)TWIN DUO×TRIO
いつもは板橋オーケストラで賑々しく終わることの多いジャズプロですが、今年は最も心地よいサウンドで心静かに終わりました。
赤松さんと道下さんのデュオをはじめて聴いたのが第2回ジャズプロ、はまぎんホール。広めの会場にお客さんが少しだけで閑散としていたことを覚えています。でも演奏は素晴らしくて、翌年からも赤松さんを探して時間さえ合えば聴き続けてきました。その2人も13年ぶりの再会だそうです。当時とはずいぶんルックスが変わりましたが、美しい音の世界は外見と同じくふくよかになった気がします。
そしてアリマサさんを含めたトリオの演奏、これもジャズなんだよなぁと。いや、一般の人からするとこれがジャズのいめーじなのかもしれませんが、私にとってはこちらがかえって新鮮だったりもするのでした。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
FMの放送でジャズプロのディレクター・柴田氏が、年配者だけでなくもっと若い人に聴きに来て欲しいということを言ってましたが、各会場の客層を見ればまさしく。そのためにはやはり、もう少しイベント全体のプログラムを考えた方が良いと思います。
初期のジャズプロではそんな意識的なプログラムが多かったと思うのです。今の50歳も、ジャズプロ第一回の時は31歳の若者だったわけで。新しいファン層の獲得には、なにか新しい血の導入が必要かもしれません。スタッフも、出演者も・・もちろん、個々の演奏では若い人を起用したりと考えられていますが、もっとフェスティバルでしかできない企画的なこと、音楽のジャンルを超えたようなものなのだと思います。私は1ファンに過ぎませんが、考えて提案してみるのも良いかな、などと思っているのですが。

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横濱ジャズプロムナード、1日目は都合で行けなくなりました。
(2日目は行きますとも!)
前の記事で、あまり聴きたいものがないと書きましたが、
それでもプログラムと出演者のプロフィールなどを読み込んで、
このスケジュールなら楽しめそうだと組んだところだったのですが。
2日目ほどではないにしても、残念です。
せっかくですので、幻の自分スケジュールを書いておきます。
音楽的な刺激をバラエティ豊かに楽しみたい人にお勧めの
プログラムかと思います。
■横浜市開港記念会館
KANKAWA(org)presents 東北応援アコースティック・ジャズ・バンド
※最近、カンカワが2年前に出したCDを手に入れて、
これがすごくエキサイティングで良く、改めて彼の凄さを知りましたので。
■関内ホール 小ホール
林正樹(p)STEWMAHN
※独創的なサウンドが聴けそうだったので。
■関内ホール 大ホール
酒井俊(vo)オーケストラ
※板橋文夫ともやっていた良いジャズシンガーですが、
歌よりも今回もバックメンバーが凄くて演奏が楽しみで。
■関内ホール 小ホール
AKETA(p,oca)〜石崎忍(as)duo
※アケタさんの独特のピアノは、生で観るべきものですから。
サックスの人は知らないですが、経歴が面白いし。
しかたない、当日はNHK-FMで生番組やるので、それを聴いていよう。
北浪良佳さんの歌が楽しみです。

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(2日目は行きますとも!)
前の記事で、あまり聴きたいものがないと書きましたが、
それでもプログラムと出演者のプロフィールなどを読み込んで、
このスケジュールなら楽しめそうだと組んだところだったのですが。
2日目ほどではないにしても、残念です。
せっかくですので、幻の自分スケジュールを書いておきます。
音楽的な刺激をバラエティ豊かに楽しみたい人にお勧めの
プログラムかと思います。
■横浜市開港記念会館
KANKAWA(org)presents 東北応援アコースティック・ジャズ・バンド
※最近、カンカワが2年前に出したCDを手に入れて、
これがすごくエキサイティングで良く、改めて彼の凄さを知りましたので。
■関内ホール 小ホール
林正樹(p)STEWMAHN
※独創的なサウンドが聴けそうだったので。
■関内ホール 大ホール
酒井俊(vo)オーケストラ
※板橋文夫ともやっていた良いジャズシンガーですが、
歌よりも今回もバックメンバーが凄くて演奏が楽しみで。
■関内ホール 小ホール
AKETA(p,oca)〜石崎忍(as)duo
※アケタさんの独特のピアノは、生で観るべきものですから。
サックスの人は知らないですが、経歴が面白いし。
しかたない、当日はNHK-FMで生番組やるので、それを聴いていよう。
北浪良佳さんの歌が楽しみです。

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第1回目から欠かさず聴きに行っている、国内最大の、世界でも有数のジャズフェスティバル。
最初の10年は、私の大好きなライヴハウス「エアジン」のマスターなどが中心となって催されていて、国内外の幅広いジャンルのミュージシャンが参加することで、新しい刺激や発見が多いイベントでした。
世間一般に認識されている、耳触りの良いスタンダードジャズから最先端のフリージャズまで、アメリカよりも北欧やロシアなどの先鋭的演奏家も呼んで来て、まさに音楽の博覧会でした。
いきさつは良く知りませんが、たぶん実行委の中での方向性の違いでエアジンが袂を別れてからは、次第にフリージャズ系が減って行き、ファンは増えましたがいわゆる一般受けする感じのものが多くなって、イベントとしての創造性がなくなってきたように思われるのです。
毎年通っていると、たまたま聴いて好きになったミュージシャンも増えるので、その人たちの演奏が聴ければ良いかとも思うけれど、各地でジャズイベントも増えて来た昨今、最先端のジャズの街・横浜としてはどうなのかとも思ってしまいます。
そのためか、エアジンでは秋の同時期と春に、「横浜インプロ祭」というのを独自に開催していますが、1ライヴハウスだけの企画では、常連プラスアルファ程度でしか盛り上がりません。
もっと刺激が欲しい、と思いつつも今年もDMで送られて来た「横浜JAZZ PROMENADE 2011」のプログラムを期待して見ると・・・
1日目、ほとんど聴きたいミュージシャンなし。
2日目、ぜひ聴きたいミュージシャンが複数同じ時間に重なっている。
うーむ、どうせよと。(1日目もライヴハウスのプログラムを含めればあるのですが、混むと聴けないし、ライヴハウスに行くつもりならまぁ地元だし、いつでも行けるわけで。)
プログラムをどのように作っているのかは分かりませんが、それぞれのミュージシャンの演奏と、お客さんの嗜好傾向をもう少し考えてくれれば、こうはならないと思うのだけれど・・・。
基本は市民イベントのボランティア運営ですので、仕方ない部分もあるとは思うのですが、全体を統括する強力なプロデューサーが必要なのではないかと。
そんなわけで、開催も来週(10月8,9日)に迫りましたが、未だにチケットも買えないでいるのでした。
◯横濱JAZZ PROMENADE
http://jazzpro.jp/
◯横濱AIREGIN
http://www.yokohama-airegin.com/

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最初の10年は、私の大好きなライヴハウス「エアジン」のマスターなどが中心となって催されていて、国内外の幅広いジャンルのミュージシャンが参加することで、新しい刺激や発見が多いイベントでした。
世間一般に認識されている、耳触りの良いスタンダードジャズから最先端のフリージャズまで、アメリカよりも北欧やロシアなどの先鋭的演奏家も呼んで来て、まさに音楽の博覧会でした。
いきさつは良く知りませんが、たぶん実行委の中での方向性の違いでエアジンが袂を別れてからは、次第にフリージャズ系が減って行き、ファンは増えましたがいわゆる一般受けする感じのものが多くなって、イベントとしての創造性がなくなってきたように思われるのです。
毎年通っていると、たまたま聴いて好きになったミュージシャンも増えるので、その人たちの演奏が聴ければ良いかとも思うけれど、各地でジャズイベントも増えて来た昨今、最先端のジャズの街・横浜としてはどうなのかとも思ってしまいます。
そのためか、エアジンでは秋の同時期と春に、「横浜インプロ祭」というのを独自に開催していますが、1ライヴハウスだけの企画では、常連プラスアルファ程度でしか盛り上がりません。
もっと刺激が欲しい、と思いつつも今年もDMで送られて来た「横浜JAZZ PROMENADE 2011」のプログラムを期待して見ると・・・
1日目、ほとんど聴きたいミュージシャンなし。
2日目、ぜひ聴きたいミュージシャンが複数同じ時間に重なっている。
うーむ、どうせよと。(1日目もライヴハウスのプログラムを含めればあるのですが、混むと聴けないし、ライヴハウスに行くつもりならまぁ地元だし、いつでも行けるわけで。)
プログラムをどのように作っているのかは分かりませんが、それぞれのミュージシャンの演奏と、お客さんの嗜好傾向をもう少し考えてくれれば、こうはならないと思うのだけれど・・・。
基本は市民イベントのボランティア運営ですので、仕方ない部分もあるとは思うのですが、全体を統括する強力なプロデューサーが必要なのではないかと。
そんなわけで、開催も来週(10月8,9日)に迫りましたが、未だにチケットも買えないでいるのでした。
◯横濱JAZZ PROMENADE
http://jazzpro.jp/
◯横濱AIREGIN
http://www.yokohama-airegin.com/

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