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つばめろま〜なから、なにかを知りたい貴方へ。
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「桜風堂ものがたり」村山早紀(PHP研究所)

書店を舞台にした小説、1冊の本との出会いを演出してくれる場所でもある書店。そこで働く人たちの意識、想い。本屋さんって身近なようでいてその内実は知らないことが多いのだなと、興味深く読みました。

現実的でいて少しファンタジックな雰囲気があるのは、ネコやオウムも含めて登場人物たちの性格もありますが、ネットでつながったバーチャルな関係が絡んでいるからかもしれません。遠いところにいるのに近く感じる人、すぐ近くにいるのに気付かない人など、現実の距離とのズレが物語に浮揚感を生み出しているようで面白いです。

これは居場所を見つける物語。ただの場所だけでなく、そこには生きてきた履歴があり、人と人の間で生まれる想いがあり、好きな本への仕事を通じた情熱があり、やっと出会うべくして出逢う居場所だから、読んで優しい気持ちになりました。特別に好きになる登場人物はいませんでしたが、みんなを優しく見守りたいと思いました。

2017年本屋大賞のノミネート作になっていますが、書店員に支持されるのは当然でしょう、ただこれが大賞を取ってしまうのは違うだろうなとも思います。今年は珍しくこの作品と「ツバキ文具店」と2つのノミネート作を読んでいますので、受賞の行方が気になるところではあります。

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表紙をまとめて見ると千里が主人公のようですが、6人の小学生たちの気持ちがみんな丁寧に書かれているシリーズです。

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「シロガラス 1 パワー・ストーン」

小学生たちが主人公の児童文学、というには少し大人びた中学生くらいの印象のある小説です。小学生らしい出来事なんですが、考え方がけっこうしっかりしているし、6人の少年少女たちのキャラがはっきりしているせいでしょう。私が小学生の頃って、もっとぼんやりしてた気がするのです。においとか温度とか、そんな感覚で生きてた気がするけれど、自然いっぱいの田舎町を舞台にしたこの小説にも、そこは懐かしく描かれています。
物語は古武道と神社、伝統芸能とビジュアル系バンド、宇宙科学、オシャレ、泣き虫、イジメ、など盛りだくさんな要素が絡み合い、読んでいて深夜の良質なアニメを見ているような、作り込まれたおもしろさを感じました。これは作者も楽しんで書いているのだろうと思わされます。
ラストはなにが起こったの、という引きで2巻に続くでしたが、佐藤多佳子さんなら期待は裏切らないだろうと思いますので、この後が楽しみな作品です。読み始めた時点ですでに4巻まで出ていたので、いつでも続きに行けるのがよいです。

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「シロガラス 2 めざめ」
「シロガラス 3 ただいま稽古中」

2巻と3巻を続けて読みましたが、目覚めた能力に戸惑いつつも向き合っていく子どもたちの姿が、丁寧に描かれていて好感が持てます。大きな事件は起きなくても、小学生にとっては我が身に降りかかった事態そのものが大変なことだと、児童文学をたくさん書いてきた作者ならではの視点に温かさを感じました。
6人の子どもたちがそれぞれ考え行動している個性が、ステロタイプに陥らずに書かれているのがとても良くて、誰かに共感するというよりは大人目線で愛しく見守りたくなります。特別に思い入れ強く描かれている主人公はなくて、みんな長所と短所があるけれど、次第に仲間としての絆ができて認め合える関係になってきたところがステキです。
少しずついろいろな謎が明らかになってきますが、本当の展開はまだこれから。長くなりそうですが、どんな物語になるのか楽しみです。
ところで物語の舞台が気になりました。大船のホームセンターへ買い物に行くくだりが出てきますが、私の家のすぐ近所なのです。町名や神社は架空としても、大きな街としては横浜より鎌倉が近い、藤沢ではなく大船のホームセンターまでバスと電車を使って1時間近く、海の近くではなく山のある町。横須賀線の逗子〜横須賀の間あたりと思って地図を眺めていたら、巻頭の地図とほぼ合う場所を発見しました…知っている場所が出てくると、より愛着がわいてイメージが膨らみます。

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「シロガラス 4 お神楽の夜へ」

あいかわらず、6人の気持ちを偏らず丁寧に大切に書かれているのがとても良いなと思います。こんな作品はあまりないかもしれません。周りの大人たちが見守る心を持っているのも安心感があるのです。なかなか主役にはならないようなタイプの有紗まで、ずいぶんと魅力的になってきました。
6人の心が打ち解け合うのは必然という、不思議で刺激的なできごとが重なった上で祭りの日を迎え、舞われた子ども神楽は感動的でした。雅楽の響き、振りに合わせて翻る衣、打ち交わされる木刀の軌跡など、鮮やかに思い浮かぶような描写も美しかった。スペクタクルではないけれど、まさにここまでの物語を集大成する静かなクライマックスでした。

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1巻から4巻まで、あまり間をおかず一気に読めたので、忘れることなく楽しめました。刊行からすでに1年以上経っているので、5巻もそんなに待たずに出てくれるでしょうか、物語も神楽が終わってまずは一区切りというところ。不穏な気配が漂ってきて、この後はいよいよ能力を使う必要性が出てきそうですので、6人の強い絆で乗り切る熱い展開に期待です。

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「ビブリア古書堂の事件手帖7〜栞子さんと果てない舞台〜」三上 延(メディアワークス文庫)

ついに最終巻です。私にとってはド地元が舞台で、魅力的なヒロインで、本にまつわるミステリアスでインテリジェンスな物語ということから、楽しみに読み始めたシリーズでした。昨秋に鎌倉文学館の特別展を見て最初からの記憶も少しよみがえっていたのは良かったです。

登場するのが異常な人物ばかりというような作品、この巻で出てきた古物商のじいさんも極めつけな性悪でした。それ以上に異常なのがヒロインの母親ですが…その血を引いている栞子さんもまた同様。私はだんだん惹かれなくなって(逆に引いて)いきましたが、美しいけれど大きな欠点のある彼女に、いつもそばにいる主人公大輔くんが魅かれてしまうのはわかります。二人であることに救いと希望があるのでしょう。

最後に取り上げられた古書がシェイクスピアだったのは、有無を言わせないラスボス感がある選択でした。これ以上に有名な外国の作家は…思いつきません。長い年月の中でたくさんの人生が絡み合い、大金までも絡み、シェイクスピアの書いたセリフとともに明かされていくドラマ、すべての物語がこの古書に帰結していくのも、読んでいてスリルのある感覚でした。これまでの古書にまつわるいくつもの事件を凌駕する、本人たちのラストエピソードです。

それにしても、本の虜になってしまった人たちですが、好きなものを集めるコレクターでなく、商材として取り引きする対象であることが、最終巻では強く示されていました。何十年も追いかけてやっと手に入れた稀覯本をすぐさま売ってしまうのは、単純に本好きという私たち読書家にとって、少し理解し難いところがあるような。なのに本への知識と執着でいっぱいの栞子一族に感じる不気味な違和感は、そこから来るのでしょう。

けれど最後は、恋人たちの想いが結ばれて、母娘の確執も少しだけ解けたようで、読後感は悪くない充足した終わり方でした。フラワーセンターや大船観音など、身近な場所が出てくると嬉しいものです。本編は終わりですが番外編が書かれるようで、この一族の中でまっとうな妹メインの話を待ちたいなと思います。

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ルーカス・ゲニューシャス ピアノ・リサイタル
2017年2月25日/リリス/シリーズ<ピアニストとの出逢い>Ⅳ

ロシア気鋭のピアニスを招いてのリサイタル4回シリーズも、これが最後となります。ゲニューシャスは1990年モスクワ生まれの27歳。ショパン・コンクールとチャイコフスキーコンクールでともに2位などの実績があり、世界で活躍しているとううことです。
これまでの3人と、まずプログラムの感じが違います。前半に演奏したドイツのシューマンとノルウェーのグリーグの作品、ロシア音楽とは趣が異なりますが、弾き方そのものが、いわゆるロシア人ピアニストのイメージとは違っていました。叙情的な音楽を、繊細でやさしいタッチで弾きます。美しい森や湖や大空といった風景が頭に思い浮かぶ、心地良い世界でした。
さて、そんなピアニストがプロコフィエフをどんなふうに弾くか、楽しみになります。果たして、こちらもとても叙情的。前回、前々回の2人もプロコフィエフの曲を演奏していましたが、まったく違う作曲家の作品に聴こえました。もちろん力強いところは迫力があるけれど、美しく音色を重ねて豊かなイメージをふくらませていく感じはとても心地よいものでした。
そんな演奏家ですので、アンコールのショパンはピッタリはまっていて心に染み通ってくるようです。
今回もCD(ロシアの現代音楽家の作品うを演奏)を買ってサインをしてもらう時、間近に姿を拝見し、日本人からすると歳よりも上に見えてしまいますが…笑顔が優しいステキな若者でした。全4回、それぞれ個性が際立っていて、本当に楽しませてもらったコンサートシリーズでした。

【PROGRAM】
■第1部
 シューマン:ウィーンの謝肉祭の道化 Op.26
 グリーグ:「抒情小品集」 より
 ・鐘の音 Op.54-6
 ・即興的ワルツ Op.47-1
 ・家路 Op.62-6
 ・森の静けさ Op.71-4
 ・ノルウェーの旋律 Op.12-7
 ・夢想 Op.62-5
 ・トロルドハウゲンの婚礼の日 Op.65-6
■第2部
 プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第5番 ハ長調 Op.38
 プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第2番 ニ短調 Op.14
■アンコール
 ショパン:エチュードOp.25 No.1「エオリアン・ハープ」
 ショパン:エチュードOp.25 No.12「大洋」


ついでに、同施設内で開催中の2つの展覧会も見てきました。
Caohagan〜世界で一番暮らしたい「しあわせの島」は、フィリピンの小島を買った日本人が現地の人にキルトを教えて、みんなが独自の作品を作るようになって…その作品と島の写真が素晴らしく、見えてよかったなと思います。

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2017年最初のライヴ、横濱エアジンでの奴田原優子&林栄一デュオ「中世バロック音楽と即興ジャス」に行って来ました。奴田原さんは本業はピアニストのようですが、スピネットという小型チェンバロを演奏します。
第1部はソロでスカルラッティのソナタでした。老舗のジャズライヴハウスで聴くバロック音楽、なんとも良い雰囲気です。それも楽器がすぐ目の前という席でスコッチのグラスを傾けながら…贅沢な時間です。
昨年最後のライヴもチェンバロでしたが、楽器は小さいながらとても美しい響き、演奏されたスカルラッティのソナタはテンポが速くてトリルがきらびやかで、この楽器の良さが際立っていました。
第2部は林さんとのデュオ。初っ端のカッチーニ?のアヴェ・マリアが素晴らしくて鳥肌立ちました。有名な曲でそんなにアドリブが強いわけではないのに、すごいオリジナリティです。好きなサックス奏者はたくさんいますが、このバロックの曲&楽器とジャズの融合は林さんでこそのベストマッチという気がしました。
2曲めはバッハのフルートソナタ7番、これはほぼ楽譜通りに吹いていましたが、フルートをサックスで吹かれた音にぞくぞくします。3曲めはグノーのアヴェ・マリア、こちらは強烈なアドリブも。4曲目は…曲名を忘れましたがジャズの醍醐味にスピネットの音が絡んでステキでした。アンコールは林さんの名曲ナーダム、板橋さんや酒井さんとやる時とは全く違う、静かに沁みてくる演奏でした。
終了後に奴田原さんから、林さんの演奏が好きでよく聴きに行っていたところ一緒にやることになったとお聞きしましたが、どんな音楽とも融合できるジャズ、バロックとの出会いは幸せな感じです。林さんがとても楽しそうに吹いている表情が印象的でした。

 
ライヴの前に、横浜情報文化センター内の放送ライブラリーで「岩合光昭の世界ネコ歩き写真展」を観てきましたが、期待以上でとても良かったです。テレビで観るビデオカメラで撮った猫もかわいいですが、やはり写真家、写真機で撮った猫の方が何倍もイキイキと素晴らしい感じがしました。大きくプリントされて、大きな風景の中に猫が小さく映っていながらも存在感を発している写真が、展覧会ならではの良さなのでした。

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長年、同人誌で創作漫画を発表してきましたが、本当は小説が主な表現手段。職業はコピーライターで、趣味は楽器を鳴らすことなど。よろしくお願いします!
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