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第40回 ぴあフィルムフェスティバル
PFFスペシャル講座「映画のコツ〜吉田大八プレゼンツ『香川まさひとの世界』」
2018.9.9 会場:国立映画アーカイブ
 

脚本家の香川さんは大学漫研での1つ先輩、とても身近で影響を受けた一人です。当時から自主映画を撮っていて、83年・84年と連続で「ぴあフィルムフェスティバル」に入賞していました。当時その作品を見て才能に衝撃を受け、のちに2作の脚本を書いてもらったという吉田大八監督が、多くの人にその作品を見てもらいたいと企画された上映会に行ってきました。

吉田監督、香川さん、多くの作品に出演していた木原実さん、PFFディレクター荒木啓子さんによる壇上トークをはさみながら、今年撮った最新作まで5作品が上演されて、一人の映画作家の創作課程が解き明かされるような内容で、近しい人だからこそ、そうした話はなかなか聞くことはないので、とても興味深かったです。久しぶりに自らの映画を撮ってとても面白かったという香川さんの、斜に構えながらも前向きな言葉が印象的でした。

今も映画の脚本家や漫画の原作者として活躍中の香川さん、不肖の後輩である私はその一部しか見ていないのですが、映画では中嶋朋子がヒロインを勤めた「あさってDANCE」や忌野清志郎が怪演した「お墓と離婚」、堺雅人が結婚詐欺師を演じた「クヒオ大佐」と、いずれも印象に残る作品でしたし、連載中の漫画「ましろ日」は人の心が繊細に描かれた名作だと思います。映画も漫画も商業作品の仕事は好きじゃないんだと言いながら、だからこそ妥協なく書いている、それは私も見習わなければと思います。脚本家というのはなかなか有名になりにくい役どころですが、こうしたところで実績が知れるのは、とても喜ばしいことです。

大学時代の先輩後輩も多数観に来ていて終了後は同窓会のように、4人の漫画家さんをはじめ、いろんな人と懐かしく集うことができました。30年以上ぶりに会う人たちでも、すぐに当時の続きのように話すことができるのが嬉しく、とても楽しい一日でした。こんな人たちが周りにいた環境があったからこそ今の自分があると、再認識した次第です。

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「きんいろカルテット」遊歩新夢(オーバーラップ文庫)

コルネット2本にテナーホーンにユーフォニアムというブリティッシュ・ブラスの編成、中学1年生女子4人の金管四重奏バンドの話、第1巻。馴染みのない音楽形態ですが、作者がペンネームそのままにプロのユーフォ奏者ということ、演奏の書き表し方や技術的なハウツーはもちろん、音楽への様々な考えや想いがギッシリ詰まった、硬派な作品でした…半分は。

あとの半分は、テンプレ要素満載な美少女ラノベなのですが、それぞれのキャラがしっかり音楽要素を抱え込んでいるので、イキイキとして愛すべき女の子たちになっていて、読んでいて、というより見ていて楽しく感じられました。もう少し一人一人の深堀りがあって個性が出ればとは思いますが、次巻以降の期待です。

ストーリーも流れよく、吹奏楽部に入れてもらえなかった4人が自分たちの目指す音楽に突き進んでどんどん成長していく姿、それを見た目ハーレム状態ながら、音楽への熱い想いだけで指導し支えていく主人公の心が、清々しく可笑しく。別に聖人君子というわけではなく、音楽に傾倒している関係の中なら普通にありだと思います。

いずれにしてもこれが小説デビュー作だったとのこと、音楽家の書く文章というのはだいたい特別な味があるので、続巻以降が楽しみになりました。

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「一瞬の風になれ」佐藤多佳子(講談社)

好きな作家の長編小説ですが、本屋大賞などであまりにもベストセラーになってしまって、かえって読みそびれていた10年以上前の作品、今さらですが3冊一気読みしました。

陸上スプリントに高校生活を捧げるスポーツ少年たちの話。爽やかで苦しくて甘酸っぱくて辛口なところもあり、どんどんページが進んでしまう本でした。陸上という競技、中でも1/100秒を競う短距離の世界、そこて限界まで鍛え抜く体育会系の部活が興味深かったこともあります。
けれどそれ以上に、個人競技であるとともにリレーチームとしての在り方にも重きが置かれ、部内やライバル校の人たちとの人間関係までがとても魅力的です。そこが佐藤作品の真骨頂でもありますし、大好きなところ。この作品が多くの人の心にふれるヒットをしたというのも、すごく素敵なことだったと思いました。

記録に挑戦し勝負にこだわり、あまりにもストイックすぎてナーバスなところに少しもどかしさを感じますが、スポーツものの王道でもあり、すべて最後の結果へとつながっていくカタルシスを信じられるから、才能を持つ者の宿命を知るのも一興と読んでしまいます。実際にやっている選手たちは、先の見えない中で苦しみ抜くのですから、まだまだ甘いのかもしれませんが。
恋や学内イベントなど、いくらでも物語を膨らませる余地もあるところ、陸上一本にテーマを絞って書かれたところに、爽やかな風のような読後感が残ったのだと思います。

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竹内 真「ぱらっぱフーガ」(双葉文庫)

吹奏楽に青春を捧げる高校生カップルの変則ストーリー。全国大会常連の強豪校で高みを目指す姿と、一から同好会を作り奮闘する姿、両極端のありかたが同時進行していきますが、根底に流れる音楽への情熱は同じもの。そこに優劣はなく、大切な時を共有する仲間とともに音を楽しむ貴さが、爽やかに鮮やかに描かれるすてきな物語でした。

吹奏楽部の活動はリアルですが、競争にともなう屈折や指導の過酷さはほとんど描かれず、嫌みなく優しく純粋な世界なのが読んでいて気持ち良かったです。主題は、別の道を歩むことになった少年少女それぞれの心の成長なので、二人を見守るのにちょうど良いエピソードの積み重ねが見事に構成されていたと思います。

いろいろな出来事が起こるけれど二人の主人公が、思い入れをしたくなる感じではなかったこともあるのでしょう、淡々とした感じで物語は進んでいく印象。しかしだからこそ先へと読みたくなり、最後には思いがけない感動のシーンも現れて、心に残る作品となりました。

私的には、いろいろな楽器の魅力が伝わってくるのがとても楽しく、自分で持っている楽器もいくつかありますが、まだまだ体験してみたいものがあるなぁと思わされました。きっと、アンサンブルも面白いのでしょう。音楽心がかき立てられた読後感です。

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司修「Oe-60年代の青春」(白水社)

画家であり作家である司修が、自ら装幀した大江健三郎の本、主に「叫び声」と「河馬に噛まれる」について考察。まだ中学生くらいの頃に幻想的な絵に出会い、多くの本も読んできた司さんの著作の中でも、これは重苦しく読了までにずいぶん時間がかかりました。けっこうなお歳になっている司さんがこれを書き上げたことにも驚かされます。

多くの大江作品の装幀を手がけてきた司さんにとっても、思い入れの大きな本だったのでしょう。それは、戦時に子どもであり、60年代に青春を送ってきた世代の魂の悲痛な共鳴でした。私は本書に取り上げられた3冊以外にも、これまで大江作品を1作も読んでこなかったのですが、その根底に流れる思想は十分すぎるほど伝わってきました。いや、伝わったのは司さんの想いだけかもしれませんが。

小説の背景にある実際の事件について、多くの文献を引用してつまびらかにしていきます。あの時代の若者たちを象徴する、小松川高校事件、連合赤軍リンチ殺人事件、広島原爆と原発事故、狭山事件。特に連合赤軍については、純粋に自身の存在をかけて革命を追求していった末の切羽詰まった状況が理解できてしまう、だからこそ痛ましくて辛いのでした。私が知らなかった真相がたくさんあって、かなり衝撃的な内容でしたが、また世の中が動いているいま、知っておくことができたのは良かったと思います。

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長年、同人誌で創作漫画を発表してきましたが、本当は小説が主な表現手段。職業はコピーライターで、趣味は楽器を鳴らすことなど。
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