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つばめろま〜なから、なにかを知りたい貴方へ。
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41rxCfaOWbL._SX230_.jpg「陽だまりの彼女」越谷オサム(新潮文庫)を読みました。

平積みされていた文庫版をはじめて本屋で見かけたとき、表紙の絵にぐっと魅き付けられてしまいました。同じようにCDをジャケ買いしたことがありますが、西島大介さんの絵は本当に力がありますね。
その後しばらく経ってから買おうと思ったのは、読んだ人たちの感想を目にしたところから。恋愛小説として面白そうだし、記憶障害の話らしいし(「ef」みたいなのを少し期待して)、意外な結末ってどんなだろうと興味がわいて、すっかりベストセラーになってからですが、読んでみることに。
主人公ふたりの恋愛関係は恥ずかしくなるほどていねいに書かれ、思春期が初々しかったり、バカップルぶりが微笑ましかったり、不穏な展開にハラハラさせられたり、大きな喪失感にホロリとさせられたりと、まずは素直に面白く読めたのですが‥‥。なんでしょう、この読後の違和感。

読んでる途中にもしっくりこなかったのは、ヒロイン真緒のキャラクター。中学生の時、キャリアウーマンとして、つきあい始めの頃、結婚してから‥‥それぞれにとても魅力的に描かれているのですが、しっかりしていたり幼かったりと多面性がありすぎて一人の人間として統合されてないように感じられたためです。
実はそうしたキャラも設定のうち、そしてラストで明かされる事実が、たしかに驚きなのですが、物語全体の整合性を壊してしまったように思われ、なんかすごく残念でした。物語としては美しいハッピーエンドになっていて、深く考えなければ「あぁ良かったね」と感動して本を閉じられるのでしょうが、ハッピーエンドの先に継続する日々の幸せがまったく見えてきません。
実は恋愛小説でもなかった、ではここに書かれていたのはなんだろう? という疑問がアタマから離れないのです。

越谷さんは、ぜひともこの先の話を書くべきです。そして、納得させてほしいと思います。それができたら、名作だと、すごい作家だと称賛するでしょう。


作者さんでなくても、誰か納得させてください。
※ここからはネタバレありなので、既に読んだ人・読む予定のない人限定です。

○真緒の正体がそういうことなら、これは恋愛小説でも、純愛でも博愛でもないのではないか。萌えアニメならば、よくあるような設定ですし難しいことなしに楽しめるでしょう。性愛がなければ、種族を超えた純愛として読めるでしょう。でもこれは、何愛なのかな。

○13歳の少女として現れることができた(能力? 神頼みのようなもの?)なら、次も子猫ではなくて、26歳の人間として現れ続きの生活を送ることができたのではないか。無垢な子猫ではなく、記憶があるように描かれていたのでそう思ってしまいます。

○すべてをきれいさっぱり精算して消えることができたということは、そもそも13歳の時に現れてから里親を手に入れたり学校で二人だけ孤立し親密になれたことも、すべて真緒が計算高く因果律を操ったからではないか。それにしてはその後10年以上も会えず探していたのはおかしいんですよね。

○そもそも、同じ歳の異性として浩介の前に現れた動機がわからないので、真緒の心をどう考えたらよいのか。拾われ猫なんてたくさんいる中で、なにか特別な絆を感じることがあったみたいなエピソードが書かれていないのが原因なのですが。

○本の帯に記されているキャッチコピー、「恋(ウソ)」って、まさか読者を騙してしてやったり、ということではないですよね。(もしかしてコピーライターはそこまで考えてたかもしれないと、同業者の私は勘ぐってみたり)

ふだん、読んだ本のいいところだけ心に残して、ケチ付けるようなことはないのですが‥‥。
この本で感動した皆さんの感情を害したら悪いとも思いましたが、ベストセラーになっている作品ということもあり、どうも腑に落ちないので書いてしまいました。


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読んでました
私もこれ単行本で読んでるんですが、ダメでしたね。ベストセラーとは知らなんだ。越谷さんは他にデビュー作も読んでますが、そちらもイマイチ。ものすごくツメが甘い書き手な感じします。二流っぽい。つばめさんならどう褒めるかと興味ありましたが、珍しくあんまり褒めてないですね、おほほ。この本の内容をひとことで言うなら、ファンタジーを逃げの手段に使うのはいけません。おわり。
てきとう 2012/02/19(Sun)01:03:39 編集
読みました
すいません、通りすがりでこんなこと書いていいのか分かりませんが。

自分も読後不可解な部分が多く、でも純愛である以上「全員がハッピーエンド」とするならばで考えてみました。

そうすると最後「猫」で出てきたのは、「13歳の時、裸で歩いていた」描写が関係するのかなと。

裸で歩いていた。猫なんだから当たり前です。1回目は子猫で亡くなっているから知識がなく、それが当然?

でも次は26歳の女性が裸で歩くのは…。だから「猫」だったんかなと。
消えてしまうという告白は「転生」できるか自分でもわからないから、だったんかなと。
(裸のエピソードは別にイランだろ、とずっと引っかかっていて、強引に結びつけたんですが)

だから部屋入ったら、裸の26歳になるんじゃないですかね。ぐしゃぐしゃの顔で「ただいま」って。指輪を薬指につけて。

これならハッピーエンドかなぁと。

…といいつつ、ファンタジーに理屈なんてなさそうですがね…。

失礼しました。
かず 2012/03/17(Sat)07:32:03 編集
創りますか
てきとう様(今更ですが)、かず様、ありがとうございます。

この作品は、なんでこんなに引っかかってしまったのだろうか、と自分でも不思議なのですが、あまりにも素直に「いいお話だった」という感想を多く見たからでしょうか。

家に帰ったら人間に化けるというのは良いですね。きっと、作者も考えつかなかったハッピーエンドのように思います!

そんな自分なりの想像(というか創作)で、穴を埋めていくのも良いかもしれませんね。
すべての発端である、子猫を拾った時のエピソードも、自分なりにドラマチックに創ってみようかな…。
つばめろま〜な 2012/03/17(Sat)12:05:46 編集
創りましょう
度々すいません。

作者は実はそれが想定しているラストかなあ、、と逆に思っちゃいます。

自分もいい話だとは思います。ただ、忘れてしまった人達も含めてみんなをハッピーエンドにしたい。

それでいろいろ考えたら「最後の2ページを追加」を執筆しちゃいました、、。

ただ、公開する場所もなく、逆にそんなことしていいのかって感じですがw
かず 2012/03/18(Sun)01:26:16 編集
無題
この物語の落ちのあまりの馬鹿馬鹿しさに
愕然となりました。

これがベストセラ??

実際は、どうも、ハードカバーとして
出版された当時はぜんぜん売れていなかった
らしいです。
文庫がヒットしたのは、西島大介の
イラストのおかげだと思います。
通りすがり 2012/05/14(Mon)21:28:22 編集
アクセス数が…
当ブログ「つばろま」のアクセスログを見ると、驚くべきことに全ビジターの半数近くが、「陽だまりの彼女」関連の検索ワードで見に来られています。
ほかにも色々な本の感想を書いておりますが、なぜに本作だけが飛び抜けて多いのか・・?
それだけ深く感動したから? やはり納得がいかない部分があったから?
この文章を読んでいる貴方様も、きっとなにかを知りたくてここにたどり着いたのだと思います、お聞かせ願えたましたら幸いです。
つばめろま〜な 2012/06/08(Fri)01:34:11 編集
読みました。

期待していた、或いは、理論だったラストではなかったのですが
振り返れば、心に響く御伽噺だったかと

理屈や理論でついつい考えてしまう方(傾向として男性に多い?!)には腑に落ちない読後感が残りますかね

私は、少し見方を変えて
不思議な御伽噺と納得させてみました(笑

9つの生を転生できる、不思議な力をもった猫。
でも転生前の記憶は持ち越せず、転生後の姿も自分で選べない・・・

きっと2つ目の生で記憶によらない「縁」
を結んだのかと。

もしかしたら自覚なく、すでに1っ目の生で縁を結んででいたかも。

どちらかというと理屈屋思考の私は
「整合性の崩壊」は1度目に軽く訪れ、視点を変えて、2度目は「縁」と「御伽噺」
を拠り所にして消化(昇華)できました。


長文失礼しました。



まぁ 2012/06/27(Wed)00:37:46 編集
通りすがり
昨日読み終えました。
感動というか、辛くて泣きました。
僕なりには、4つ目でまた真緒が出てくると
考えて落ち着いてます。
また、3つ目の猫の姿でも人語を理解し、
浩介の言葉を理解して過ごしていくのかなあと。

でも、家に帰ったら人間の真緒に戻るの、
すごく素敵だと思いました!
ひろ 2012/07/03(Tue)17:14:36 編集
一瞬、パクリか?と
やはり、おっしゃる通り違和感もありましたが、
総合的には、けっこう面白く読めました。
結末が『ねこ耳少女の量子論~萌える最新物理学~』
という学習マンガに何となく似ていたので、
パクリか?と思いましたが、
こちらの方が先に出版されていたので、
それは私の思い違いだと分かりましたが。
HIRA 2012/07/06(Fri)12:13:53 編集
不完全燃焼
はっきりしたもの、あいまいなもの、みんな違和感を覚えてここにきてるみたいですね。
私も、本屋さんで見かけたおススメ看板に惹かれて手に取りました。
出会い、再開、そして二人で築いていく生活。
どれも私好みの展開でした。
最後の最後まではね。
そこで終わっちゃダメだろー!!って心の中で叫んじゃいました(汗)
もっと甘々なハッピーエンドを期待していたのに・・・。
楽しみに残しておいた大好きな食べ物を、最後に持っていかれたような切ない気持ちになりました。

かずさんのアイディア、即採用したいですね。
黒い白猫 2012/07/09(Mon)14:38:57 編集
通りかかりのものです
私もとてもこの作品に違和感を覚えました。
またこの後味の悪さは悲しかったです><
私も続きを読みたいです!
Yka 2012/07/13(Fri)00:05:54 編集
無題
こうやって垢がついていくって素敵な本ですね
通りすがりの仮面ライd 2012/07/23(Mon)14:06:25 編集
いまさらですが
初めまして。1年半も前の記事にコメントなんて失礼極まりないとは思いますが…失礼いたします。
昨年以上にベストセラーになっていますね。映画の効果も大きいでしょうが。
映画化希望でしたので映画も見ましたが、やはり疑問に思うことは多々ありました。真緒の大人っぽ面、幼い面、それは猫という動物のいろいろな面を出したのではないかなと思います。映画のセリフで、また会える気がするといった真緒ですが、やはりそこはファンタジーなんだろうなと解釈しました。一途な思いで生まれ変わるという選択をしたいきさつからそう思ったのですが。やはり続編がほしい1冊です。個人的にはとても心に残る小説であり、映画でした。
のりこ 2013/10/28(Mon)14:05:22 編集
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