つばめろま〜なから、なにかを知りたい貴方へ。
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「ビブリア古書堂の事件帖 栞子さんと奇妙な客人たち」
三上延(メディアワークス文庫)
普段ならばライトノベル系文庫本のベストセラー作品というだけで、読むことなく終わるのでしょうが。最近、鎌倉を舞台にしたマンガとかアニメとか多くて、地元人間としてはそれだけでも楽しめたりするので、北鎌倉の古書店を舞台にした小説なら読んでみるかと、古本屋で手に入れました。
さて読んでみれば、鎌倉と聞いていたけれど、私にとってはもっと地元な大船を舞台にした話ではないか!と驚き。
店のある北鎌倉駅脇の道、山の中腹にある大船高校、健診を受けたことのある大船中央病院、買い物で通る主人公の家のあるあたり、前に住んでいたアパートに近い小袋谷の寺(ここだけ実際の地理とは違うように改変されてましたが)、などなど、お馴染みの場所だらけです。ちなみにこの本を買ったのも、病院と同じ街区にあるブックオフです。
いちいち情景がリアルに目に浮かぶので人物にも親近感がわき、大変に面白く読める一冊でした。それに、ライトノベルではなくてしっかりした文学作品だったので読みやすかった。作者の技量もなかなかです。
最近、図書館とか古書店とかを舞台にした、または本好きの話が多い気がします。ネット時代になって電子書籍も台頭してきた反動や、懐古的な気持ちみたいなものがあるのかもしれないと、思ってみたり。
書籍はデータ化もできるけれど、ことに物語については心の中で体験として拡がるものですから、本棚に並べて眺めたり、手に取って重さを感じたりと、実際に存在していることを感じられる方がより良いかと思います。本作で古本にまつわる物語や思い入れの強さを読めば、そんな思いがますます強くなりました。
できればこの作品は、電子書籍化してほしくないなぁと思います。
思えば私も、父が国語の教師で文学好きだったため、本がいっぱいの家で育ちました。作り付けの大きな書棚にはいろいろな全集ものから文庫本まで、家が傾くほどに詰まっていて、それが普通だと思っていました。もう一度読み返すかも、とか、値打ちが出るかも、ということではなくて、自分の読んだ本は取っておきたい、できれば見えるように並べておきたいというのが、読書家の習性だと思います。私もそのタイプです。
新しい家を建てて引っ越しするときに、亡父の本のほとんどと、自分の本のかなり多くを古本屋を呼んで処分しましたが、すごく寂しい想いでしたし、今になってもう少しとっておけば、などと悔いたりもします。(すでに今の家で置く場所もなくなっているのに)
本作は、読書家というよりは本に対する好事家の話という趣なので、多少感じ方は違うかもしれませんが、本には読んだ人の想いがこもると、そのことがよく描かれているので、本好きな人が選ぶ「本屋大賞」を受賞したことも至極当然と思われました。
さて、そんな本好きの心をしっかりとらえる本作、古書にまつわるウンチクは興味深く、それに関わる事件といった話もステキで、私も惹きつけられましたが、しかし。
やはり真の見所は、美人で頭がよいけれど内気で本のこと以外はコミュニケーション能力欠如という、リアルにいたら痛いけれどフィクションとしては非常に萌属性の高いヒロインの魅力。その他二人の女子高生たちもそれぞれキャラが立っていて好みでした。男性主人公の性格や行動にはイマイチ共感性にかけますが、いろいろ頑張っていたので好感が持てます。
結局は、登場人物への愛が本への愛着に直結するということで、多くの人に愛される=ベストセラーになる小説や漫画というものは、そこに尽きるのでしょう。本を読むことの動機として、ステキな体験(人によってはそれが恐怖や悲痛だったりもするわけで)を得たいということがあります。他に、知らない知識や考え方を得たいというようなこともあって、いろいろな本が生まれるわけですが、読者と作者の想いが重なる瞬間の幸福感はもう奇跡のようなものです。
前回のブログで「陽だまりの彼女」に苦言を呈してしまいましたが、物語として詰めが甘くても売れている理由が登場人物への愛とステキな体験なのだということは十分に理解できるわけです。「ビブリア古書堂の事件帖」は詰めもしっかりしているから安心です!
次の巻も既刊、その次の巻も予定されているようですので、古本屋に並ぶのを待つまでもなく、ぜひ新刊で読ませてもらおうと思っています。
三上延(メディアワークス文庫)
普段ならばライトノベル系文庫本のベストセラー作品というだけで、読むことなく終わるのでしょうが。最近、鎌倉を舞台にしたマンガとかアニメとか多くて、地元人間としてはそれだけでも楽しめたりするので、北鎌倉の古書店を舞台にした小説なら読んでみるかと、古本屋で手に入れました。
さて読んでみれば、鎌倉と聞いていたけれど、私にとってはもっと地元な大船を舞台にした話ではないか!と驚き。
店のある北鎌倉駅脇の道、山の中腹にある大船高校、健診を受けたことのある大船中央病院、買い物で通る主人公の家のあるあたり、前に住んでいたアパートに近い小袋谷の寺(ここだけ実際の地理とは違うように改変されてましたが)、などなど、お馴染みの場所だらけです。ちなみにこの本を買ったのも、病院と同じ街区にあるブックオフです。
いちいち情景がリアルに目に浮かぶので人物にも親近感がわき、大変に面白く読める一冊でした。それに、ライトノベルではなくてしっかりした文学作品だったので読みやすかった。作者の技量もなかなかです。
最近、図書館とか古書店とかを舞台にした、または本好きの話が多い気がします。ネット時代になって電子書籍も台頭してきた反動や、懐古的な気持ちみたいなものがあるのかもしれないと、思ってみたり。
書籍はデータ化もできるけれど、ことに物語については心の中で体験として拡がるものですから、本棚に並べて眺めたり、手に取って重さを感じたりと、実際に存在していることを感じられる方がより良いかと思います。本作で古本にまつわる物語や思い入れの強さを読めば、そんな思いがますます強くなりました。
できればこの作品は、電子書籍化してほしくないなぁと思います。
思えば私も、父が国語の教師で文学好きだったため、本がいっぱいの家で育ちました。作り付けの大きな書棚にはいろいろな全集ものから文庫本まで、家が傾くほどに詰まっていて、それが普通だと思っていました。もう一度読み返すかも、とか、値打ちが出るかも、ということではなくて、自分の読んだ本は取っておきたい、できれば見えるように並べておきたいというのが、読書家の習性だと思います。私もそのタイプです。
新しい家を建てて引っ越しするときに、亡父の本のほとんどと、自分の本のかなり多くを古本屋を呼んで処分しましたが、すごく寂しい想いでしたし、今になってもう少しとっておけば、などと悔いたりもします。(すでに今の家で置く場所もなくなっているのに)
本作は、読書家というよりは本に対する好事家の話という趣なので、多少感じ方は違うかもしれませんが、本には読んだ人の想いがこもると、そのことがよく描かれているので、本好きな人が選ぶ「本屋大賞」を受賞したことも至極当然と思われました。
さて、そんな本好きの心をしっかりとらえる本作、古書にまつわるウンチクは興味深く、それに関わる事件といった話もステキで、私も惹きつけられましたが、しかし。
やはり真の見所は、美人で頭がよいけれど内気で本のこと以外はコミュニケーション能力欠如という、リアルにいたら痛いけれどフィクションとしては非常に萌属性の高いヒロインの魅力。その他二人の女子高生たちもそれぞれキャラが立っていて好みでした。男性主人公の性格や行動にはイマイチ共感性にかけますが、いろいろ頑張っていたので好感が持てます。
結局は、登場人物への愛が本への愛着に直結するということで、多くの人に愛される=ベストセラーになる小説や漫画というものは、そこに尽きるのでしょう。本を読むことの動機として、ステキな体験(人によってはそれが恐怖や悲痛だったりもするわけで)を得たいということがあります。他に、知らない知識や考え方を得たいというようなこともあって、いろいろな本が生まれるわけですが、読者と作者の想いが重なる瞬間の幸福感はもう奇跡のようなものです。
前回のブログで「陽だまりの彼女」に苦言を呈してしまいましたが、物語として詰めが甘くても売れている理由が登場人物への愛とステキな体験なのだということは十分に理解できるわけです。「ビブリア古書堂の事件帖」は詰めもしっかりしているから安心です!
次の巻も既刊、その次の巻も予定されているようですので、古本屋に並ぶのを待つまでもなく、ぜひ新刊で読ませてもらおうと思っています。
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自己紹介:
長年、同人誌で創作漫画を発表してきましたが、本当は小説が主な表現手段。職業はコピーライターで、趣味は楽器を鳴らすことなど。
下記に作品等アップ中です。よろしくお願いします!
■マンガ作品 COMEE
http://www.comee.jp/userinfo.php?userid=1142
■イラスト作品 pixiv
https://www.pixiv.net/users/31011494
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