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「くるすの残光 天草忍法伝」
「くるすの残光 月の聖槍」
 仁木英之著(祥伝社刊)51XFcrT5HjL._SX230_.jpg41cqPLkZjxL._SX230_.jpg

「月の聖槍」が出て買おうとしたところ、前の巻があったことにはじめて気付いて、あわてて注文しました。仁木作品は8割方読んでいるのではないかと思うのですが、作者の精力的な執筆ペースに着いて行けてない感じです。
そんな多作の作者、これまでの作品で描いてきた要素がうまく結実している気がします。千里伝のヒーローキャラや、僕僕のロードストーリーや、黄泉坂の妖や、海遊記の坊さんや・・・一作ごとに、歴史・民俗・人間などへの思考が積層し、思想を形成していく、そんな過程が見えるようで、まだまだ先が楽しみな小説家さんです。

2の帯に「風太郎忍風帖への最高のオマージュ〜」というコピーがありましたが、山田風太郎を読んだことのない私にとって、本作は白土三平を想起させながらの読書となりました。作者の「飯縄颪(いずなおろし)」という忍者作品がありましたが、あれはタイトルからも明らかに「カムイ伝」を意識していたと思われるので、白土比較も間違ってはいないかと思います。
権力に抑圧された人間を描き、また力に魅入られた人間を描く、その中で生と死を見つめる・・・そうした作風は「カムイ伝」の1部よりは2部、そして武芸に重きを置いた外伝に近い世界だと感じました。
とは言いながら、仁木作品はしっかりと歴史物の体裁を保ちながらも、いまのアニメ的な演出や萌え要素も含んでいるのが、この時代に受け入れられている理由と思っています。本作でもビジュアルが思い浮かぶ魅力的なキャラクター作りが巧いなと、感服しました。

天草の乱についてはあまり詳しくありませんでしたが、なぜ時の権力者が切支丹を根絶しようとしたか、そうした理由が納得できるように書かれています。その中で、天草四郎の意志と力を受け継いだ主役である者たちが苦悩しながら闘う姿は、盲信的な信仰を越えて、生きることの意味に迫ります。
それは決して過ぎ去った時代のことだけではなく、現代においても平和で自由な時代に見えて、同じような権力者による思想統制や踏み絵のようなことがことが行われているわけです。表向き泰平の世であっても、庶民は生きることに必死である、そうした私達に近い存在だと思いました。

と、感想を書こうとすればいろいろな思考が廻ってしまうのですが、読んでいる時は忍者モノの活劇として楽しめます。そしてまだまだこの先も数巻は続いて行くと思われるので、その物語の中で派手な闘いも、純な恋情も、辛い葛藤や強い決意もあるでしょう、クライマックスには天草四郎が復活するのか・・・など、大いに期待を膨らませながら、次を待ちたいと思います。

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