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「魔神航路」仁木英之(PHP文芸文庫)
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本当に精力的に次々と作品を生み出している作者の、また新しいストーリーの始まりです。文庫本の書き下ろしということで、1巻完結かと思って読み始めたのですが、ギリシア神話の世界を舞台にした話がそんなに簡単に終わるわけはありませんでした。
それにしても、中国の神仙、天竺までの仏僧行脚、日本の八百万神、江戸初期の切支丹ときて、ついにギリシアの神々と、宗教観を取り入れることで小説としての深みが増していきます。世の中には単に設定として使う作品も多いですが、しっかり考証されているので知的好奇心をも刺激してくれるのが素晴らしいです。

さて、中国でも日本でもなく、古代(神代)とはいえ西欧での物語、しかして中身は現代日本の若者たちの青春群像なのですが、ギリシア神話の名だたる神や英雄たちが続々と登場して活躍する展開が新鮮で楽しいものでした。
もちろん、その筆頭は魔神・テューポーンで、そのかわいらしさにすっかり魅せられてしまいます(本来は荒ぶる男神のはずなのですが、神に性別はないと本人も言っております)。アニメなどでよくある萌えキャラタイプであると言えばそうで、当然に作者もそこを狙ってキャラを立てていると思われますが、しかしそれだけでは終わらない、神としての奥深さが描かれているところが魅力です。
それは、神の時間と人の時間の違いなのかもしれません。神と人が融合するというこの話の肝は、そこにあるかと思います。古代と現代の時の壁を超える経験をした神や人たちが、そのうち出るだろう2巻ではもっとダイナミックに動き回るかと思うと、続きが楽しみです。

それにしても、ギリシア神話は小学生の頃に児童書で読んだ記憶があるくらいですが、とんでもない神様たちの話です。こんな話が何千年も前に生まれていたというのが驚きです。中国4千年の歴史もすごいですが、そこにキリストやブッダや孔子が生まれた文化的ベースがあるわけです。
それに比べて日本の神話なんてちっぽけなものだよなぁと思ったり。別に小さいことは悪くないのですが。日本が神国だなんて勘違いするたびに大きな過ちを冒してきたわけで、日本文化の素晴らしい神髄はもっと別のところにあるのだと理解していなければなりません。と、いつも仁木氏の作品には気付かされるのです。

テューポーン以外にも、幼なじみの女の子や双子の女の子、介抱してくれたギリシアの少女もまた登場してほしいしと、なかなかステキな女性も多く、どんな展開を描いてくれるか。もちろん、男どもの熱いバトルアクションや冒険も見所ですが。主人公の性格がちょっと・・というところも、変に感情移入し過ぎないので良いのかも知れません。続巻を待望することにしましょう。


 

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