つばめろま〜なから、なにかを知りたい貴方へ。
「ちょうかい 未犯調査室」仁木英之(小学館)
警察組織の内でいろいろと問題のあるメンバーが集められ、犯罪を未然に防ぐことを目指して活動する犯罪史編纂室メンバーたちの話。新しい発想で、個々のキャラクターも立っていて、これまでに作者が描いてきたSFやオカルトや格闘技などの要素も取り入れられていて、もっと面白くなりそうなのに、なんかすっきりしない話でした。早々に続巻も出るようですし、まだ序盤といったところなのでしょうが、つかみ切れていないのが惜しい感じです。
ひとえに、ヒロインであるはずの室長が、なにかに取り憑かれてしまったようで、その半端ない魅力を半減させられていることに尽きるかもしれません。次の巻ではスッキリと立ち直ってほしいところですが、まだまだ謎も多いので、ちょっと鬱っぽい展開が続きそうな気がします。
それでも仁木作品のファンとして、期待をもって最後まで読み続けたいと思います。

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警察組織の内でいろいろと問題のあるメンバーが集められ、犯罪を未然に防ぐことを目指して活動する犯罪史編纂室メンバーたちの話。新しい発想で、個々のキャラクターも立っていて、これまでに作者が描いてきたSFやオカルトや格闘技などの要素も取り入れられていて、もっと面白くなりそうなのに、なんかすっきりしない話でした。早々に続巻も出るようですし、まだ序盤といったところなのでしょうが、つかみ切れていないのが惜しい感じです。
ひとえに、ヒロインであるはずの室長が、なにかに取り憑かれてしまったようで、その半端ない魅力を半減させられていることに尽きるかもしれません。次の巻ではスッキリと立ち直ってほしいところですが、まだまだ謎も多いので、ちょっと鬱っぽい展開が続きそうな気がします。
それでも仁木作品のファンとして、期待をもって最後まで読み続けたいと思います。

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「恋せよ魂魄 僕僕先生」仁木英之(新潮社)

前巻で旅路も折り返しとなり、一気にラストへ向かって走り始めた感のある8巻目?でした。往きはどんどん道連れも増えていって長かったけれど、帰りは新しくデラクが加わっただけの少人数で、都まであっという間です。
王弁が薬師として人の命と向き合い頑張る姿からは、まだまだ未熟なところも大きいとはいえ、旅を通して成長した人間性が見えて感慨深いものがありました。ヘタレぶりが減ったのは少し寂しいけれど…。気を操り患者を治療する場面では、酒見賢一の「陋巷に在り 医の巻」を思い出しました。西洋医術とは違う、神秘的に見えるけれどおそらく理にかなった技なのだと、興味をそそられてしまいます。
成長を見せる王弁を僕僕も認めてきたところで、二人の距離感も変わってきているように思います。子を見守るようだった僕僕の意識も一つ上がり、やっと師弟に近づいてきたかと。ざんねんながら恋人ではないと。
本巻での主役はむしろ暗殺者の劉欣で、歌姫との旅行きがロマンチックでした。ロマンスはないけれど、極限の命のやりとりがある関係の中で、少しだけ心がつながる様子は素敵です。そして哀しい。それにしても、劉欣を慕う少女の蒼芽香が出番ないまま劉欣が…ちょっと心残りなところでした。
もう一人、高原の少女であるタシも魅力的なヒロインでした。どうも僕僕にヒロイン力が薄れてきているので、オネエのデラクも含めて脇を固める女性陣が愛しく思えてなりません。そろそろクライマックスに向かっていると思われる中、鬱々とした展開も多いので、ヒロインズも総登場して賑々しく盛り上げてくれると嬉しいなぁとも思うのでした。

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前巻で旅路も折り返しとなり、一気にラストへ向かって走り始めた感のある8巻目?でした。往きはどんどん道連れも増えていって長かったけれど、帰りは新しくデラクが加わっただけの少人数で、都まであっという間です。
王弁が薬師として人の命と向き合い頑張る姿からは、まだまだ未熟なところも大きいとはいえ、旅を通して成長した人間性が見えて感慨深いものがありました。ヘタレぶりが減ったのは少し寂しいけれど…。気を操り患者を治療する場面では、酒見賢一の「陋巷に在り 医の巻」を思い出しました。西洋医術とは違う、神秘的に見えるけれどおそらく理にかなった技なのだと、興味をそそられてしまいます。
成長を見せる王弁を僕僕も認めてきたところで、二人の距離感も変わってきているように思います。子を見守るようだった僕僕の意識も一つ上がり、やっと師弟に近づいてきたかと。ざんねんながら恋人ではないと。
本巻での主役はむしろ暗殺者の劉欣で、歌姫との旅行きがロマンチックでした。ロマンスはないけれど、極限の命のやりとりがある関係の中で、少しだけ心がつながる様子は素敵です。そして哀しい。それにしても、劉欣を慕う少女の蒼芽香が出番ないまま劉欣が…ちょっと心残りなところでした。
もう一人、高原の少女であるタシも魅力的なヒロインでした。どうも僕僕にヒロイン力が薄れてきているので、オネエのデラクも含めて脇を固める女性陣が愛しく思えてなりません。そろそろクライマックスに向かっていると思われる中、鬱々とした展開も多いので、ヒロインズも総登場して賑々しく盛り上げてくれると嬉しいなぁとも思うのでした。

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「虚人の星」島田雅彦(講談社)を読みました。
島田作品を読むのは久しぶりになりますが、今、書かざるを得なかった切迫した小説なのだろうと思います。私もこのご時世で、同世代でもある作者の強い想いは読まざるを得ませんでした。
章ごと交互に一人称で語る主人公の一人は、誰がどう考えても現首相の安倍チャンがモデルですが、実際の人物よりは好ましい人物として描かれています。心の病気だから仕方ないんだと。もう一人は子供の頃から不遇を歩んできて七重人格となりスパイになった青年です。
二人の語りで、今の世界情勢、米国と中国の間にある日本の立ち位置というのが明確にされます。なぜ安倍をはじめ右翼連中が戦争体勢を整えようとしたいのか、ふつうに平和を願う人間には理解し難いことを、納得のいくように解説していて、作者の力量発揮というところでしょう。
自分とは違う主張に対しても考えを巡らせることができるのは、想像力のある人間。他人の意見に耳を貸すことすらできないのは、妄想にとらわれる人間です。
物語はリアルな現代を背景にしていますが、まったく異なる二人の人間の人生ドラマが描かれ、運命が二人を引き合わせていく展開は小説として面白いものです。今の世でなければ、こんな奴が首相になんかなれるわけないと、笑いながら楽しめるフィクションになるのでしょうが…。時に現実は常識を超越して笑えないコメディと化してしまいます。
ラストは、本当にこんなことになれば良いなぁという結末になりますが、現実の首相の心に平和を求める人間性などあり得ない話ですので、ちょっと空しさを感じてしまいました。
そんな今や多くの人に嫌われ憎まれている安倍チャンの人格を揶揄しながらも、博愛をもって描いているところに違和感がありますが、いやそれこそが島田雅彦なりの大きな皮肉を込めたメッセージ。しかし聞く耳持たぬ当人には伝わらないでしょうね。

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島田作品を読むのは久しぶりになりますが、今、書かざるを得なかった切迫した小説なのだろうと思います。私もこのご時世で、同世代でもある作者の強い想いは読まざるを得ませんでした。
章ごと交互に一人称で語る主人公の一人は、誰がどう考えても現首相の安倍チャンがモデルですが、実際の人物よりは好ましい人物として描かれています。心の病気だから仕方ないんだと。もう一人は子供の頃から不遇を歩んできて七重人格となりスパイになった青年です。
二人の語りで、今の世界情勢、米国と中国の間にある日本の立ち位置というのが明確にされます。なぜ安倍をはじめ右翼連中が戦争体勢を整えようとしたいのか、ふつうに平和を願う人間には理解し難いことを、納得のいくように解説していて、作者の力量発揮というところでしょう。
自分とは違う主張に対しても考えを巡らせることができるのは、想像力のある人間。他人の意見に耳を貸すことすらできないのは、妄想にとらわれる人間です。
物語はリアルな現代を背景にしていますが、まったく異なる二人の人間の人生ドラマが描かれ、運命が二人を引き合わせていく展開は小説として面白いものです。今の世でなければ、こんな奴が首相になんかなれるわけないと、笑いながら楽しめるフィクションになるのでしょうが…。時に現実は常識を超越して笑えないコメディと化してしまいます。
ラストは、本当にこんなことになれば良いなぁという結末になりますが、現実の首相の心に平和を求める人間性などあり得ない話ですので、ちょっと空しさを感じてしまいました。
そんな今や多くの人に嫌われ憎まれている安倍チャンの人格を揶揄しながらも、博愛をもって描いているところに違和感がありますが、いやそれこそが島田雅彦なりの大きな皮肉を込めたメッセージ。しかし聞く耳持たぬ当人には伝わらないでしょうね。

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鎌倉が生んだ(横浜生まれの鎌倉育ちですが)人気イラストレーター・絵本作家の伊藤正道さん、名前は知らなくても、誰もがその絵は見た覚えはあるのではないでしょうか。妻がイラストを習っていたことから、私も何度か会ってお話しする機会があったため、自然に先生と呼んでいる方です。
3年半前に急逝された2ヶ月前の正月明け、私一人で稲村ヶ崎にある先生のアトリエギャラリーの個展におじゃまして、小一時間ほどお喋りしたのが最後の楽しい思い出です。その時にはとてもお元気でしたが、健康はわからないもの、とても哀しいことでした。
今回は地元作家の原画展を鎌倉市の5つの図書館で同時開催するという、素敵な企画です。最近、鎌倉市図書館は「学校がつらいなら図書館に来て」とのツイートでちょっと注目を浴びましたが、民間企業運営ではできない発想、地元への熱意があふれている感じです。昔も今も文士の多い地ですから、図書館は文化を護り創る場であって欲しいものです。
2015年11月1日、開催期間は短いので一日で回ってしまおうと、まずは家の近くの玉縄図書館からスタートしました。5館の中でいちばん駅から遠いところが近所なのは幸運です。テーマは「マフィーくんとジオじいさん ふしぎなぼうし」で2枚の展示、恐竜の絵が印象的でした。
次に歩いて大船図書館へ。テーマは「三日月の夜」で1枚の展示、漆黒の夜空に黄色い月が鮮やかな絵です。
モノレールに乗って深沢図書館へ。「タイニィ・トゥインクルのふしぎなともだち」で2枚の展示、1枚の紙面にたくさんの人物イラストが描かれているのがクリスマスらしい楽しさの絵。
もう一度モノレールで1駅、腰越図書館へ。「僕への小さな旅」で2枚、船の舳先に立つ少年とくまのぬいぐるみがかわいい絵。
最後に江ノ電に乗って鎌倉中央図書館へ。「DREAMING」で2枚、三日月の帆を上げた空飛ぶ船の絵。
各館1〜2枚と少なかったですが、移動時間をはさみながらそれぞれの世界観に触れていくと、伊藤先生のナイーブなファンタジックさが心に積み重なってきて、ギャラリーで一度に見るのとは違う感慨深いものがありました。
ふだんは滅多に行くことのない図書館を、それも初めて訪れる2館も含め5館をはしごして違いを確かめたり、途中ではアンティーク雑貨や竹細工の店に寄ったり、イタリアンの店で美味しいランチを食べたり、山を感じ海を眺めたりと、いろいろと新発見をしながらの鎌倉横断行で大いに楽しみました。
2015.10.25、映画館に行ったのは実に何年ぶりのことか、前に何を観たのかさえ思い出せないほどで、渋谷のイメージフォーラムは初めて。足を運ぶ ことにしたきっかけは、先日の横浜ジャズプロムナードのステージで素晴らしいバイオリンを聴かせてくれた、アレクセイ・アイギが音楽を担当していると知っ たこと、そして情報量の少ないホームページを見ただけでも、この映画の美しさや新しさが伝わってきたからです。
本作を観るにおいては、事前情報は少ない方が良いかもしれません。ラストに、あまりにも衝撃的な体験が待っていますので。未見で興味がわきそうな方は、ネタバレは書かないけれど印象付いてしまうかもしれませんので、以下注意してお読みください。
大学生の頃からソ連の監督の映画をよく観ていた自分にとって、本作はN.ミハルコフのモンゴルの大草原を舞台にした「ウルガ」と、A.タルコフスキーの終末戦争への恐れを描いた「サクリファイス」、2作品とイメージが重ねる部分が多くありました。本作を観るにおいては、事前情報は少ない方が良いかもしれません。ラストに、あまりにも衝撃的な体験が待っていますので。未見で興味がわきそうな方は、ネタバレは書かないけれど印象付いてしまうかもしれませんので、以下注意してお読みください。
ただ、両マエストロとは違う瑞々しい感覚がこの作品からは感じられて、進取の精神にあふれた若い監督の想いが、演技経験のほとんどない俳優たちを活かし、中央アジアの広大な平原を舞台にして、水平と垂直とシンメトリーにこだわった映像構成により、一部の隙もない美しさに結実したという、奇跡のような世界だと思いました。
ヒロインは東洋系の美少女ですが、ほとんど愛想や媚びを含んだ笑顔を見せることなく、気高さを感じさせます。いっさいセリフのない作品ですので、表情から感情を読みとるしかないのですが、単調な暮らしを幸福に感じているのか、諦めているのかもつかめない、それでいて生きる意思が伝わってくるのがとても印象的でした。
父親は厳めしいながらどこかユーモラスな人間性を感じさせ、二人の若い青年は情熱的だけれどいやらしさを見せることなく純粋で、一軒のボロ家しかない大平原の一部となっています。
この何もない場所で、何でもない日常が流れ、牧歌的なドラマが描かれていく…のかと言えば、昔から受け継がれてきた遊牧の民の暮らしではなくて、車や飛行機やラジオが外の文明と繋げている、危うさを感じさせる世界。やがて、有無をも言わせぬエンディングに繋がっていくのでした。
観終わった時の呆然とするしかない気持ち。客席を立って階段を上り外に出るまで、観客の誰一人として言葉を発しない静寂な行進、コアな映画ファンが集まるイメージフォーラムにしてこれなのですから、衝撃の大きさを表していたでしょう。感動でも、恐怖でも、カタルシスでもない、心を震わせ刻み込まれた体験となったように思います。
最後に、アイギの音楽は映像世界の中でムダな自己主張をすることなく、しかし無言劇の空隙を大自然の音とともに静かな存在感で埋め尽くしていきます。ジャズプロでは太田恵資とのバイオリンデュオで即興演奏を聴かせてくれましたが、ロシアでは人気の作曲家として、多くの映画音楽も手がけているという才能が存分に発揮されていました。
太田恵資は、本人はいやがるだろうけれど日本で言えば坂本龍一や久石譲のように知られた作曲家、と紹介していましたが、なるほどと思いつつ、やはりソ連・ロシアの映画音楽を数多く作ってきた巨匠E.アルテミエフとの共通が感じられる音楽だったなぁと感じました。ジャズプロでCDにサインしてもらいましたが、自分の宝物としての価値が上がってしまいました。アレクセイ、スパシーヴァ。
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絵・音・文・歩
自己紹介:
長年、同人誌で創作漫画を発表してきましたが、本当は小説が主な表現手段。職業はコピーライターで、趣味は楽器を鳴らすことなど。
下記に作品等アップ中です。よろしくお願いします!
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■イラスト作品 pixiv
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