つばめろま〜なから、なにかを知りたい貴方へ。
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「虚人の星」島田雅彦(講談社)を読みました。
島田作品を読むのは久しぶりになりますが、今、書かざるを得なかった切迫した小説なのだろうと思います。私もこのご時世で、同世代でもある作者の強い想いは読まざるを得ませんでした。
章ごと交互に一人称で語る主人公の一人は、誰がどう考えても現首相の安倍チャンがモデルですが、実際の人物よりは好ましい人物として描かれています。心の病気だから仕方ないんだと。もう一人は子供の頃から不遇を歩んできて七重人格となりスパイになった青年です。
二人の語りで、今の世界情勢、米国と中国の間にある日本の立ち位置というのが明確にされます。なぜ安倍をはじめ右翼連中が戦争体勢を整えようとしたいのか、ふつうに平和を願う人間には理解し難いことを、納得のいくように解説していて、作者の力量発揮というところでしょう。
自分とは違う主張に対しても考えを巡らせることができるのは、想像力のある人間。他人の意見に耳を貸すことすらできないのは、妄想にとらわれる人間です。
物語はリアルな現代を背景にしていますが、まったく異なる二人の人間の人生ドラマが描かれ、運命が二人を引き合わせていく展開は小説として面白いものです。今の世でなければ、こんな奴が首相になんかなれるわけないと、笑いながら楽しめるフィクションになるのでしょうが…。時に現実は常識を超越して笑えないコメディと化してしまいます。
ラストは、本当にこんなことになれば良いなぁという結末になりますが、現実の首相の心に平和を求める人間性などあり得ない話ですので、ちょっと空しさを感じてしまいました。
そんな今や多くの人に嫌われ憎まれている安倍チャンの人格を揶揄しながらも、博愛をもって描いているところに違和感がありますが、いやそれこそが島田雅彦なりの大きな皮肉を込めたメッセージ。しかし聞く耳持たぬ当人には伝わらないでしょうね。
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島田作品を読むのは久しぶりになりますが、今、書かざるを得なかった切迫した小説なのだろうと思います。私もこのご時世で、同世代でもある作者の強い想いは読まざるを得ませんでした。
章ごと交互に一人称で語る主人公の一人は、誰がどう考えても現首相の安倍チャンがモデルですが、実際の人物よりは好ましい人物として描かれています。心の病気だから仕方ないんだと。もう一人は子供の頃から不遇を歩んできて七重人格となりスパイになった青年です。
二人の語りで、今の世界情勢、米国と中国の間にある日本の立ち位置というのが明確にされます。なぜ安倍をはじめ右翼連中が戦争体勢を整えようとしたいのか、ふつうに平和を願う人間には理解し難いことを、納得のいくように解説していて、作者の力量発揮というところでしょう。
自分とは違う主張に対しても考えを巡らせることができるのは、想像力のある人間。他人の意見に耳を貸すことすらできないのは、妄想にとらわれる人間です。
物語はリアルな現代を背景にしていますが、まったく異なる二人の人間の人生ドラマが描かれ、運命が二人を引き合わせていく展開は小説として面白いものです。今の世でなければ、こんな奴が首相になんかなれるわけないと、笑いながら楽しめるフィクションになるのでしょうが…。時に現実は常識を超越して笑えないコメディと化してしまいます。
ラストは、本当にこんなことになれば良いなぁという結末になりますが、現実の首相の心に平和を求める人間性などあり得ない話ですので、ちょっと空しさを感じてしまいました。
そんな今や多くの人に嫌われ憎まれている安倍チャンの人格を揶揄しながらも、博愛をもって描いているところに違和感がありますが、いやそれこそが島田雅彦なりの大きな皮肉を込めたメッセージ。しかし聞く耳持たぬ当人には伝わらないでしょうね。
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鎌倉が生んだ(横浜生まれの鎌倉育ちですが)人気イラストレーター・絵本作家の伊藤正道さん、名前は知らなくても、誰もがその絵は見た覚えはあるのではないでしょうか。妻がイラストを習っていたことから、私も何度か会ってお話しする機会があったため、自然に先生と呼んでいる方です。
3年半前に急逝された2ヶ月前の正月明け、私一人で稲村ヶ崎にある先生のアトリエギャラリーの個展におじゃまして、小一時間ほどお喋りしたのが最後の楽しい思い出です。その時にはとてもお元気でしたが、健康はわからないもの、とても哀しいことでした。
今回は地元作家の原画展を鎌倉市の5つの図書館で同時開催するという、素敵な企画です。最近、鎌倉市図書館は「学校がつらいなら図書館に来て」とのツイートでちょっと注目を浴びましたが、民間企業運営ではできない発想、地元への熱意があふれている感じです。昔も今も文士の多い地ですから、図書館は文化を護り創る場であって欲しいものです。
2015年11月1日、開催期間は短いので一日で回ってしまおうと、まずは家の近くの玉縄図書館からスタートしました。5館の中でいちばん駅から遠いところが近所なのは幸運です。テーマは「マフィーくんとジオじいさん ふしぎなぼうし」で2枚の展示、恐竜の絵が印象的でした。
次に歩いて大船図書館へ。テーマは「三日月の夜」で1枚の展示、漆黒の夜空に黄色い月が鮮やかな絵です。
モノレールに乗って深沢図書館へ。「タイニィ・トゥインクルのふしぎなともだち」で2枚の展示、1枚の紙面にたくさんの人物イラストが描かれているのがクリスマスらしい楽しさの絵。
もう一度モノレールで1駅、腰越図書館へ。「僕への小さな旅」で2枚、船の舳先に立つ少年とくまのぬいぐるみがかわいい絵。
最後に江ノ電に乗って鎌倉中央図書館へ。「DREAMING」で2枚、三日月の帆を上げた空飛ぶ船の絵。
各館1〜2枚と少なかったですが、移動時間をはさみながらそれぞれの世界観に触れていくと、伊藤先生のナイーブなファンタジックさが心に積み重なってきて、ギャラリーで一度に見るのとは違う感慨深いものがありました。
ふだんは滅多に行くことのない図書館を、それも初めて訪れる2館も含め5館をはしごして違いを確かめたり、途中ではアンティーク雑貨や竹細工の店に寄ったり、イタリアンの店で美味しいランチを食べたり、山を感じ海を眺めたりと、いろいろと新発見をしながらの鎌倉横断行で大いに楽しみました。
2015.10.25、映画館に行ったのは実に何年ぶりのことか、前に何を観たのかさえ思い出せないほどで、渋谷のイメージフォーラムは初めて。足を運ぶ ことにしたきっかけは、先日の横浜ジャズプロムナードのステージで素晴らしいバイオリンを聴かせてくれた、アレクセイ・アイギが音楽を担当していると知っ たこと、そして情報量の少ないホームページを見ただけでも、この映画の美しさや新しさが伝わってきたからです。
本作を観るにおいては、事前情報は少ない方が良いかもしれません。ラストに、あまりにも衝撃的な体験が待っていますので。未見で興味がわきそうな方は、ネタバレは書かないけれど印象付いてしまうかもしれませんので、以下注意してお読みください。
大学生の頃からソ連の監督の映画をよく観ていた自分にとって、本作はN.ミハルコフのモンゴルの大草原を舞台にした「ウルガ」と、A.タルコフスキーの終末戦争への恐れを描いた「サクリファイス」、2作品とイメージが重ねる部分が多くありました。本作を観るにおいては、事前情報は少ない方が良いかもしれません。ラストに、あまりにも衝撃的な体験が待っていますので。未見で興味がわきそうな方は、ネタバレは書かないけれど印象付いてしまうかもしれませんので、以下注意してお読みください。
ただ、両マエストロとは違う瑞々しい感覚がこの作品からは感じられて、進取の精神にあふれた若い監督の想いが、演技経験のほとんどない俳優たちを活かし、中央アジアの広大な平原を舞台にして、水平と垂直とシンメトリーにこだわった映像構成により、一部の隙もない美しさに結実したという、奇跡のような世界だと思いました。
ヒロインは東洋系の美少女ですが、ほとんど愛想や媚びを含んだ笑顔を見せることなく、気高さを感じさせます。いっさいセリフのない作品ですので、表情から感情を読みとるしかないのですが、単調な暮らしを幸福に感じているのか、諦めているのかもつかめない、それでいて生きる意思が伝わってくるのがとても印象的でした。
父親は厳めしいながらどこかユーモラスな人間性を感じさせ、二人の若い青年は情熱的だけれどいやらしさを見せることなく純粋で、一軒のボロ家しかない大平原の一部となっています。
この何もない場所で、何でもない日常が流れ、牧歌的なドラマが描かれていく…のかと言えば、昔から受け継がれてきた遊牧の民の暮らしではなくて、車や飛行機やラジオが外の文明と繋げている、危うさを感じさせる世界。やがて、有無をも言わせぬエンディングに繋がっていくのでした。
観終わった時の呆然とするしかない気持ち。客席を立って階段を上り外に出るまで、観客の誰一人として言葉を発しない静寂な行進、コアな映画ファンが集まるイメージフォーラムにしてこれなのですから、衝撃の大きさを表していたでしょう。感動でも、恐怖でも、カタルシスでもない、心を震わせ刻み込まれた体験となったように思います。
最後に、アイギの音楽は映像世界の中でムダな自己主張をすることなく、しかし無言劇の空隙を大自然の音とともに静かな存在感で埋め尽くしていきます。ジャズプロでは太田恵資とのバイオリンデュオで即興演奏を聴かせてくれましたが、ロシアでは人気の作曲家として、多くの映画音楽も手がけているという才能が存分に発揮されていました。
太田恵資は、本人はいやがるだろうけれど日本で言えば坂本龍一や久石譲のように知られた作曲家、と紹介していましたが、なるほどと思いつつ、やはりソ連・ロシアの映画音楽を数多く作ってきた巨匠E.アルテミエフとの共通が感じられる音楽だったなぁと感じました。ジャズプロでCDにサインしてもらいましたが、自分の宝物としての価値が上がってしまいました。アレクセイ、スパシーヴァ。
今年で23回目を迎える、日本最大・最上質のジャズフェスティバル。幸運なことに、私も23年間無事に通い続けることができております。2日間、どっぷりと多種多彩なジャズに漬かってきました。
聴いたステージの感想を記しておきます。
INDEX
【10月10日】
■RUIKE SHINPEI 5 piece band
■森山威男カルテット
■Shun Sakai & The Long Goodbye
■鬼武みゆき with Friends
■中牟礼貞則トリヲ
【10月11日】
■田中信正ピアノトリオ
■太田惠資&アレクセイ・アイギ
■今田勝トリオ
■板橋文夫FIT!+3
■板橋文夫スペシャル・オーケストラ+金子友紀・結
【10月10日】
■RUIKE SHINPEI 5 piece band
関内ホール 小ホール 12:00〜13:00
[member]類家心平(tp)中嶋錠二(p,key)田中拓也(g)
鉄井孝司(b)吉岡大輔(ds)
昨年のYJPでいちばん印象深かった類家さんを、今年はトップから聴くことができました。2日間のスタートとしてふさわしいステージです。
最初の1音からカッコイイ。5人それぞれが個性的でありながら、一つの世界を目指し、押し広げようとするかのような、若くエネルギッシュな創造性を感じました。トランペットは、他の人のリーダーバンドに参加するときよりは吹きまくるスタイルではなく、類家心平の深い音楽性を聴かせてもらえたように思います。短時間に一人のジャズメンのいろんな側面を知ることができるのも、このフェスティバルならではです。そういえば類家さん、昨年よりルックスもスマートになっていた感が…。
■森山威男カルテット
KAAT神奈川芸術劇場 ホール 14:20〜15:30
[member]森山威男(ds)田中信正(p)川島哲朗(ts)加藤真一(bs)
YJPでは今年から使用の会場、新しくてモダンな文化施設です。ホールは真っ赤な客席が3階までせり上がり、ものすごく印象的でした。
そんな会場で聴く久しぶりの森山さん、初期のYJPでクリョーヒン、マスラクとのフリー演奏が未だ鮮明に思い返されますが、70歳を過ぎても枯れることのないしなやかなスティックさばきに改めて魅了されました。日本に名ドラマーは数多くいるけれど、そしてこの2日間だけでもたくさん聴きましたが、こんなに柔軟さを感じる人は森山さん以外に知りません。太鼓の叩き方だけでなく、音楽性、共演者との関係性、話しぶりまで含めて、音楽家として容量の大きさを感じます。自虐ネタも多い話が、ユーモアと人情味にあふれていておかしすぎました。
田中さんのピアノが森山さんのドラムに乗せられて自由に、多彩な音楽のエッセンスを詰め込んだようで素晴らしかったのが印象的です。川島さんのテナーも、伸び伸びと吹いていて心地よく、深いけれど聴きやすい音楽になっていました。
■Shun Sakai & The Long Goodbye
関内ホール 大ホール 16:00〜18:00
[member]酒井俊(vo)田中信正(p)土井徳浩(cl)太田朱美(fl)
類家心平(tp)纐纈雅代(sax)向島ゆり子(vl)熊坂路得子(acc)
瀬尾高志(b)竹村一哲(ds)及川キーダ(ペインティング)
今年はさまざまな映画音楽を立て続けに演奏していくステージ。元からストーリー性を持っている曲を休みなく連ねていきながら、新たなドラマ性を生み出していく、意欲的な試みだったと思います。
まさに映画俳優のように個性の強い実力派ミュージシャンが集まっていますが、演奏する身にとっては約2時間、緊張を解くところがなくて大変だろうなと思いました。特にピアノの田中さんはつい20分前まで森山さんと熱い演奏をしていたばかりで、まさにプロのジャズメンというべきすごい切り替えです。
残念ながら半分のところで途中退出してしまったのですが、前半最大の見せ場である「よいとまけの歌」は圧巻でした。酒井さんとピアノ・ドラム以外(?)の皆さんが客席に降りてきて、炭坑で働いているような雑音で会場中を包む演出、酒井さんの時にマイクを使わず生声を響かせる歌など、心が震えました。
音楽に合わせて踊るように描く及川さんのライブペインティングも、原色の鮮やかな絵でステージを盛り上げていました。完成が見たかったですが…次の会場は満席になることがわかっているので、皆さんすみませんと頭を下げつつ早めに移動しました。
■鬼武みゆき with Friends
関内ホール 小ホール 17:30〜18:30
[member]鬼武みゆき(p)佐藤芳明(acc)鳥越啓介(b)岡部洋一(per)
酒井俊さんを途中退出してまで聴きたかったのは、毎年のように聴いている鬼武さんですが、今年はメンバーが少し変わってアコーディオンの佐藤さんが入っていたため。佐藤さんの演奏は以前に見て印象深かったからです。
鬼武さんの美しく優しくメッセージ性の強い、ニューミュージックの歌を聴いているかのような音楽と、佐藤さんのアコーディオンの音色が見事に調和した心地よい音は、いつもの中西さんのバイオリンとはまた違った世界となって表れていました。そこに、いつもの岩瀬さんのドラムではなく岡部さんのパーカッションが、ひとつずつ丹念に音を添えていきます。ベースはいつもの鳥越さん、この人はいかにも優しげな容姿ですがしっかりと芯になっています。
そんな4人が、一つ一つの曲を大切に大切に創り上げていくステージは、より激しいジャズを志向してしまう私の耳にとって、数少ない癒しの時間を与えてくれるのでした。とは言っても、鬼武さんのこの社会に対する思想や行動は生半可なものではなく、音としてしっかりと伝わってくるのですから、いつまでも変わらぬ美貌以上に惹き付けられるのでした。
■中牟礼貞則トリヲ
関内ホール 小ホール 19:20〜20:20
[member]中牟礼貞則(g)吉野弘志(b)池長一美(ds)
鬼武さんのニューアルバムを買ってサインをもらっていたりしたら、他の会場に移動する時間もなくなり、中牟礼さんは初めてですが、同じホールで続けて聴くことにしました。
調べれば80過ぎの超ベテランギタリスト、渡辺香津美氏の師匠だそうです。長い芸歴で身につけたスタンダード曲の数々を演奏されました。おくした人たちが築いた下地の上に、今のジャズがあるのだなぁと思いながら、渋く枯れた感じを味わい、1日目を終えました。
【10月11日】
■田中信正ピアノトリオ
KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ 11:30〜12:30
[member]田中信正(p)橋本学(ds)落合康介(b)
前日、森山さんと酒井さん2ステージでのピアノを聴いて、期待感が高まったところで、この日はリーダーバンドを聴けることになった田中正信さん。
座席のオレンジ色が印象的なKAAT大スタジオに、キティTシャツを着た田中さんと、学生風情も感じる若い二人がマッチします。そしてステージは期待のはるか上をゆく素晴らしいものでした。
オリジナル曲の数々は、メロディックで刺激的な実験性にあふれていて、丁寧かつダイナミックな演奏で一つずつの音を創り上げ、世界観を構築していきます。私がとても好きなタイプの創造性です。
決して聴きやすい音楽ではないとも思いますが、会場の年輩の方たちまでもしっかり擒にしていた…ように感じました。喋りににじみ出る人柄もあるかもしれません。
これまでにも何度も聴いてきた人ではありましたが、今年のYJPで最も印象に残るプレイヤーとなりました。
■太田惠資&アレクセイ・アイギ☆ Violin Brothers
関内ホール 小ホール 13:50〜14:50
[member]太田惠資(vl)アレクセイ・アイギ(vl)
今年の目玉の一つとして楽しみにしていた、ロシアのバイオリニスト・作曲家のアイギ。3年前のYJPに出演したときは、太田さんとのデュオをラジオで聴き、ヒカシューにゲストで出たのを観て、CDも2枚買っていたので、今回は期待も高まっていました。
二人の演奏は完全即興、といっても滅茶苦茶に弾きまくるのではない、メロディーやハーモニーの美しさを求めるものでした。そもそもロシアの音楽や映画に大きな影響を受けてきた私なので、ロシア人の感性であふれるアイギさんと、日本人でありながら国際感覚豊かな太田さんが、自らバイオリン・ブラザースと言うほど心の通った競演は、ストレートに魂に染みてきます。
今回は時間が合わずに聴けませんでしたが、前にヒカシューで狂ったように弾きまくっていたのとは違う魅力がありました。CDで聴いていたアイギの自分のバンドでの曲もまた違ったおもしろさがあったので、これからも何度も登場していろんな面を見せて欲しいと思いました。
とりあえず、音楽を担当されている上映中の映画「草原の実験」は観に行きたいと思います。
■今田勝トリオ
関内ホール 小ホール 15:40〜16:40
[member]今田 勝(p)稲垣 護(b)守 新治(ds)
前夜の中牟礼さんのようにベテラントリオのスタンダードで少し休憩、というつもりでしたが、初っぱなからレベルの高い演奏で心を掴まれてしまいました。レストランでBGMに掛かるような洗練された上質なジャズという感じですが、それが目の前で演奏されているとなれば、気持ち良くないはずがなく。
3人とも3〜40年も前には、時代の先端をゆくカッコイイ人たちだったに違いありません、そんな雰囲気も残したままの年齢に似合わない、バイタルな疾走感にあふれた、若々しいミュージシャンでした。
■板橋文夫FIT!+3
■板橋文夫スペシャル・オーケストラ+金子友紀・結
関内ホール 大ホール 18:00〜21:10
〈第1部〉 「板橋文夫(p)FIT!+ゲスト3」
[member]板橋文夫(p)瀬尾高志(b)竹村一哲(ds)
類家心平(tp)纐纈雅代(as)レオナ(Tap)
毎年進化を見せつけてくれるFIT(Fumio+Ittetsu+Takashi)に、若手の有望株を加えての演奏。板橋さんだけでなく、瀬尾さん、一哲さんの曲を、情感たっぷりに聴かせてくれました。
FITの3人はもちろんのこと、ほかの3人との繋がりもこの1年間で強くなっているところが伺われる、迫力とともに深さの感じられる演奏でした。
タップのレオナさんは、板橋さんとの出会いがあってジャズと競演するようになったと言うだけあって、見せるためのダンスではなく、しっかりと聴かせる音を踏みならす人になっていました。類家さんのトランペットも、前日の自身のバンドでの演奏とは違って吹きまくっていたのが印象的です。
〈第2部〉「板橋文夫スペシャル・オーケストラ+スペシャルゲスト」
[member]板橋文夫(p)林栄一(as)纐纈雅代(as)片山広明(ts)
吉田隆一(bs)類家心平(tp)後藤篤(tb)高岡大祐(Tuba)
太田恵資(vn)瀬尾高志(b)竹村一哲(ds)外山明(ds)
民謡ユニット『結』:金子友紀(vo)藤沢しげみ(太鼓・vo)
町田加代子(三味線)小山貢理乃(三味線)
レオナ(Tap)堀越千秋(ライブ・ペインティング)
1部で時間が押したので、予定されていた何曲かが削られたのは残念でしたが、大編成ならではのカタルシスを与えてくれる演奏でした。特に、金子さんはじめ若い女性の民謡グループの華やいだ雰囲気が、ともすればシリアスになりがちな板橋オーケストラに祝祭ムードをもたらして、いつになく会場全体が一体となって盛り上がっていたような気がします。日本人の魂がくすぐられるのでしょう。
一流メンバー揃いのオケの中で存在感を放っていたのは、やはり高岡さんのチューバでした。一昨年の衝撃が再び、という感じの迫力ある音です。片山さんの演歌調に奏でるテナーが味わい深かったですし、吉田さんのバリトンも新垣さんとのデュオN/Yを経て柔軟さが増したのではないかと思いました。
それらをすべて束ね上げ、情熱と力業で引っ張っていく板橋さんの音楽家としての度量の大きさが衰えることなく、若い人たちのパワーを吸収して進化し続けているところが、ファンとしてとても嬉しいことです。
また来年、今度はなにを聴かせてくれるのか…今年の民謡コラボを見て、またまた期待が高まりました。
横濱JAZZ PROMENADE 2015、スタッフの皆さんも、ミュージシャンの皆さんも、盛り上げる観客の皆さんも、お疲れさまでした!
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聴いたステージの感想を記しておきます。
INDEX
【10月10日】
■RUIKE SHINPEI 5 piece band
■森山威男カルテット
■Shun Sakai & The Long Goodbye
■鬼武みゆき with Friends
■中牟礼貞則トリヲ
【10月11日】
■田中信正ピアノトリオ
■太田惠資&アレクセイ・アイギ
■今田勝トリオ
■板橋文夫FIT!+3
■板橋文夫スペシャル・オーケストラ+金子友紀・結
【10月10日】
■RUIKE SHINPEI 5 piece band
関内ホール 小ホール 12:00〜13:00
[member]類家心平(tp)中嶋錠二(p,key)田中拓也(g)
鉄井孝司(b)吉岡大輔(ds)
昨年のYJPでいちばん印象深かった類家さんを、今年はトップから聴くことができました。2日間のスタートとしてふさわしいステージです。
最初の1音からカッコイイ。5人それぞれが個性的でありながら、一つの世界を目指し、押し広げようとするかのような、若くエネルギッシュな創造性を感じました。トランペットは、他の人のリーダーバンドに参加するときよりは吹きまくるスタイルではなく、類家心平の深い音楽性を聴かせてもらえたように思います。短時間に一人のジャズメンのいろんな側面を知ることができるのも、このフェスティバルならではです。そういえば類家さん、昨年よりルックスもスマートになっていた感が…。
■森山威男カルテット
KAAT神奈川芸術劇場 ホール 14:20〜15:30
[member]森山威男(ds)田中信正(p)川島哲朗(ts)加藤真一(bs)
YJPでは今年から使用の会場、新しくてモダンな文化施設です。ホールは真っ赤な客席が3階までせり上がり、ものすごく印象的でした。
そんな会場で聴く久しぶりの森山さん、初期のYJPでクリョーヒン、マスラクとのフリー演奏が未だ鮮明に思い返されますが、70歳を過ぎても枯れることのないしなやかなスティックさばきに改めて魅了されました。日本に名ドラマーは数多くいるけれど、そしてこの2日間だけでもたくさん聴きましたが、こんなに柔軟さを感じる人は森山さん以外に知りません。太鼓の叩き方だけでなく、音楽性、共演者との関係性、話しぶりまで含めて、音楽家として容量の大きさを感じます。自虐ネタも多い話が、ユーモアと人情味にあふれていておかしすぎました。
田中さんのピアノが森山さんのドラムに乗せられて自由に、多彩な音楽のエッセンスを詰め込んだようで素晴らしかったのが印象的です。川島さんのテナーも、伸び伸びと吹いていて心地よく、深いけれど聴きやすい音楽になっていました。
■Shun Sakai & The Long Goodbye
関内ホール 大ホール 16:00〜18:00
[member]酒井俊(vo)田中信正(p)土井徳浩(cl)太田朱美(fl)
類家心平(tp)纐纈雅代(sax)向島ゆり子(vl)熊坂路得子(acc)
瀬尾高志(b)竹村一哲(ds)及川キーダ(ペインティング)
今年はさまざまな映画音楽を立て続けに演奏していくステージ。元からストーリー性を持っている曲を休みなく連ねていきながら、新たなドラマ性を生み出していく、意欲的な試みだったと思います。
まさに映画俳優のように個性の強い実力派ミュージシャンが集まっていますが、演奏する身にとっては約2時間、緊張を解くところがなくて大変だろうなと思いました。特にピアノの田中さんはつい20分前まで森山さんと熱い演奏をしていたばかりで、まさにプロのジャズメンというべきすごい切り替えです。
残念ながら半分のところで途中退出してしまったのですが、前半最大の見せ場である「よいとまけの歌」は圧巻でした。酒井さんとピアノ・ドラム以外(?)の皆さんが客席に降りてきて、炭坑で働いているような雑音で会場中を包む演出、酒井さんの時にマイクを使わず生声を響かせる歌など、心が震えました。
音楽に合わせて踊るように描く及川さんのライブペインティングも、原色の鮮やかな絵でステージを盛り上げていました。完成が見たかったですが…次の会場は満席になることがわかっているので、皆さんすみませんと頭を下げつつ早めに移動しました。
■鬼武みゆき with Friends
関内ホール 小ホール 17:30〜18:30
[member]鬼武みゆき(p)佐藤芳明(acc)鳥越啓介(b)岡部洋一(per)
酒井俊さんを途中退出してまで聴きたかったのは、毎年のように聴いている鬼武さんですが、今年はメンバーが少し変わってアコーディオンの佐藤さんが入っていたため。佐藤さんの演奏は以前に見て印象深かったからです。
鬼武さんの美しく優しくメッセージ性の強い、ニューミュージックの歌を聴いているかのような音楽と、佐藤さんのアコーディオンの音色が見事に調和した心地よい音は、いつもの中西さんのバイオリンとはまた違った世界となって表れていました。そこに、いつもの岩瀬さんのドラムではなく岡部さんのパーカッションが、ひとつずつ丹念に音を添えていきます。ベースはいつもの鳥越さん、この人はいかにも優しげな容姿ですがしっかりと芯になっています。
そんな4人が、一つ一つの曲を大切に大切に創り上げていくステージは、より激しいジャズを志向してしまう私の耳にとって、数少ない癒しの時間を与えてくれるのでした。とは言っても、鬼武さんのこの社会に対する思想や行動は生半可なものではなく、音としてしっかりと伝わってくるのですから、いつまでも変わらぬ美貌以上に惹き付けられるのでした。
■中牟礼貞則トリヲ
関内ホール 小ホール 19:20〜20:20
[member]中牟礼貞則(g)吉野弘志(b)池長一美(ds)
鬼武さんのニューアルバムを買ってサインをもらっていたりしたら、他の会場に移動する時間もなくなり、中牟礼さんは初めてですが、同じホールで続けて聴くことにしました。
調べれば80過ぎの超ベテランギタリスト、渡辺香津美氏の師匠だそうです。長い芸歴で身につけたスタンダード曲の数々を演奏されました。おくした人たちが築いた下地の上に、今のジャズがあるのだなぁと思いながら、渋く枯れた感じを味わい、1日目を終えました。
【10月11日】
■田中信正ピアノトリオ
KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ 11:30〜12:30
[member]田中信正(p)橋本学(ds)落合康介(b)
前日、森山さんと酒井さん2ステージでのピアノを聴いて、期待感が高まったところで、この日はリーダーバンドを聴けることになった田中正信さん。
座席のオレンジ色が印象的なKAAT大スタジオに、キティTシャツを着た田中さんと、学生風情も感じる若い二人がマッチします。そしてステージは期待のはるか上をゆく素晴らしいものでした。
オリジナル曲の数々は、メロディックで刺激的な実験性にあふれていて、丁寧かつダイナミックな演奏で一つずつの音を創り上げ、世界観を構築していきます。私がとても好きなタイプの創造性です。
決して聴きやすい音楽ではないとも思いますが、会場の年輩の方たちまでもしっかり擒にしていた…ように感じました。喋りににじみ出る人柄もあるかもしれません。
これまでにも何度も聴いてきた人ではありましたが、今年のYJPで最も印象に残るプレイヤーとなりました。
■太田惠資&アレクセイ・アイギ☆ Violin Brothers
関内ホール 小ホール 13:50〜14:50
[member]太田惠資(vl)アレクセイ・アイギ(vl)
今年の目玉の一つとして楽しみにしていた、ロシアのバイオリニスト・作曲家のアイギ。3年前のYJPに出演したときは、太田さんとのデュオをラジオで聴き、ヒカシューにゲストで出たのを観て、CDも2枚買っていたので、今回は期待も高まっていました。
二人の演奏は完全即興、といっても滅茶苦茶に弾きまくるのではない、メロディーやハーモニーの美しさを求めるものでした。そもそもロシアの音楽や映画に大きな影響を受けてきた私なので、ロシア人の感性であふれるアイギさんと、日本人でありながら国際感覚豊かな太田さんが、自らバイオリン・ブラザースと言うほど心の通った競演は、ストレートに魂に染みてきます。
今回は時間が合わずに聴けませんでしたが、前にヒカシューで狂ったように弾きまくっていたのとは違う魅力がありました。CDで聴いていたアイギの自分のバンドでの曲もまた違ったおもしろさがあったので、これからも何度も登場していろんな面を見せて欲しいと思いました。
とりあえず、音楽を担当されている上映中の映画「草原の実験」は観に行きたいと思います。
■今田勝トリオ
関内ホール 小ホール 15:40〜16:40
[member]今田 勝(p)稲垣 護(b)守 新治(ds)
前夜の中牟礼さんのようにベテラントリオのスタンダードで少し休憩、というつもりでしたが、初っぱなからレベルの高い演奏で心を掴まれてしまいました。レストランでBGMに掛かるような洗練された上質なジャズという感じですが、それが目の前で演奏されているとなれば、気持ち良くないはずがなく。
3人とも3〜40年も前には、時代の先端をゆくカッコイイ人たちだったに違いありません、そんな雰囲気も残したままの年齢に似合わない、バイタルな疾走感にあふれた、若々しいミュージシャンでした。
■板橋文夫FIT!+3
■板橋文夫スペシャル・オーケストラ+金子友紀・結
関内ホール 大ホール 18:00〜21:10
〈第1部〉 「板橋文夫(p)FIT!+ゲスト3」
[member]板橋文夫(p)瀬尾高志(b)竹村一哲(ds)
類家心平(tp)纐纈雅代(as)レオナ(Tap)
毎年進化を見せつけてくれるFIT(Fumio+Ittetsu+Takashi)に、若手の有望株を加えての演奏。板橋さんだけでなく、瀬尾さん、一哲さんの曲を、情感たっぷりに聴かせてくれました。
FITの3人はもちろんのこと、ほかの3人との繋がりもこの1年間で強くなっているところが伺われる、迫力とともに深さの感じられる演奏でした。
タップのレオナさんは、板橋さんとの出会いがあってジャズと競演するようになったと言うだけあって、見せるためのダンスではなく、しっかりと聴かせる音を踏みならす人になっていました。類家さんのトランペットも、前日の自身のバンドでの演奏とは違って吹きまくっていたのが印象的です。
〈第2部〉「板橋文夫スペシャル・オーケストラ+スペシャルゲスト」
[member]板橋文夫(p)林栄一(as)纐纈雅代(as)片山広明(ts)
吉田隆一(bs)類家心平(tp)後藤篤(tb)高岡大祐(Tuba)
太田恵資(vn)瀬尾高志(b)竹村一哲(ds)外山明(ds)
民謡ユニット『結』:金子友紀(vo)藤沢しげみ(太鼓・vo)
町田加代子(三味線)小山貢理乃(三味線)
レオナ(Tap)堀越千秋(ライブ・ペインティング)
1部で時間が押したので、予定されていた何曲かが削られたのは残念でしたが、大編成ならではのカタルシスを与えてくれる演奏でした。特に、金子さんはじめ若い女性の民謡グループの華やいだ雰囲気が、ともすればシリアスになりがちな板橋オーケストラに祝祭ムードをもたらして、いつになく会場全体が一体となって盛り上がっていたような気がします。日本人の魂がくすぐられるのでしょう。
一流メンバー揃いのオケの中で存在感を放っていたのは、やはり高岡さんのチューバでした。一昨年の衝撃が再び、という感じの迫力ある音です。片山さんの演歌調に奏でるテナーが味わい深かったですし、吉田さんのバリトンも新垣さんとのデュオN/Yを経て柔軟さが増したのではないかと思いました。
それらをすべて束ね上げ、情熱と力業で引っ張っていく板橋さんの音楽家としての度量の大きさが衰えることなく、若い人たちのパワーを吸収して進化し続けているところが、ファンとしてとても嬉しいことです。
また来年、今度はなにを聴かせてくれるのか…今年の民謡コラボを見て、またまた期待が高まりました。
横濱JAZZ PROMENADE 2015、スタッフの皆さんも、ミュージシャンの皆さんも、盛り上げる観客の皆さんも、お疲れさまでした!
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「谷山浩子・猫森集会2015」(2015年9月20日、新宿スペースゼロ)
久しぶりで谷山浩子猫森集会コンサートに行ってきました。毎年4つのプログムごとにゲストを変えて連日開催されるのですが、青山円形劇場でやっていた頃は2つか3つのプログラムを聴きに行ったものです。スペースゼロになってからは、足が遠のくようになっていました。
今回聴いたAプログラムのゲストは太田裕美、「16歳と17歳だったよね。」というテーマになっていました。今から40年ほども前、二人のデビュー当時にNHKの番組、ステージ101のオーディションで出会った時の年齢ということです。
正直、太田裕美の歌といえば「木綿のハンカチーフ」くらいしか思い浮かばなかったのですが、今回のコンサートでやった彼女の持ち歌は知っているものばかりでした。リアルタイム世代ですので、彼女の歌とは知らずとも意外とどこかで聴いて記憶されているものです。
さて、前半はいつも通りの谷山さんとシンセの石井AQ氏二人での演奏。いつもの安定した世界観です。最後に太田裕美の「しあわせ未満」を谷山さんが歌った後、いよいよ太田さんの登場です。「木綿のハンカチーフ」を熱唱、さすがにアイドル全盛時代の歌手だけあって、歌だけでなくステージパフォーマンスも華やかでした。あらためて生で聴くと、本当にドラマチックな名曲だと思います。歌はうまいし、声に張りもあってまだ現役バリバリということもわかりました。
その後は太田さんの選んだ谷山さんの歌を独唱したり、谷山さんとデュエットしたり、太田さんの歌をデュエットしたり、「まもるくん」では太田流変な振り付けを客席も一緒にやって妙な光景が生まれたりとプログラムは進み、アンコールではお二人に共通した思春期時代のアイドル、タイガースの歌を2曲続けて締めとなりました。
聴いていて思ったのは、お互いの歌をソロで歌うのは少し違和感がありつつ、谷山さんの歌が陰なら太田さんは陽、谷山さんの声がWetなら太田さんはDryと正反対な二人が、デュエットやバックコーラスで声が合わさると絶妙の味わいが生まれる不思議さ。
40年間、歌手を続けてきた同世代の女性アーティストの個性と生き方がシンクロし、ハーモニーした奇跡の瞬間だったのかもしれません。絶好調でしゃべる楽しいトークからも、二人が友情の中でも意識し合ってきたことが感じられました。たいていは谷山ワールドにゲストが溶け込む感じになりますが、太田裕美は対等の自己主張していたところにも、二人の関係性が出ているようで面白かったです。
客席の年齢もいつも以上に高めな感じでしたが、自らの青春時代から現在までの生き方を振り返らせて肯定してくれるような、優しく幸せなエネルギーが満ちていたコンサートでした。
【プログラム】
お早うございますの帽子屋さん
そっくりハウス
パラソル天動説
きみが壊れた
SORAMIMI
しあわせ未満
木綿のハンカチーフ
森へおいで
テルーの唄
世界
九月の雨
さらばシベリア鉄道
まもるくん
河のほとりに
花園の子守歌
月と恋人
落ち葉の物語〜銀河のロマンス
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久しぶりで谷山浩子猫森集会コンサートに行ってきました。毎年4つのプログムごとにゲストを変えて連日開催されるのですが、青山円形劇場でやっていた頃は2つか3つのプログラムを聴きに行ったものです。スペースゼロになってからは、足が遠のくようになっていました。
今回聴いたAプログラムのゲストは太田裕美、「16歳と17歳だったよね。」というテーマになっていました。今から40年ほども前、二人のデビュー当時にNHKの番組、ステージ101のオーディションで出会った時の年齢ということです。
正直、太田裕美の歌といえば「木綿のハンカチーフ」くらいしか思い浮かばなかったのですが、今回のコンサートでやった彼女の持ち歌は知っているものばかりでした。リアルタイム世代ですので、彼女の歌とは知らずとも意外とどこかで聴いて記憶されているものです。
さて、前半はいつも通りの谷山さんとシンセの石井AQ氏二人での演奏。いつもの安定した世界観です。最後に太田裕美の「しあわせ未満」を谷山さんが歌った後、いよいよ太田さんの登場です。「木綿のハンカチーフ」を熱唱、さすがにアイドル全盛時代の歌手だけあって、歌だけでなくステージパフォーマンスも華やかでした。あらためて生で聴くと、本当にドラマチックな名曲だと思います。歌はうまいし、声に張りもあってまだ現役バリバリということもわかりました。
その後は太田さんの選んだ谷山さんの歌を独唱したり、谷山さんとデュエットしたり、太田さんの歌をデュエットしたり、「まもるくん」では太田流変な振り付けを客席も一緒にやって妙な光景が生まれたりとプログラムは進み、アンコールではお二人に共通した思春期時代のアイドル、タイガースの歌を2曲続けて締めとなりました。
聴いていて思ったのは、お互いの歌をソロで歌うのは少し違和感がありつつ、谷山さんの歌が陰なら太田さんは陽、谷山さんの声がWetなら太田さんはDryと正反対な二人が、デュエットやバックコーラスで声が合わさると絶妙の味わいが生まれる不思議さ。
40年間、歌手を続けてきた同世代の女性アーティストの個性と生き方がシンクロし、ハーモニーした奇跡の瞬間だったのかもしれません。絶好調でしゃべる楽しいトークからも、二人が友情の中でも意識し合ってきたことが感じられました。たいていは谷山ワールドにゲストが溶け込む感じになりますが、太田裕美は対等の自己主張していたところにも、二人の関係性が出ているようで面白かったです。
客席の年齢もいつも以上に高めな感じでしたが、自らの青春時代から現在までの生き方を振り返らせて肯定してくれるような、優しく幸せなエネルギーが満ちていたコンサートでした。
【プログラム】
お早うございますの帽子屋さん
そっくりハウス
パラソル天動説
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長年、同人誌で創作漫画を発表してきましたが、本当は小説が主な表現手段。職業はコピーライターで、趣味は楽器を鳴らすことなど。
下記に作品等アップ中です。よろしくお願いします!
■マンガ作品 COMEE
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