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つばめろま〜なから、なにかを知りたい貴方へ。
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2016.8.14 新高円寺スタジオSKホール

チェロ・森田満留&ピアノ・森田竜一の夫妻、ドイツからの来日コンサートを、2年前に続き同会場で聴いてきました。私の妹とその息子たちがデュッセルドルフに行っていた時、ピアノやバイオリンのレッスンを受けていた音楽家さんです。

今回はピアソラ、プロコフィエフ、ブラームスというプログラム。フラットな空間でチェロから2メートルほどの最前列を取り、音も、演奏テクニックも目の前で刻みつけることができました。チェロという楽器の奥深さが直に身に染みてきて、いつかは奏してみたいとの憧れがさらに強まります。

ピアソラの「3つの小品」「アディオス・ノニーノ(ピアノソロ)」はスタイリッシュなタンゴという感じではなく、南米の泥臭さが感じられる魂に響く曲。プロコフィエフの「チェロとピアノのためのバラード」は私の大好きなロシアらしい重厚さと情熱が伝わってくる曲。ブラームスの「ソナタ78・雨の歌」は西欧クラシックの端正で情緒深く美しい曲です。アンコールはピアソラの「リベルタンゴ」を情感豊かに弾ききる迫力の演奏。

どの曲も、このデュオならではの個性にあふれていて、すばらしい音楽が小さな会場空間を完全に支配する、ステキな時間を味わわせてくれました。

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「ドファララ門」山下洋輔(晶文社)

ジャズピアニスト山下洋輔の父方の祖父の足跡をたどった「ドバラダ門」を読んだのは、もう20年以上前のことだったでしょうか。山下さんのエッセイは即興演奏的に面白くてよく読むのですが、長編小説もさらに面白いと思ったものでした。本作は、そんな洋輔さんの母方の系譜をたどった内容で、前作(読んだときの記憶も曖昧ですが)よりは小説っぽくない印象なれど、多岐多彩なプレイヤーが登場する大セッションという楽しさがありました。

洋輔氏はラジカルな演奏をする割に、品の良い紳士という雰囲気の人ですが、なるほど、名家のお坊ちゃまだったのだと納得させられました。ジャズマンとしては(特にフリージャズでは)、そうしたイメージがプラスにはならないと思うのですけれど、最前線で走り続けて七十を越えた今だから気にせず書けたことなのでしょう。そして、私も両親を亡くした今だから思うこと、自分のルーツである「家」のことをもっと聞いておけば良かったと、そんな想いが本作執筆の動機にもあったのではないかと思うのでした。

いろいろな分野で、特に芸術方面で才気あふれる人たちを親戚に持つ洋輔氏の血筋とともに、ジャズマンとしての自伝でもあり、聴き知っているミュージシャンたちがたくさん登場するのも、エッセイに書かれるのとは違って一段と面白く。起承転結の脈絡あるストーリーではなくいろんな方向にとっちらかっていても、人生とか旅とかって、そんなものでありましょう。

意外であったのは、洋輔氏はクラシックピアノを習っていなかったということです。音大出ということもあり、あの色彩感豊かな音はクラシック音楽の素養の上に成り立っているのだろうと勝手に思っていたので、衝撃的でした。世界もジャンルも超えて活躍するピアノ弾きになったのは、血とともに受け継がれてきた才能なのか、子どもの頃から好きだったからなのか…なんでも面白がる需要力と自由に文章も書いてしまう創造力、そんな人間性もあってこそと思わされました。

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「朱の記憶 亀倉雄策伝」馬場マコト(日経BP社)

戦争と広告3部作に続く、馬場さんの業界人評伝小説。タイトルの「朱」とは、1964年東京オリンピックのエンブレムのこと、それをデザインした亀倉氏の生涯が描かれています。何年か掛かりの労作と思いますが、次の東京オリンピックマークの模倣騒動などがあったタイミングでの上梓は、思ってもないことだったでしょう。

それについては、後書きで触れられています。100人以上もの活躍しているデザイナーが参加したコンペで選ばれたのが、あの作品しかなかったこと、それはそもそも、2020年東京オリンピックを開催する核心が空洞で、誘致した国に戦略も想いもないから、創造的なデザインなどしようがないのだと。まさに、馬場さんならではの辛辣な想いでありました。

その馬場さんとは、何度かマンション広告の仕事を一緒にさせてもらったことがあります。コピーライターとして広告に携わりながらも、この業界のクリエイターにほとんど興味のない私にとっては、唯一といって尊敬している先輩なのです。

亀倉氏のことも、本作を読むことであのマークもこのポスターもあの商品も、みんなこの人がデザインしたのかと初めて知ったのでした。業界人に興味ないといいながら、やはり同じ世界で仕事をしている私にとって、天才クリエイターの仕事ぶりが描かれた物語は、非常に面白くて刺激を受けるものでありました。

戦前にデザイナーを志し、戦中には軍の仕事をしながら実力を身につけ、戦後は第一人者として活躍し、オリンピックや万博のエンブレムを残し、デザイナーの組織を作り、リクルート事件では経営陣として再建に関わり、生涯現役のまま82歳で亡くなるまでの、波瀾万丈な人物伝です。

それは同時に、今は社会経済、情報技術、企業のあり方も変化し、広告に求められることも厳しくなっている時代ですが、デザインが世の中をリードすることもできるという、いつもながら馬場さんならではの、後輩クリエイターたちへのメッセージと受け取りました。

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「オウリィと呼ばれたころ」(理論社)
「コロボックルに出会うまで」(偕成社)

コロボックルシリーズで知らない人のいないであろう童話作家、佐藤さとるの自伝的小説。「オウリィと呼ばれたころ」は戦中から戦後すぐの少年期、「コロボックルに出会うまで」は戦後復興期の青年時代について書かれていて、この2作の前に読んでいた、作者の父親についての評伝「海の志願兵(偕成社)」も合わせて3連作ととらえました。ただし、出版社も主人公の人称表現も違い、それぞれのコンセプトも異なる別作品でもあります。

小学4年生でコロボックルシリーズに出会い、強く影響を受けた私にとって、作者は雲の上のあこがれの人なのですが、実は子どもの頃に会える機会があったのです。同じ戸塚区に住んでいて、教師をしていたこともあり(その頃のことがコロボックル〜に書かれています)、やはり中学校教師だった私の父の同僚から会いたければ紹介するよと言われ…でも内向的な子どもだった私は尻込みしてしまったのでした。もしかすると、生涯最初で最大の失敗だったかも…。

戦争が人の生き方にどれほどの影響を与えるかということを、いろいろな書物を通じて知らされるのですが、この2作は、少年時代の思い出として描かれていて、ことさら鮮やかな印象を与えてくれました。「オウリィ」での、戸塚から北海道まで疎開する道程の過酷さなどは、はじめて聞くような話。疎開も各人が勝手にして良いわけではなかったのだと、その中で生き延びていくことの大変さ。そうした中で、自分(と家族)を支えていた少年の姿が印象的でした。

「コロボックル〜」では、童話作家となるまでの紆余曲折がかかれています。師や仲間、伴侶との出会い、その中で長いことかけてコロボックルの物語を生み出すに至るまでの経緯が書かれています。今とは違う時代背景の中ですが、書くことへの想いというのは普遍のもの、想いの継続が名作を創り出したのだと思い知らされます。

戦争をはさんで厳しくも可能性の大きかった時代でもありますが、書きたいという気持ちが日々の暮らしで開くまでの物語は、作家を志す者の心に深く刺さるのでした。

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大駱駝艦「パラダイス」(2016.7.3 世田谷パブリックシアター)を観てきました。
麿赤兒さんは、昨年12月に音楽劇「レミング~世界の涯まで連れてって~」、踊りは一昨年に天使館の笠井叡さんとのコラボ「ハヤサスラヒメ」を観ていましたが、大駱駝艦の天賦典式は実に久しぶりです。大駱駝艦では25年ほども前でしょうか、津島市の公園で観た野外公演がいまだに印象深く残っているのですが、この劇場も雰囲気が独特なので楽しみに、早めにチケットを取っていました。
舞踏も進化、というかずいぶん変化してきている気がする中で、土方巽の直弟子でもある麿さんがどこまで突き進んでいるかというのは、ひとつの指針と思います。海外でも評価の高い芸術ですが、あくまでも本質は前衛、歌舞伎や落語や大相撲のように伝統芸能になってしまっては面白くありません。歌舞伎や落語や大相撲も、みなさん新しいことに挑戦しようとがんばっているのはわかりますが、世間の保守的な目という縛りは強いように思います。
さて、本公演はとても意欲的な前衛作品だったと思います。テーマと演出、舞台装置や音楽まで、刺激的なものでした。同時に、舞踏の歴史のさまざまなエッセンスも感じました。白い舞台世界で山海塾のような静謐さではじまり、白虎社のように猥雑な展開があり…そしてラストの集結はとても感動してしまいました。
それにしても麿さんは元気で、力が漲っています。舞踏では一番の老舗団体を率いながら、まだまだ舞踏の先を魅せてくれそうで、楽しみな限り…また行きたいと思うのでした。

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絵・音・文・歩
自己紹介:
長年、同人誌で創作漫画を発表してきましたが、本当は小説が主な表現手段。職業はコピーライターで、趣味は楽器を鳴らすことなど。
下記に作品等アップ中です。よろしくお願いします!
■マンガ作品  COMEE
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■イラスト作品 pixiv
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