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つばめろま〜なから、なにかを知りたい貴方へ。
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台風4号で大変な想いをしたのに、まったくニュースにもなってなかったので、記しておきます。

常に締め切りに追われて残業無い日などほとんどない仕事をしている私たち、台風が来るから早く帰れなどという声が会社(社長)からかかるわけもなく、強い台風が来るのはわかっていても今日やるべきことを終えるまでは帰れないのでした。
2012年6月19日、帰れる目処が立ったのは22時過ぎ。東海道線が早々に止まったこと、横須賀線も遅れていること、そんな情報はインターネットですぐに入手できますので、ならば時間はかかっても京浜東北線で帰ろうと決意し、びしょ濡れになりながらも新橋駅に向かいます。
確実に座るため、東京駅まで戻ります。これは毎日のことですが、こんな日は特に、座れない電車がストップして車内で何時間も立ちっぱなしというリスクは避けなければなりません。そのために2駅分余計に定期券を買っておりますので、不正乗車ではありません、念のため。
京浜東北線、こちらも遅れていましたが、来た電車で席に座って一安心したところ…まずは浜松町でストップ。理由は多摩川の鉄橋が規制値を超える強風で渡れないとのこと。これは、想定内なので耐えて待つしかないと、悠然と構えることににました。台風もだいぶ接近しているようでしたので、2時間は覚悟します。
そのうちに少し風が弱まったという事で1駅だけ進みました。田町駅です。さて、ここからが辛い時間のはじまりでした。社内でただ風止みを待ち続けます。眠りたかったのですが、映画「台風クラブ」ではありませんが台風の日は気が昂ぶります、さらに隣席の恰幅良い男性の挙動が気になり、なかなか寝付けず。右にも人がいるのでポメラで文章打ちもできず。ときおり携帯電話(スマホではない)でYAHOOのニュースやmixiを見たりして時をやり過ごします。
しかしながら、前週より腰痛が出ていたので、電車のイスに座り続けること苦痛であり、社内の冷房がきつく雨で濡れた体には寒いほど。しかも、夕飯を食べていないので空腹も。
待てどもなかなか風は弱まらず、飛んできたものが線路に落ちてはそれを踏んだと山手線まで止まってしまう。すでに地下鉄もなくなった時間帯、進退どちらの道もなくなりました。車内からはどこに去るのか少しずつ人が減っていき、座席も両隣空けて座れるようになったのは良いのですが、寒さは増します、眠ったら死ぬぞ状態です。

そして、止まってから約5時間後、時刻は早朝4時少し前。こんな車内アナウンスが流れたのでした。「運行再開に向け復旧に努めてきましたが、この先の運転は無理と判断し、お客様はタクシー振り替えとさせていただくことになりました」
乗っていればいつかは動くと信じていただけに、さすがに呆然と…でもタクシーで帰れるなら楽かなと思いつつ、駅のエスカレーターを上れば、すでに乗客の皆さんは男女に分けられて整然と列を作っておりました。どうやら、同じ目的駅同士のお客さんが乗り合っていくようです。終着駅までの私は、優先的にタクシーに乗れそうでしたが、家に着けばもうすっかり明るくなっている頃、夕食兼朝食を執ってシャワー浴びてネットチェックすればもう出かける時間です。
無念タクシーの行列をあとにして、駅舎の外に出ました。薄暮の時間、いまだ風は強く台風の爪痕も街中に見て取れます。しかし清々しさもあります。途中の牛丼屋でカレーを食べ、徒歩にて銀座へと向かいました。汐留の超高層ビル群を見上げるデッキから海方向を見れば、雄大な空の美しさが心に刻まれました。
5時前、誰もいないオフィスに戻ります。ほかにも帰れなかった人がいるにちがいないと思っていたのですが、そんな災難にあったのは私だけでした。とりあえず3時間ほど横になり、また1日の仕事がはじまったのです。
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粛々とタクシー待ちする人たちも、誰一人として文句も言わずに静列しておりました。皆さん、本当はJRの判断の遅さを感じていたのでしょうが、怒ってもなにも好いことはないとわかっていらっしゃるのでしょう。あるいは、昨年の大震災の教訓もあったかもしれません。
大地震や大雪と、災害の度に帰れなくなるのですが、無理に帰ろうとせず、泰然自若にて時を待つこと。体に負担はかかりますが、心にはストレスを溜めない、それが都会に生きていく極意と思っております。

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「宮沢賢治、ジャズに出会う」奥成 達(白水社)51KYe6NZp1L._SX230_.jpg

宮沢賢治が「ジャズ」という言葉をタイトルにした、ジャズのようにスイング感のある詩を残していた、というところから、日本におけるジャズがどのように始まり、世の中に受け入れられていったかを、数々の文献を引きながら考察した「日本ジャズ前史」という内容の本です。
タイトルに宮沢賢治と付けたせいか、かなり無理矢理に賢治とジャズを結びつけようとするので、読んでいても苦しさを感じたりもしましたが、1800年代末から1900年代初頭の日本の風俗を知ることができたのは、大変に興味深いものでした。
結局のところ、賢治がどこでどんなジャズに出会ったのかは、明らかになっていないのですが、でもアメリカのジャズ自体がまだ黎明期であり、それが海を渡って日本に来ていたというのは、想像するだけで楽しくなります。そんなことを知った興奮が、ジャズ評論家である著者を突き動かしたのでしょう。
古いスタンダードジャズと言えば、ちょっと退屈でBGM的な扱いになってるかもしれませんが(私の中ではそんな感じで)、当時、その新しいリズムや即興性は、いま私が板橋文夫の演奏を聴くように、とてつもなく刺激に満ちたものだったに違いありません。ましてや、長い鎖国が解けてから半世紀ほどしか経っていない日本で、西洋楽器自体が珍しい時代ですから。
しかし、100年も前のことであっても、実は現代とそっくりな風景が描かれていることに驚きます。モボ・モガのスタイル、カフェーの文化、浅草のショービジネスなど、その本質はいまと全然変わっていないようです。テクノロジーばかり急速に発達しましたが、人間が進んだわけではないのだと。

宮沢賢治のドラマを期待して読むと残念に思われるでしょうが、いかに賢治が時代の先端を行っていた表現者だったかということは知ることができましたし、いろいろと視野の広がる本でした。

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「きみを守るためにぼくは夢をみる(3)」白倉由美(星海社文庫)
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2巻からあまり間を置かず、3巻めの発刊となりました。
白倉由美の作品には常に死の気配が色濃くつきまとっていますが、先日自分の母を亡くし葬式を済ませたばかりで読むこととなり、いつも以上に哀しみの念を痛切に感じてしまいました。

2巻の最後で唐突に思わぬ行動に出た主人公・大江朔でしたが、大切なものを手放し喪って、迷宮に踏み入ってしまったような感じです。その迷宮は思春期の象徴のようでもあり、けれど誰にでも訪れるような青春の苦悩とは異なる、重い責任感と深い痛酷さと甘美な幻想を伴った彼だけの世界として現れてきます。

各巻でヒロインの少女たちがミステリアスな存在感を魅せながら朔に関わってきますが、この巻で登場してきたまだ小学生の空音は、まさに白倉由美ならではの残酷なまでの無垢さを湛えた美少女。全体のヒロイン砂緒も、前巻のヒロイン雨花も登場してきますが、設定自体が何重にも特殊なので、誰も太刀打ちできないほど朔を自分のものにしてしまいます。これはツンデレとかヤンデレとかの萌え属性とは異質な、毒や麻薬のように蝕まれかねない危険な存在でありましょう。
青臭いほどに真面目な朔が、この先3人のヒロインズに対してどんな責任感をもって当たっていこうとするのか、先を予想できない‥‥。雨花はもう出番終わりかもしれませんが、空音とは簡単に縁を切ることはできないでしょうから、果たしてどう結末を付けることができるのだろう?というところで、物語はまた次の巻へと続いていくのでした。
親友の塔太もヒロインズかと思っていたのですが、そっちの展開はなく彼女ができたので一安心でした。その後に大変なことになってしまいますが‥‥このくらい書いてもネタバレになってしまうのかな。

ジャンルに縛られることには意味がないけれど、1巻で児童文学、2巻で青春文学、3巻では幻想文学的にもなってきて、この先どこに向かってしまうのか。白倉由美の作品は漫画家時代からずっと読んできただけに、ちょっとした怖さを感じながらも、大いに期待し4巻を楽しみにしております。

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51n2roX97xL._SX230_.jpgいよいよ先生も王弁君も影が薄く…。物語の中心は、僕僕道中ご一行様でもなく、訪れた先の人たちとなっています。一行の中では、殺し屋・劉欽と彼にすっかり懐いてしまった小さな女の子・蒼芽香にスポットが当たっていて微笑ましかったですね。実は前の巻の内容が今一つ思い出せなくて、その間に読んだ作者の「海遊記」や「魔神航路」の内容とも混ざってしまったからのようです。まぁ、それほど差し支えもないかな。
6巻まで重ねてきて、僕僕先生の正体をはじめいろいろな人物背景も深まり、同時に作者は他の作品で多角的に哲学的なシリアスを描いてきているので、お気楽なロードストーリーで済ませることができないようになってるのかなと思います。私的には歓迎するところですが、最初の頃のライトノベル的なテイストを求めるファンの中には離れていく人もいそうです。
とはいっても、新たに登場してくるキャラクターもアニメ的に色づけされているのは変わっていません。この巻で登場した紫蘭などは、アニメで女剣士系と言えばこんなしゃべり方のキャラクターがいたよね、というような類型を当てはめられていて、宋格子も馬銀槍も絵が浮かぶような人物像で、容易に想像が膨らむだけ素直に楽しく読みやすいと思います。

本巻では国同士の力関係など、人間界のきな臭さが強く漂っています。最後には伝説の神の復活というファンタジーが用意されてはいましたが、神の力にばかり頼っていてはいけない、という人間側の強い意志が出ていたのが、これまで神仙賛歌的だった本作において、大きく異なるところです。物語全体のターニングポイントでしょうか。
その中で、少しは逞しくなってきたかと思っていた王弁くんのダメっぷりが戻ってきていて、もう少ししっかりせいやと声をかけたくなりますが、きっとまた、後の巻で活躍する場面も用意されるのでしょうから、呆れながらも冷ややかに見守ることにしましょう。
それより、前の巻でなんとも腑に落ちない感じの行動をしていた僕僕先生が、本巻でもなんだかツンデレの覇気がなく達観した仙人っぽさもなかったのが心配です。明るく元気で少し意地の悪い美少女仙人こそが、ほかの作品にはない魅力ですから、また圧倒的な力を発揮して活躍する場面も見たいものです。
ここまできて、物語の結末に至る今後の展開がまったく想像できないのですが、ハッピーでは終わらないような気がしてきました。驚くようなエンドを期待しつつ、次を待ちたいと思います。


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「ブラバン」津原 泰水(バジリコ)51qmmz1EYpL._SX230_.jpg

予備知識もないはじめての作家、高校のブラバンが舞台ということで面白そうだと思って読んでみると、まったく予想と違う方向の世界。極端に評価が分かれる作品でしょうが、私にとっては非常に面白い小説でした。
ブラバンといえば、音楽やるのに体育会系で明るいイメージ、そんな感じのエンタテイメント小説を期待するなら、大きく裏切られます。これは、正反対のイメージを持つ純文学と思った方がよいでしょう。
あとから調べれば作者はホラーを書く人だそうで、そんな不穏な雰囲気だけを纏いながら、今に半ば絶望しつつ、ニヒルに、シニカルに過去を語っていく。青春の爽やかさでなく、若さの退廃的な部分を際立たせていて独特な感じでした。
舞台が東京のようにおシャレな大都市ではなく、かといって長閑な田舎でもない、地方都市・広島だというのも味になっています。広島弁でのしゃべりが元から甘美な世界を許さないもののようで、弦バス奏者らしい主人公の性格もありますが、心の熱さすらもクールに客観視されたドラマです。

主にクラシックの曲を演るブラバンでのできごとを中心に描きながら、まさしく70〜80年代前半青春世代の心をつかんでいたロックやジャズにも話が及ぶので、音楽ものとしても十分に面白い。ですが、この作品のテーマは人物群像です。人数の多い吹奏楽部という設定の中で、ほとんどすべての人物の過去と現在にまで光を当てて行く、光が強いほど影の部分が浮き立っていく。
主人公を含めて多くの人物が、とても幸せとは言えないような人生を送っているのが、ものすごく切ない。でもそのリアルな切なさが、生きることの勇気を与えてくれた気がしたのです。
決して戻ることのできないあの頃への郷愁、しかしそれは美化した憧憬ではなく、さまざまな痛みや悔恨をも伴った過去の体験でしかない。それでも、今の自分が失ってしまったものがあった時代なのです。

物語は、失ったものを取り戻すとまではいかないまでも、それがなんだったかを確認するかのように、今と昔が交差して行きます。いろいろなエピソードが淡々と語られ、そんなに特別な人間やドラマチックなできごとではないのに、引き込まれていくのでした。
さて、読み進んで本のページは残り少なくなってきたのに、あるだろうクライマックスが描けるのか?と不安になりましたが、予想外の実に見事なラストで締めてくれました。全体を通じて淡々とまとまりなく語られていくように見えて、しっかりと構成されているところに作者の力量の高さが感じられ、満足でした。

ここまでのめり込めたのは、私と作者の世代がかぶっているからというのも大きいでしょう。主人公が1年の時の3年の先輩が、私の世代です(年齢ばらしてるな。隠す必要もないですけど)。
私にとっては、高校時代をこんなにも鮮烈に思い出すことができません。部活には入りましたが、中途半端でしたし、今に至る友人というのもいません。だからそこにあるのが決して美しいものではなくても、うらやむべきものとして感じられます。
比べれば私の高校時代はなんとも空虚な時代だったように思えますが、しかしこの頃に夢中で読んだ少女漫画や聴いた音楽などが、今の自分にとっては大きな糧となっていることを思えば、他人の芝生でしかないのだとも気づきます。
若者よ、今を大切に。年寄りよ、過去を大切に。そして、今を、生きる…。


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