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つばめろま〜なから、なにかを知りたい貴方へ。
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2011年8月の終わり、遅い夏休みの旅行計画として、そうだ、前から行きたいと思っていながら中途半端な遠さから行けなかったあそこに、どうせだから泊まりがけで行こう!というわけで、東京都の外れ、秋川渓谷へ。渓流の風景をこよなく愛しているということもありますが、目的は人形作家、友永詔三氏の個人美術館「深沢小さな美術館」でした。

友永氏は、NHKの人形劇「プリンプリン物語」の人形たちを制作したことで有名な方です。かの番組は、私が高校生から大学生時代に放映されておりました。石山透の脚本による、ユーモアとエスプリのきいた冒険放浪ロマン人形劇で、大人でも楽しめる素晴らしい作品でした。私がこれまでの人生で見た多くのテレビ番組の中でもベストだと言えます。
人形は美しく整ったものでなく、どのキャラクターも異形なまでに個性的でありました。主役のプリンプリンだけは美少女風でしたが、性格とか、声を充てていた石川ひとみの演技とか、かなりぶっとんでいて、おしとやかなお姫様ではなかった、そこがまた人形の魅力と相俟って愛すべきものになっていました。
そのプリンプリンと実際に会うことができる場所、それがこの美術館なのです。
[プリンプリン物語の人形や、友永氏の人形製作話は、こちらのHPへどうぞ]
IMGP2189.jpg

 写真は、21世紀になってから
 フィギュアとして発売されたもの。





実は、プリンプリンには昨年も会っています。赤坂のホテル、ニューオータニ美術館で開催された個展でした。また、友永氏の他の作品、どこか仏像を思わせる木彫りの少女像など、ファンタジックな世界観を持った人形たちは、20年前にも有楽町での個展で見たことがありました。
プリンプリンだけでは、わざわざ遠くまで行こうと思わなかったかもしれませんが、友永氏の深遠な造形世界が好きなのです。
koten.jpg

 左は有楽町西武での個展の際のパンフ
 中は有楽町西武での個展チラシ
 右は赤坂ニューオータニでのパンフ


さて、この美術館、武蔵五日駅からノスタルジックな感じの山間風景を歩くこと1時間ほどのところ、バスも通らない場所にあります。秋川渓谷エリア一帯に、友永氏が丸太を彫った人形「ジィージィー」たちが道しるべとして立っているので、迷うことはありません!この2日間の旅行中に、何十体見たことか。逆に、この人形がない道は間違った道だということを、山道に迷い込んで知りました…。
IMGP1807.jpg  IMGP1812.jpgIMGP1858.jpg











美術館(隣のご自宅も)は建物自体がガウディ風な曲線が美しい芸術作品で、外観はメルヘンチックで内観は山小屋風、ドアや窓なども手作り感たっぷり、取っ手に人形が付いていたりと、楽しさにあふれています。そんなステキな空間なので、展示されている人形たちも都会のギャラリーとは違って、生き生きと見えました。
プリンプリンに登場した人形たちは一つのコーナーに窮屈なまでに並べられていて、ガラス越しだった赤坂の時とは違い、すぐ目の前で人形たちの息遣いが感じられるかのよう。一体一体がなつかしく、顔や衣が古びている様も愛おしく。眼福至福。
友永氏は庭仕事中でお見かけしただけでしたが、奥様とはお話しできて、ウッドデッキに設けられたガラスの大水槽に泳ぐ鯉や草魚を見せていただきました。山側にも水槽が段々になって設けられていて、自然の中の水族館といった様相で圧倒されます。友永氏の作品に魚頭の人間などもありますが(プリンプリン物語りにも出てきたっけ)お好きなようです。
51f12750.jpegIMGP1822.jpgIMGP1827.jpg










IMGP2182.jpg最後に売られていた、道々に立っていた妖精の小さな木彫りを購入し、人形の前で(しかもプリンプリンと一緒に!)奥様に写真を撮っていただけました。美術館の作品は撮影禁止が原則なので、これはとても嬉しいことでした。著作権を考慮し、ここに載せられないのが残念ですが、人形たちは公式HPでご覧ください。



美術館だけでも充分満足でしたが、その後は山小屋で昼食のうどんを食べ、ちょうど石窯でピザを焼いていたのでおすさわけもいただき、道に迷いながら険しい山道を越えて渓谷にたどり着き、家族的な温泉旅館で1泊。翌日は払沢の滝を見て、豆腐屋さんの豆乳アイスとおからドーナツ(絶品!)を食べるなどして、旅行の思い出を重ねました。
IMGP1868.jpgIMGP1935.jpgIMGP1961.jpg







プリンだけでなく(友永氏の奥様はプリンプリンのことを愛情たっぷりに「プリン」と呼ばれていました)、東京都でありながら大自然と素朴な見所の多い、素敵な場所ですので、ぜひ再訪したいと思っています。

 
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【つばめ☆音楽随考:音楽についてもろもろ体験してきたことや
 考えることなどを、まにまに書き綴ってまいります。
 対するご意見や、新たなお題なども頂戴いたしたく存じます。】

私の子供の頃から話しをはじめましょう。
家には、立派なステレオがありました。当時、金持ちでもないのにそんな音響機器がある家はあまりなかったかと思います。クラシック音楽が好きな父は、学生時代からレコードを集めて、友達と鑑賞会を開いたりしたと聞いていましたが、まだ戦後復興期といえる時代。だから家にあるレコードは半分くらいがモノラル盤でした。
父が聴くレコードを、私も赤ん坊の時から耳の端で聴いていたことになります。大人になってから尋ねると、一番好きなのはチャイコフスキーの悲愴だと言っていました。私がロシア的な感性を愛するのは、そこから始まったのかもしれません。そんなわけで父の葬儀の時には会場に悲愴のCDをかけてもらったのですが、あまりにも重々しい曲で場が暗くなり過ぎると配慮してくれた葬儀社の人が、途中で別のCDに変えてしまいました。音楽のTPOはなかなか難しいものです。
父の死後、家を住み変えることになった時、半分以上のレコードを廃棄処分しました。ネットオークションにも出してみましたが、なかなか売れるものではなく。今になって、惜しかったという気持ちもあるのですが、かさばるので仕方ありません。
父の遺産として一番の宝物は、立派な本にLPが2枚ずつ付いているクラシック全集です。バッハからショスタコーヴィチまで、作曲家ごとにまとめられた全集は、中学生の頃に貰い受け、聴き込みました。ビクターが出していたため、提携していたソ連のメロディアレコードの録音が多く、これも私にロシア的感性を植え付けた要員の一つになっていると思います。ロシアの作曲家も、演奏家も、ずっしりと大地に根を下ろしたような重厚さが、今でも大好きなのです。

私も中学から大学2年くらいまでは、ずいぶんとレコードを集めました。音楽的な好奇心が旺盛だったあの頃、レコード屋は夢のつまった場所でした。ロシアの音楽家のレコードも買いましたが、最初に買ったのは、マンボの王様と呼ばれるペレス・プラード。その情熱的な音楽は少年期の私の心にエネルギーを与えてくれました。
それを入り口にラテン系のレコードを集め、フォルクローレから世界の民族音楽へも広がり、アメリカではなく第三世界のジャズミュージシャンに行き着きました。すべては、レコード屋でジャケットを見て帯の文を読んで買って行ったもので、試聴も何もなく本当に賭けみたいなもの、当たり外れもありましたが、自分の音楽耳を育てるのに良い経験だったと思います。
自分でCDプレーヤーを買うまでの間に、ずいぶんといろいろな分野のレコードを買いました。井上陽水も、谷山浩子も、途中まではレコードです。CDが全盛になってからも、ソ連直輸入のレコード店ではまだアナログの方が多かったので、ソ連のロックやジャズも買いました。希少なコレクションであると、自分では思っています。

レコードを聴くのは、CDなどとは違う独特の間があります。ジャケットから大きな盤を取り出して、両手でプレイヤーにセットし、スプレーを噴射してその香りを嗅ぎながらクリーナーでくるっとひと拭き、針を盤面の端っこにそっと下ろす。その瞬間のブツッという音、そしてパチパチいう雑音の中から沸き上がってくる深い音色。一連の手順は、音楽を聴くための儀式のような感じです。今ではごくたまにしか聴きませんが、古い大切な記憶を掘り起こすような想いでいっぱいになり、至福の時間を味わうことができるのです。

オーディオ機器

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中国・唐代の義浄という僧侶が、真の仏法を求めて天竺へ行く希望を持ち、艱難辛苦の上で到着するまでの旅を描いた小説。
それだけ書くと、お堅いように思いますが、前半はたしかに仏教歴史小説という感じの厳格な宗教観、しかし後半になると一転して冒険活劇ファンタジーに変身します。作品として分裂しているわけではなく、前半あってこその後半の面白さや盛り上がりにつながっているわけで、それは見事な筆の冴えと感嘆する次第です。
作者の仁木さんは意欲的に次々と作品を発表されていますが、まさに創作の勢いがある時期という感。どれも歴史や風俗といった考証がしっかりしているので、どれだけ破天荒な物語を書いても破綻することがなく、仙人も僧侶も、権力者も英雄も忍者も、しっかり人間の本質を描き切ります。本作では僧侶、商人、船乗り、海賊、といった人達ですね。
そして、かわいい女の子。ある意味ではアニメ的な萌え属性を持たせつつ、必ず芯の強さを持っているのがとても魅力的です。本作では、ほとんど坊主や海の男ばかりの中で、3人ばかりの少女が登場しますが、いずれも困ったちゃん(ツンデレ・電波・ヤンデレ?)でありながら(だからこそ?)、心惹かれました。

もちろん本筋はそこではなく、万人を救うことのできる真の仏法とはなにか、それを求める義浄の姿とその心こそが見所です。玄奘(三蔵法師)の西遊記さながら、不思議な出来事や困難に直面しながら海路の旅をする中で、多少のゆらぎはありながらも固く信心を貫き通す、これは今の世の中で求められている強さなのかもしれません。
道はまだ半ばというか、まだ真理の端緒にしか着いていません。義浄という人は長く天竺に留まり、多くの成果を中国に持ち帰った人らしいので、当然ながら続編を期待してしまいます。知らなかった中国の歴史文化を描いて見せてくれるように、もっと知らない天竺(印度)の歴史文化を描いて見せてほしいと願います。酒見賢一の「陋巷に在り」くらいの大作になっても付き合いたいです。

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仕事の関係もあってインターネットへの関わりはけっこう早く、最初に自分で個人HPを作ったのももう10数年も前になりますが、ブログ開設はずいぶん遅くなってしまいました。

mixiは5年ほどやってきましたが、最近は情報検索機能の劣化が激しく、自分の発信する情報もマイミクの一部にしか届かないので、一般ブログを始めてみようと思ったのです。

趣味関連を中心に、時には世相・思想的なことまで書くこともあるかもしれませんが、私の書いたことがどなたかの参考になってくれたりしたら、こんなに幸せなことはありません。

どうぞよろしくお願いします。

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広告ディレクターの馬場マコト氏による、昨年出版された「戦争と広告」にも登場した、花森安治の足跡をたどった伝記小説です。
私はこの1冊を読むまで、花森という人のことを知りませんでしたが、「暮しの手帖」創刊時からの編集長として有名な文化人だったようです。「戦争と広告」での主人公、山名文夫のことも本を読むまで知らなかった私は、広告業界にいながら無知な奴であると、あらためて思いました。現役の広告マンのこともよく知らないし、あまり興味もないのですが。

さて、著者の馬場さんとは、幸運なことに何度か一緒にお仕事をさせていただいたことがありますが、さすがにしっかりと芯の通ったクリエイティブをされる方です。大先輩の仕事ぶりを見るだけで、広告制作の面白さと厳しさを教えられる感があります。
その馬場さんがいま、さらに先建クリエイターたちの生き様について振り返り、著作として発表されるのは、広告とか出版とかの業界にいる後輩たちへ伝えたい、強いメッセージであると思っています。広く一般の人が読んでもおもしろく考えさせられる本だと思いますが、やはりメインターゲットはそこでしょう。

あとがきで、今はきな臭い世の中になってきているが、戦争は決して起こしてはいけない、なぜなら戦争が起これば嫌だと思ってもそれに加担せざるを得ないから、というように書かれています。
平和な世を生きて来た私達が、そんなことはないと思っていても、花森の生涯を見ればわかるだろうと、つきつけてきます。もともとリベラルな思想の持ち主であった花森が、戦争を鼓舞するのための宣伝に尽力した。そのあたりのメッセージ性は、前作の山名文夫の生きざま以上に明確に伝わって来ました。
戦争というものが人間に与える影響の大きさ。それは体と心に刻まれる、完治することのない大きな傷です。もちろん、その時代に生きる人は、それなりに幸せや充実などを覚えることもあるでしょうが、自由を制約された中での幸福は、真の幸福ではあり得ないものです。
自然災害や人的災害も、同じように人間に不幸をもたらすということを、今年私たちは再認識させられたわけですが、戦争というものは避けようのない災害ではなく、人間の意志によって起こされる不幸である、そこが根本から違うのです。

民主主義は、民衆のための思想である、しかし民衆は、時代に流されるものである。戦前から戦中の世の中に流された花森を、戦後の全共闘時代に流された馬場さんが語ると、非常に説得力があります。
私は子供のころに左翼活動家たちのレジスタンスに憧れの目を向け、革命家になりたいなどとも思いましたが、一人で行動できる齢になった時には、そうした空気は社会になくなっていました。なんとなく、体制には騙されないぞ、資本主義には躍らされないぞ、という意志だけをもちながら、それを行動で示すような場がありませんでした。私は、時代の喪失感に流されてきたのかもしれません。
その間にも、民衆は経済中心に流されてきました。日本列島改造計画、バブル経済、小泉構造改革(新自由主義経済)。そんな中で危うく育ってきたのが、原発依存のエネルギー政策だったり、偏向した愛国心や国粋主義だと思います。また、今の反原発の潮流にしても、本当にライフスタイルを根本から変える気がなければ、一過性で終わってしまうでしょう。
戦後66年経って、結局のところ理想の世界などまったく実現していない、その方向さえ定まらないのは不思議とすら思えます。いまこそ、次の世代へとつなげるための、民衆の意識を変えるための、優れた思想とそれを広めて告げる広告が必要なのかもしれません。
花森の「暮しの手帖」もそうした民衆の意識を変えるための一運動でしたが、もっと大きなものを作ろうではないかと、馬場さんもそこまでのメッセージを送ってきたのではないでしょうが、そこまで行って欲しいですよね。いや、誰にもなんの影響力もない(悲しいかな行動力もない)私などは、残念ながら他人事のようにしか言えないのですが。
広告人だった山名文夫は、クライアントがあって作り発信し続けた。出版人となった花森安治は、広告を取らずに読者のために作り発信し続けた。この違いがなにより大きく、馬場さんは広告人ですが、小説家という自己表現者でもあるわけで、「戦争と広告」の派生続編ではない、対象的な生きざまを描かずにいられない動機となり、自らの想いを世に問おうとしたのかなと思いました。

そんなふうに問われれば、とても意義のある1冊でした。白水社の刊ということで、どれだけ発行されたか分かりませんが、力のある広告人、出版人の多くに届けばと思います。でも、発売日の朝に汐留の電通本社ビルの下の本屋に行ったのですが、見つからなかったのですよ…。

白水社の本書紹介ページ


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絵・音・文・歩
自己紹介:
長年、同人誌で創作漫画を発表してきましたが、本当は小説が主な表現手段。職業はコピーライターで、趣味は楽器を鳴らすことなど。
下記に作品等アップ中です。よろしくお願いします!
■マンガ作品  COMEE
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■イラスト作品 pixiv
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