つばめろま〜なから、なにかを知りたい貴方へ。
ただ、無理して続けるのは良くない、音楽は自発性が大切であるとは、今になって思うことです。幸いにも、私には次のステージがありました。
まずは、ケーナ。フォルクローレに使われる葦の縦笛で、南米の音楽にはまっていた高校生の頃、最初の1本を楽器店で購入しました。その後2本を楽器店で、ほかは路上販売やワールドバザールなどの場で見つけてはほしくなり、今では大小7本を持っています。最近買ったのは牛の骨で作ったもので、とても力強い音が出るのですが…長くやっている分、いちばん自由に吹き鳴らせる楽器なのです。
ケーナをきっかけに、世界の民俗楽器を鳴らしてみたいと思った私は、収集癖にとりつかれました。笛を中心として、弦楽器や打楽器にも手を伸ばし・・気づくとかなりの数です。今のようにネット通販で手に入る環境がなかったので、輸入雑貨店をずいぶんと回りました。楽器としての音の魅力とともに、実用民芸品としての素朴な美しさも魅力ですから、やはり通販ではなく実物を見た時に欲しいと感じるインスピレーションが大切な気がします。
もう一つのきっかけは、高校の時にブラバン部を作ろうかという話に加わったことでした。すぐに頓挫したし良い思い出もあまりないのですが、ここでフルートに出会えました。その後、大学の合格祝いとして父にフルートを買ってもらうと、レコードに合わせて吹くということで演奏に慣れていきました。民俗楽器ではうまく音程が合わないけれど、やはり西洋楽器は表現の幅が広くなると思います。
その後は、MIDI系の電子楽器(鍵盤、打楽器、ウィンドなど)をいろいろと買ったり、うまく弾けないのに弦楽器を買ったり(ギター、バイオリン、ベースなど)クラリネットもトランペットも。
かつてはDTMにも挑戦しようと思ってちょっと高いソフトも買いましたが、これはもう、まったく使い方がわからず、そもそも楽器を即興で自由に鳴らすのが楽しいわけで、私のMACはせいぜい録音したものをCDに焼くくらいしか音楽との接点を持ってきませんでした。
そんなふうに楽器を集めてきた私は、人前で演奏するような機会はなく、たまに録音したものを作品として聴いてもらうためにカセットブックやCDブックにすることで発表の場としてきました。しかし、いつかはライヴをしてみたい、その野望は常にもち続けているのです。楽器の技術は下手でも、私にしか演奏できない音楽世界がある、それは絶対に確かなことなのですから。

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私が幼少の時から、家にはオープンリールのテープレコーダーがありました。カセットテープより音質が良いとオーディオマニアに人気だったようなものではなく、まだカセットテープも誕生していない頃のモノラル録音機でありました。赤ん坊の私の泣き声や、童謡を歌う天使のような声が残されていましたが、やがて重く大きな機械とともにテープもなくなってしまいました。
誰もが気軽に録音できてしまうカセットテープというのは、本当に凄い発明だったと思います。ラジカセを買ったのは、中学3年くらいの時だったか。アニメ「けいおん!」の軽音部の部室にあったのと同じミキシングができる機種です。中学1年の時からBCLという、海外のラジオ放送を受信して聴くという趣味にはまり、それ用のラジオを買ったりしていましたが、録音可能な機種(まだモノラル録音機でしたが)は後からになりました。
当時は、エアチェックというものが当たり前でした。すなわち、FMの音楽番組で放送される曲をテープに録音して聴くというものです。そのために、2週間分の番組表が載っているFM雑誌を買って、聴きたい曲が放送される日をチェックするということを多くの人がやっていました。
私が主に聴いていたのは、映画音楽です。そんなに映画自体を見るわけではなかったのに。それでも、NHKFMで月に一回放送されていた関ミツオさんの放送が楽しみで、映画の筋を聞いて、その音楽を聴くだけでとても夢が広がるものでした。それと同時に、映画音楽と一括りにして聴いていましたが、中にはクラシックもジャズもロックもイージーリスニングも民謡も・・ありとあらゆるジャンルの音楽があって、私になんでも聴ける感性を与えてくれました。
当時はNHKも民放FMも、しっかりと音楽を聴かせてくれて、文化を発信するという気概にあふれていた気がします。今の民放FM曲は、文化としての音楽を壊しているとしか思えませんし、NHKもマンネリな感じで非常に憂慮すべき事態だと思えるのですが。そのあたりはまたの機会に。
次にラジカセが大活躍したのは、大学生の頃、谷山浩子のオールナイトニッポンを毎週録音していた時です。当時のラジカセはオートリバース機能などなく、深夜3時から始まる2時間番組を120分テープで録るために、スタートは電源タイマーで、4時前に目覚ましをかけて時計が鳴る、起きる、テープを裏返して録音ボタンを押して、また寝る、ということを毎週木曜日に番組終了までの1年くらい続けていました。当時のAM放送も、モノラルでした。
CDが登場した時、レコードと違ってディスクを裏返さないで聴けるのが便利だと思いましたが、カセットテープからMDになった時にも同じことを思いました。今では小さなカードメディアに何時間でも録音できてしまう、それはすごいことです。(かさばらない、音が良い、耐久性が良い、というのも素晴らしい)
でも、裏返す行為にも意味がありました。自分でカセットブックを作った時、A面とB面という大きな括りでのコンセプトを考えるため、全体としての流れが構成しやすかったということがあります。それはプロのミュージシャンがレコードアルバムを作る時にも言えたことです。あのアルバムのA面よりB面のコンセプトが好き、とかは、よくあったことです。
音楽がデジタル化されてから、多くの曲をシャッフル機能を使ってランダムに聴くようなことも増えたと思いますが、それはやはりBGMとしての聴き方であって、アーティストの作品を鑑賞するという形ではないように思えてしまいます。とはいいつつ、私も最近では腰を据えてじっくりとアルバムを聴き込むようなことがなくなっていて、喪失感があるのですが。

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誰もが気軽に録音できてしまうカセットテープというのは、本当に凄い発明だったと思います。ラジカセを買ったのは、中学3年くらいの時だったか。アニメ「けいおん!」の軽音部の部室にあったのと同じミキシングができる機種です。中学1年の時からBCLという、海外のラジオ放送を受信して聴くという趣味にはまり、それ用のラジオを買ったりしていましたが、録音可能な機種(まだモノラル録音機でしたが)は後からになりました。
当時は、エアチェックというものが当たり前でした。すなわち、FMの音楽番組で放送される曲をテープに録音して聴くというものです。そのために、2週間分の番組表が載っているFM雑誌を買って、聴きたい曲が放送される日をチェックするということを多くの人がやっていました。
私が主に聴いていたのは、映画音楽です。そんなに映画自体を見るわけではなかったのに。それでも、NHKFMで月に一回放送されていた関ミツオさんの放送が楽しみで、映画の筋を聞いて、その音楽を聴くだけでとても夢が広がるものでした。それと同時に、映画音楽と一括りにして聴いていましたが、中にはクラシックもジャズもロックもイージーリスニングも民謡も・・ありとあらゆるジャンルの音楽があって、私になんでも聴ける感性を与えてくれました。
当時はNHKも民放FMも、しっかりと音楽を聴かせてくれて、文化を発信するという気概にあふれていた気がします。今の民放FM曲は、文化としての音楽を壊しているとしか思えませんし、NHKもマンネリな感じで非常に憂慮すべき事態だと思えるのですが。そのあたりはまたの機会に。
次にラジカセが大活躍したのは、大学生の頃、谷山浩子のオールナイトニッポンを毎週録音していた時です。当時のラジカセはオートリバース機能などなく、深夜3時から始まる2時間番組を120分テープで録るために、スタートは電源タイマーで、4時前に目覚ましをかけて時計が鳴る、起きる、テープを裏返して録音ボタンを押して、また寝る、ということを毎週木曜日に番組終了までの1年くらい続けていました。当時のAM放送も、モノラルでした。
CDが登場した時、レコードと違ってディスクを裏返さないで聴けるのが便利だと思いましたが、カセットテープからMDになった時にも同じことを思いました。今では小さなカードメディアに何時間でも録音できてしまう、それはすごいことです。(かさばらない、音が良い、耐久性が良い、というのも素晴らしい)
でも、裏返す行為にも意味がありました。自分でカセットブックを作った時、A面とB面という大きな括りでのコンセプトを考えるため、全体としての流れが構成しやすかったということがあります。それはプロのミュージシャンがレコードアルバムを作る時にも言えたことです。あのアルバムのA面よりB面のコンセプトが好き、とかは、よくあったことです。

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2011年8月の終わり、遅い夏休みの旅行計画として、そうだ、前から行きたいと思っていながら中途半端な遠さから行けなかったあそこに、どうせだから泊まりがけで行こう!というわけで、東京都の外れ、秋川渓谷へ。渓流の風景をこよなく愛しているということもありますが、目的は人形作家、友永詔三氏の個人美術館「深沢小さな美術館」でした。
友永氏は、NHKの人形劇「プリンプリン物語」の人形たちを制作したことで有名な方です。かの番組は、私が高校生から大学生時代に放映されておりました。石山透の脚本による、ユーモアとエスプリのきいた冒険放浪ロマン人形劇で、大人でも楽しめる素晴らしい作品でした。私がこれまでの人生で見た多くのテレビ番組の中でもベストだと言えます。
人形は美しく整ったものでなく、どのキャラクターも異形なまでに個性的でありました。主役のプリンプリンだけは美少女風でしたが、性格とか、声を充てていた石川ひとみの演技とか、かなりぶっとんでいて、おしとやかなお姫様ではなかった、そこがまた人形の魅力と相俟って愛すべきものになっていました。
そのプリンプリンと実際に会うことができる場所、それがこの美術館なのです。
[プリンプリン物語の人形や、友永氏の人形製作話は、こちらのHPへどうぞ]

写真は、21世紀になってから
フィギュアとして発売されたもの。
実は、プリンプリンには昨年も会っています。赤坂のホテル、ニューオータニ美術館で開催された個展でした。また、友永氏の他の作品、どこか仏像を思わせる木彫りの少女像など、ファンタジックな世界観を持った人形たちは、20年前にも有楽町での個展で見たことがありました。
プリンプリンだけでは、わざわざ遠くまで行こうと思わなかったかもしれませんが、友永氏の深遠な造形世界が好きなのです。

左は有楽町西武での個展の際のパンフ
中は有楽町西武での個展チラシ
右は赤坂ニューオータニでのパンフ
さて、この美術館、武蔵五日駅からノスタルジックな感じの山間風景を歩くこと1時間ほどのところ、バスも通らない場所にあります。秋川渓谷エリア一帯に、友永氏が丸太を彫った人形「ジィージィー」たちが道しるべとして立っているので、迷うことはありません!この2日間の旅行中に、何十体見たことか。逆に、この人形がない道は間違った道だということを、山道に迷い込んで知りました…。


美術館(隣のご自宅も)は建物自体がガウディ風な曲線が美しい芸術作品で、外観はメルヘンチックで内観は山小屋風、ドアや窓なども手作り感たっぷり、取っ手に人形が付いていたりと、楽しさにあふれています。そんなステキな空間なので、展示されている人形たちも都会のギャラリーとは違って、生き生きと見えました。
プリンプリンに登場した人形たちは一つのコーナーに窮屈なまでに並べられていて、ガラス越しだった赤坂の時とは違い、すぐ目の前で人形たちの息遣いが感じられるかのよう。一体一体がなつかしく、顔や衣が古びている様も愛おしく。眼福至福。
友永氏は庭仕事中でお見かけしただけでしたが、奥様とはお話しできて、ウッドデッキに設けられたガラスの大水槽に泳ぐ鯉や草魚を見せていただきました。山側にも水槽が段々になって設けられていて、自然の中の水族館といった様相で圧倒されます。友永氏の作品に魚頭の人間などもありますが(プリンプリン物語りにも出てきたっけ)お好きなようです。



最後に売られていた、道々に立っていた妖精の小さな木彫りを購入し、人形の前で(しかもプリンプリンと一緒に!)奥様に写真を撮っていただけました。美術館の作品は撮影禁止が原則なので、これはとても嬉しいことでした。著作権を考慮し、ここに載せられないのが残念ですが、人形たちは公式HPでご覧ください。
美術館だけでも充分満足でしたが、その後は山小屋で昼食のうどんを食べ、ちょうど石窯でピザを焼いていたのでおすさわけもいただき、道に迷いながら険しい山道を越えて渓谷にたどり着き、家族的な温泉旅館で1泊。翌日は払沢の滝を見て、豆腐屋さんの豆乳アイスとおからドーナツ(絶品!)を食べるなどして、旅行の思い出を重ねました。



プリンだけでなく(友永氏の奥様はプリンプリンのことを愛情たっぷりに「プリン」と呼ばれていました)、東京都でありながら大自然と素朴な見所の多い、素敵な場所ですので、ぜひ再訪したいと思っています。

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友永氏は、NHKの人形劇「プリンプリン物語」の人形たちを制作したことで有名な方です。かの番組は、私が高校生から大学生時代に放映されておりました。石山透の脚本による、ユーモアとエスプリのきいた冒険放浪ロマン人形劇で、大人でも楽しめる素晴らしい作品でした。私がこれまでの人生で見た多くのテレビ番組の中でもベストだと言えます。
人形は美しく整ったものでなく、どのキャラクターも異形なまでに個性的でありました。主役のプリンプリンだけは美少女風でしたが、性格とか、声を充てていた石川ひとみの演技とか、かなりぶっとんでいて、おしとやかなお姫様ではなかった、そこがまた人形の魅力と相俟って愛すべきものになっていました。
そのプリンプリンと実際に会うことができる場所、それがこの美術館なのです。
[プリンプリン物語の人形や、友永氏の人形製作話は、こちらのHPへどうぞ]
写真は、21世紀になってから
フィギュアとして発売されたもの。
実は、プリンプリンには昨年も会っています。赤坂のホテル、ニューオータニ美術館で開催された個展でした。また、友永氏の他の作品、どこか仏像を思わせる木彫りの少女像など、ファンタジックな世界観を持った人形たちは、20年前にも有楽町での個展で見たことがありました。
プリンプリンだけでは、わざわざ遠くまで行こうと思わなかったかもしれませんが、友永氏の深遠な造形世界が好きなのです。
左は有楽町西武での個展の際のパンフ
中は有楽町西武での個展チラシ
右は赤坂ニューオータニでのパンフ
さて、この美術館、武蔵五日駅からノスタルジックな感じの山間風景を歩くこと1時間ほどのところ、バスも通らない場所にあります。秋川渓谷エリア一帯に、友永氏が丸太を彫った人形「ジィージィー」たちが道しるべとして立っているので、迷うことはありません!この2日間の旅行中に、何十体見たことか。逆に、この人形がない道は間違った道だということを、山道に迷い込んで知りました…。
美術館(隣のご自宅も)は建物自体がガウディ風な曲線が美しい芸術作品で、外観はメルヘンチックで内観は山小屋風、ドアや窓なども手作り感たっぷり、取っ手に人形が付いていたりと、楽しさにあふれています。そんなステキな空間なので、展示されている人形たちも都会のギャラリーとは違って、生き生きと見えました。
プリンプリンに登場した人形たちは一つのコーナーに窮屈なまでに並べられていて、ガラス越しだった赤坂の時とは違い、すぐ目の前で人形たちの息遣いが感じられるかのよう。一体一体がなつかしく、顔や衣が古びている様も愛おしく。眼福至福。
友永氏は庭仕事中でお見かけしただけでしたが、奥様とはお話しできて、ウッドデッキに設けられたガラスの大水槽に泳ぐ鯉や草魚を見せていただきました。山側にも水槽が段々になって設けられていて、自然の中の水族館といった様相で圧倒されます。友永氏の作品に魚頭の人間などもありますが(プリンプリン物語りにも出てきたっけ)お好きなようです。
美術館だけでも充分満足でしたが、その後は山小屋で昼食のうどんを食べ、ちょうど石窯でピザを焼いていたのでおすさわけもいただき、道に迷いながら険しい山道を越えて渓谷にたどり着き、家族的な温泉旅館で1泊。翌日は払沢の滝を見て、豆腐屋さんの豆乳アイスとおからドーナツ(絶品!)を食べるなどして、旅行の思い出を重ねました。
プリンだけでなく(友永氏の奥様はプリンプリンのことを愛情たっぷりに「プリン」と呼ばれていました)、東京都でありながら大自然と素朴な見所の多い、素敵な場所ですので、ぜひ再訪したいと思っています。

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【つばめ☆音楽随考:音楽についてもろもろ体験してきたことや
考えることなどを、まにまに書き綴ってまいります。
対するご意見や、新たなお題なども頂戴いたしたく存じます。】
私の子供の頃から話しをはじめましょう。
家には、立派なステレオがありました。当時、金持ちでもないのにそんな音響機器がある家はあまりなかったかと思います。クラシック音楽が好きな父は、学生時代からレコードを集めて、友達と鑑賞会を開いたりしたと聞いていましたが、まだ戦後復興期といえる時代。だから家にあるレコードは半分くらいがモノラル盤でした。
父が聴くレコードを、私も赤ん坊の時から耳の端で聴いていたことになります。大人になってから尋ねると、一番好きなのはチャイコフスキーの悲愴だと言っていました。私がロシア的な感性を愛するのは、そこから始まったのかもしれません。そんなわけで父の葬儀の時には会場に悲愴のCDをかけてもらったのですが、あまりにも重々しい曲で場が暗くなり過ぎると配慮してくれた葬儀社の人が、途中で別のCDに変えてしまいました。音楽のTPOはなかなか難しいものです。
父の死後、家を住み変えることになった時、半分以上のレコードを廃棄処分しました。ネットオークションにも出してみましたが、なかなか売れるものではなく。今になって、惜しかったという気持ちもあるのですが、かさばるので仕方ありません。
父の遺産として一番の宝物は、立派な本にLPが2枚ずつ付いているクラシック全集です。バッハからショスタコーヴィチまで、作曲家ごとにまとめられた全集は、中学生の頃に貰い受け、聴き込みました。ビクターが出していたため、提携していたソ連のメロディアレコードの録音が多く、これも私にロシア的感性を植え付けた要員の一つになっていると思います。ロシアの作曲家も、演奏家も、ずっしりと大地に根を下ろしたような重厚さが、今でも大好きなのです。
私も中学から大学2年くらいまでは、ずいぶんとレコードを集めました。音楽的な好奇心が旺盛だったあの頃、レコード屋は夢のつまった場所でした。ロシアの音楽家のレコードも買いましたが、最初に買ったのは、マンボの王様と呼ばれるペレス・プラード。その情熱的な音楽は少年期の私の心にエネルギーを与えてくれました。
それを入り口にラテン系のレコードを集め、フォルクローレから世界の民族音楽へも広がり、アメリカではなく第三世界のジャズミュージシャンに行き着きました。すべては、レコード屋でジャケットを見て帯の文を読んで買って行ったもので、試聴も何もなく本当に賭けみたいなもの、当たり外れもありましたが、自分の音楽耳を育てるのに良い経験だったと思います。
自分でCDプレーヤーを買うまでの間に、ずいぶんといろいろな分野のレコードを買いました。井上陽水も、谷山浩子も、途中まではレコードです。CDが全盛になってからも、ソ連直輸入のレコード店ではまだアナログの方が多かったので、ソ連のロックやジャズも買いました。希少なコレクションであると、自分では思っています。
レコードを聴くのは、CDなどとは違う独特の間があります。ジャケットから大きな盤を取り出して、両手でプレイヤーにセットし、スプレーを噴射してその香りを嗅ぎながらクリーナーでくるっとひと拭き、針を盤面の端っこにそっと下ろす。その瞬間のブツッという音、そしてパチパチいう雑音の中から沸き上がってくる深い音色。一連の手順は、音楽を聴くための儀式のような感じです。今ではごくたまにしか聴きませんが、古い大切な記憶を掘り起こすような想いでいっぱいになり、至福の時間を味わうことができるのです。

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私の子供の頃から話しをはじめましょう。
家には、立派なステレオがありました。当時、金持ちでもないのにそんな音響機器がある家はあまりなかったかと思います。クラシック音楽が好きな父は、学生時代からレコードを集めて、友達と鑑賞会を開いたりしたと聞いていましたが、まだ戦後復興期といえる時代。だから家にあるレコードは半分くらいがモノラル盤でした。
父が聴くレコードを、私も赤ん坊の時から耳の端で聴いていたことになります。大人になってから尋ねると、一番好きなのはチャイコフスキーの悲愴だと言っていました。私がロシア的な感性を愛するのは、そこから始まったのかもしれません。そんなわけで父の葬儀の時には会場に悲愴のCDをかけてもらったのですが、あまりにも重々しい曲で場が暗くなり過ぎると配慮してくれた葬儀社の人が、途中で別のCDに変えてしまいました。音楽のTPOはなかなか難しいものです。
父の死後、家を住み変えることになった時、半分以上のレコードを廃棄処分しました。ネットオークションにも出してみましたが、なかなか売れるものではなく。今になって、惜しかったという気持ちもあるのですが、かさばるので仕方ありません。
父の遺産として一番の宝物は、立派な本にLPが2枚ずつ付いているクラシック全集です。バッハからショスタコーヴィチまで、作曲家ごとにまとめられた全集は、中学生の頃に貰い受け、聴き込みました。ビクターが出していたため、提携していたソ連のメロディアレコードの録音が多く、これも私にロシア的感性を植え付けた要員の一つになっていると思います。ロシアの作曲家も、演奏家も、ずっしりと大地に根を下ろしたような重厚さが、今でも大好きなのです。
私も中学から大学2年くらいまでは、ずいぶんとレコードを集めました。音楽的な好奇心が旺盛だったあの頃、レコード屋は夢のつまった場所でした。ロシアの音楽家のレコードも買いましたが、最初に買ったのは、マンボの王様と呼ばれるペレス・プラード。その情熱的な音楽は少年期の私の心にエネルギーを与えてくれました。
それを入り口にラテン系のレコードを集め、フォルクローレから世界の民族音楽へも広がり、アメリカではなく第三世界のジャズミュージシャンに行き着きました。すべては、レコード屋でジャケットを見て帯の文を読んで買って行ったもので、試聴も何もなく本当に賭けみたいなもの、当たり外れもありましたが、自分の音楽耳を育てるのに良い経験だったと思います。
自分でCDプレーヤーを買うまでの間に、ずいぶんといろいろな分野のレコードを買いました。井上陽水も、谷山浩子も、途中まではレコードです。CDが全盛になってからも、ソ連直輸入のレコード店ではまだアナログの方が多かったので、ソ連のロックやジャズも買いました。希少なコレクションであると、自分では思っています。
レコードを聴くのは、CDなどとは違う独特の間があります。ジャケットから大きな盤を取り出して、両手でプレイヤーにセットし、スプレーを噴射してその香りを嗅ぎながらクリーナーでくるっとひと拭き、針を盤面の端っこにそっと下ろす。その瞬間のブツッという音、そしてパチパチいう雑音の中から沸き上がってくる深い音色。一連の手順は、音楽を聴くための儀式のような感じです。今ではごくたまにしか聴きませんが、古い大切な記憶を掘り起こすような想いでいっぱいになり、至福の時間を味わうことができるのです。

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中国・唐代の義浄という僧侶が、真の仏法を求めて天竺へ行く希望を持ち、艱難辛苦の上で到着するまでの旅を描いた小説。
それだけ書くと、お堅いように思いますが、前半はたしかに仏教歴史小説という感じの厳格な宗教観、しかし後半になると一転して冒険活劇ファンタジーに変身します。作品として分裂しているわけではなく、前半あってこその後半の面白さや盛り上がりにつながっているわけで、それは見事な筆の冴えと感嘆する次第です。
作者の仁木さんは意欲的に次々と作品を発表されていますが、まさに創作の勢いがある時期という感。どれも歴史や風俗といった考証がしっかりしているので、どれだけ破天荒な物語を書いても破綻することがなく、仙人も僧侶も、権力者も英雄も忍者も、しっかり人間の本質を描き切ります。本作では僧侶、商人、船乗り、海賊、といった人達ですね。
そして、かわいい女の子。ある意味ではアニメ的な萌え属性を持たせつつ、必ず芯の強さを持っているのがとても魅力的です。本作では、ほとんど坊主や海の男ばかりの中で、3人ばかりの少女が登場しますが、いずれも困ったちゃん(ツンデレ・電波・ヤンデレ?)でありながら(だからこそ?)、心惹かれました。
もちろん本筋はそこではなく、万人を救うことのできる真の仏法とはなにか、それを求める義浄の姿とその心こそが見所です。玄奘(三蔵法師)の西遊記さながら、不思議な出来事や困難に直面しながら海路の旅をする中で、多少のゆらぎはありながらも固く信心を貫き通す、これは今の世の中で求められている強さなのかもしれません。
道はまだ半ばというか、まだ真理の端緒にしか着いていません。義浄という人は長く天竺に留まり、多くの成果を中国に持ち帰った人らしいので、当然ながら続編を期待してしまいます。知らなかった中国の歴史文化を描いて見せてくれるように、もっと知らない天竺(印度)の歴史文化を描いて見せてほしいと願います。酒見賢一の「陋巷に在り」くらいの大作になっても付き合いたいです。

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それだけ書くと、お堅いように思いますが、前半はたしかに仏教歴史小説という感じの厳格な宗教観、しかし後半になると一転して冒険活劇ファンタジーに変身します。作品として分裂しているわけではなく、前半あってこその後半の面白さや盛り上がりにつながっているわけで、それは見事な筆の冴えと感嘆する次第です。
作者の仁木さんは意欲的に次々と作品を発表されていますが、まさに創作の勢いがある時期という感。どれも歴史や風俗といった考証がしっかりしているので、どれだけ破天荒な物語を書いても破綻することがなく、仙人も僧侶も、権力者も英雄も忍者も、しっかり人間の本質を描き切ります。本作では僧侶、商人、船乗り、海賊、といった人達ですね。
そして、かわいい女の子。ある意味ではアニメ的な萌え属性を持たせつつ、必ず芯の強さを持っているのがとても魅力的です。本作では、ほとんど坊主や海の男ばかりの中で、3人ばかりの少女が登場しますが、いずれも困ったちゃん(ツンデレ・電波・ヤンデレ?)でありながら(だからこそ?)、心惹かれました。
もちろん本筋はそこではなく、万人を救うことのできる真の仏法とはなにか、それを求める義浄の姿とその心こそが見所です。玄奘(三蔵法師)の西遊記さながら、不思議な出来事や困難に直面しながら海路の旅をする中で、多少のゆらぎはありながらも固く信心を貫き通す、これは今の世の中で求められている強さなのかもしれません。
道はまだ半ばというか、まだ真理の端緒にしか着いていません。義浄という人は長く天竺に留まり、多くの成果を中国に持ち帰った人らしいので、当然ながら続編を期待してしまいます。知らなかった中国の歴史文化を描いて見せてくれるように、もっと知らない天竺(印度)の歴史文化を描いて見せてほしいと願います。酒見賢一の「陋巷に在り」くらいの大作になっても付き合いたいです。

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プロフィール
HN:
つばめろま〜な
性別:
男性
趣味:
絵・音・文・歩
自己紹介:
長年、同人誌で創作漫画を発表してきましたが、本当は小説が主な表現手段。職業はコピーライターで、趣味は楽器を鳴らすことなど。
下記に作品等アップ中です。よろしくお願いします!
■マンガ作品 COMEE
http://www.comee.jp/userinfo.php?userid=1142
■イラスト作品 pixiv
https://www.pixiv.net/users/31011494
■音楽作品 YouTube
https://www.youtube.com/channel/UChawsZUdPAQh-g4WeYvkhcA
■近況感想雑記 Facebook
https://www.facebook.com/profile.php?id=100005202256040
下記に作品等アップ中です。よろしくお願いします!
■マンガ作品 COMEE
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■イラスト作品 pixiv
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