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つばめろま〜なから、なにかを知りたい貴方へ。
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中国・唐代の義浄という僧侶が、真の仏法を求めて天竺へ行く希望を持ち、艱難辛苦の上で到着するまでの旅を描いた小説。
それだけ書くと、お堅いように思いますが、前半はたしかに仏教歴史小説という感じの厳格な宗教観、しかし後半になると一転して冒険活劇ファンタジーに変身します。作品として分裂しているわけではなく、前半あってこその後半の面白さや盛り上がりにつながっているわけで、それは見事な筆の冴えと感嘆する次第です。
作者の仁木さんは意欲的に次々と作品を発表されていますが、まさに創作の勢いがある時期という感。どれも歴史や風俗といった考証がしっかりしているので、どれだけ破天荒な物語を書いても破綻することがなく、仙人も僧侶も、権力者も英雄も忍者も、しっかり人間の本質を描き切ります。本作では僧侶、商人、船乗り、海賊、といった人達ですね。
そして、かわいい女の子。ある意味ではアニメ的な萌え属性を持たせつつ、必ず芯の強さを持っているのがとても魅力的です。本作では、ほとんど坊主や海の男ばかりの中で、3人ばかりの少女が登場しますが、いずれも困ったちゃん(ツンデレ・電波・ヤンデレ?)でありながら(だからこそ?)、心惹かれました。

もちろん本筋はそこではなく、万人を救うことのできる真の仏法とはなにか、それを求める義浄の姿とその心こそが見所です。玄奘(三蔵法師)の西遊記さながら、不思議な出来事や困難に直面しながら海路の旅をする中で、多少のゆらぎはありながらも固く信心を貫き通す、これは今の世の中で求められている強さなのかもしれません。
道はまだ半ばというか、まだ真理の端緒にしか着いていません。義浄という人は長く天竺に留まり、多くの成果を中国に持ち帰った人らしいので、当然ながら続編を期待してしまいます。知らなかった中国の歴史文化を描いて見せてくれるように、もっと知らない天竺(印度)の歴史文化を描いて見せてほしいと願います。酒見賢一の「陋巷に在り」くらいの大作になっても付き合いたいです。

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