つばめろま〜なから、なにかを知りたい貴方へ。
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◯いよいよ四半世紀が目前の24回目を迎えたJazzPromenadeですが、1回めから連続で聴き続けている記録更新。病気や身内の不幸もこの時期には重ならない…本当に幸運なことだと思っています。今年も2日間、フルに楽しませてもらいました。
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10月8日(土)
○1日目は関内駅前で両日券をバッジに引き換えるところからスタートです。ちょうど強い雨が降ってきて、パンフを濡らしてしまったのが残念…。
■赤松敏弘meetsハクエイ・キム(関内ホール 小ホール)
赤松敏弘 vib、ハクエイ・キム p、市原ひかり tp、
生沼邦夫 b、小山太郎 ds
スケジュールさえ合えば定番で聴いている赤松さんですが、今年はNEWSハーバーでなく、じっくり聴ける関内小ホールというのが嬉しかったです。このメンバーは実力者ぞろいで本当に素晴らしくて、モダンジャズらしさあふれる音楽を楽しく奏でてくれます。
特に今回はハクエイさんのピアノの良さにやっと気づけました。近い席から手元をしっかり見ることができたこともあって、緻密に一音一音を大切に弾いていることが伝わってきます。これまで何度か聴きながら、イケメンだけどあまり迫力がないしなぁ、などと思っていたのは間違っていました…。
トランペットの市原さんがボイスで参加した曲など、心が洗われるようでしたし、スタンダードもオリジナルも洗練された美しい音を聴かせてくれるステージでした。
◯次のステージまでちょっと時間があったので、関内ホール裏のフレンチレストラン「ぼんふぁむ」でランチ。例年はラーメン屋ですが、そんなに金額も変わらず美味しい料理を食べられて満足でした。
■Shun Sakai & The Long Goodbye(関内ホール 大ホール)
酒井俊 vo、田中信正 p、土井徳浩 cl、関島岳郎 tub、
佐藤芳明 acc、須川崇志 vc、瀬尾高志 b、竹村一哲 ds
2年続いて約2時間ぶっ通しでの演奏ですが、昨年は未練ながら途中で他会場に移動したので、やはり最後まで聴けて良かったと…「海の音」がテーマの壮大なドラマを見終わったかのような感動を味わいました。
酒井さんはシンガーですが、指揮者のような全体のプロデュース能力に長けているのでしょう、この個性的なメンバーが見事に調和しながら自由な感性で演奏する世界を創り上げます。みんな本当に楽しそうに音楽している、ということが伝わってくるのです。
休みなしで何曲演奏されたかわかりませんが、ジャズのスタンダード、メンバーのオリジナル、映画音楽、クラシックの曲まで多彩なラインアップが手を変え品を変えて奏でられる様は、刺激と興奮と幸福感に満ちたものでした。ショパン別れの曲やジョーズはすごかったし、定番のナーダムはやはり酒井さんの歌が映える名曲です。
瀬尾さんのベースや一哲さんのドラムなど、板橋さんとやっているときとはまた違った魅力があふれ出ていましたし、チェロ、クラリネット、アコーディオンはとても劇的に情感豊かにメロディを奏で、チューバとピアノはしっかり土台を支えながら盛り上げている感じでした。
■森山威男カルテット(横浜市開港記念会館)
森山威男 ds、坂田明 as&vo、佐藤允彦 p、水谷浩章 b
昨年は自分より若い世代とのカルテットでしたが、今年は大御所メンバーで。森山さんの空間を隙間なく埋め尽くすようなドラムの音、佐藤さんの理知的ながら熱いピアノの旋律、坂田さんの眩しくキラキラしているサックスの音。さすがに海千山千の凄い演奏でした。
最初の森山&佐藤デュオによる童謡2曲が特に心に残ります。坂田さんのだみ声を張り上げてのボーカルも良かったです。森山さんのとぼけた味のトークはおかしいだけでなく、どこかにジャズメンの本音が入っているので奥深いですね。
森山さんの演奏は翌日も聴いたので、詳しくはそちらに回します。
■鬼武みゆきwith Friends(関内ホール 小ホール)
鬼武みゆき p、鳥越啓介 b、佐藤芳明 acc、岩瀬立飛 ds
今回も明るくメロディアスな心躍る音楽を中心に。鬼武さんは美人なだけでなく、本当にまじめで音楽をはじめ物事に真摯に向き合っている人だなぁと思います。息の合ったメンバーとの完成度の高い演奏が、それを感じさせてくれるのです。細い体でパワフルな演奏も、鍛錬と表現意欲の表れでしょう。
その創造性に人気も定着して小ホールはいつも満員、そろそろ鬼武さんあたりが大ホールでのステージを任される時ではないかと思うのですが、どうでしょうか。その時だけのスペシャルゲストを迎えたりして、いつもと違う面も見てみたいなと思っています。
◯1日目から幸せな気分で終了、CERTEのレストランフロアに行って、ベトナム料理を食べて帰りました。この駅前ビルは休日の夜ともなるとガラーンと空いているので、ゆっくりできるのです。
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10月9日(日)
◯2日目は桜木町から。みなとみらいホールは開場30分前で50人位の行列でしたでしょうか。2千席の大きな会場でも早めに着いて良い席を確保です。
■4ドラマーズ(横浜みなとみらいホール)
猪俣猛 ds、森山威男 ds、本田珠也 ds、江藤良人 ds、
田中信正 p、坂井紅介 b、井上銘 g、
大森明 sa、類家心平tp、峰厚介 ts
前日も聴いた森山さんはじめ4人・4世代のドラマーが集結、それぞれのセッションと最後にドラムバトルで技を競い合うステージ。会場はコンサートホールなので音が響きすぎ、ドラムの細かいニュアンスが伝わりにくかったのは残念でしたが…2階サイド席の最前列で観たので、ステージ全体、そしてドラマーの手元までしっかり見ることができたのは幸せでした。特に森山さんのセット側でしたので、ほぼ真上からそのドラミングテクニックの妙を俯瞰することができました。
若くてイキの良い江藤さん(with井上さん)、冷静なようで体の芯から熱さがほとばしる本田さん(with類家さん)、熱いながら愛情あふれる森山さん(with類家さん、峰さん)、長い歳月を感じさせる猪俣さん(with類家さん、大森さん)と、4人それぞれの個性が面白かったのですが、やはり森山さんの演奏が別次元で素晴らしく感じられました。
前夜のライヴで、森山さんのドラムはどうして空間を埋め尽くす音が出せるのだろうと聴いていましたが、上から見ていて、その手首の柔らかい使い方が秘密なのだと知りました。そして、体の使い方全体がしなやかで美しく、まるで猫のようだと思ったのです。心も猫のように自由気ままで、でも人から愛されることが大好き…猫ドラマーです。ドラムバトルでもひときわ奔放に輝いていました。
ところで、類家さんのトランペットは今回3ステージを聴きましたが、本田さんとのデュオで吹きまくる姿はこの日最高のビジュアル、圧巻でした。すべてのセットでピアノを弾いた田中信正さん、猪俣さんとは初共演のようでしたが、この人も猫のようにしなやかな感性で、4人それぞれの魅力を引き出していたと思いました。
■竹内直カルテット(ランドマークホール)
竹内直 ts&bcl、若井優也 p、若井俊也 b、竹村一哲 ds
熱いドラムバトルから、少し気持ちを緩めてクールダウンできる感じのラテン系、堅実な演奏で落ち着きます。竹内さんのバスクラの音が心地良かったですが、演奏としてはサックスの方が馴れてらっしゃる感じを受けました。
目当ては一哲さんのドラムでしたが、板橋さんや酒井さんと演る緊張感とは違い、心を解き放たれたような、ラストの曲などいかにも楽しそうに叩いていたのが印象的でした。
◯次は会場移動がないので、ランドマークホールのロビーにて、桜木町に到着してすぐ買っておいたパンで昼食です。
■Natural Born Killer BAND(ランドマークホール)
KANKAWA org&syn、類家心平 ele-tp、本田珠也 ds
カンカワさんの演奏もこれまで何度も聴いてきましたが、今回はエレクトリックな即興演奏、初めての感覚を体験させてもらいました。
1時間で2曲、電子オルガンとシンセを使って創りだされる音色に、類家さんのエフェクターを掛けたトランペットの音が重なり、本田さんのドラムのビートがきっちりと締める、トリオながら壮大な音の宇宙。言葉にしにくいですが、とにかく凄いものを聴いてしまったという興奮がしばらく冷めませんでした。
はじめスタッフに支えられながらステージに登場したカンカワさん、大丈夫かなと思いましたが…まだまだ創造意欲にあふれています。これから先もなにを聴かせてくれるのかと、楽しみにさせてくれる人です。
○関内大ホールに移動、まだ北村英治さんの演奏が終わっていなかったので、最後の1曲を聴くことができました。昔テレビで見た伝説のジャズマンという感じですが、自分の志向とは違うので聴こうと思ったこともなかったけれど…その1曲、とても良かったです。まだまだ張りがある煌めくようなクラリネットの音色でした。
■板橋文夫(関内ホール 大ホール)
☆第一部 板橋文夫FIT!+類家・纐纈・後藤・高岡
☆第二部 板橋文夫オーケストラ+特別ゲスト
板橋文夫 p、瀬尾高志 b、竹村一哲 ds
類家心平 tp、纐纈雅代 as、後藤篤 tb、高岡大祐 tub
林栄一 as、片山広明 ts、吉田隆一 bs、太田恵資 vl、外山明 ds
等々力政彦 トゥバ民族音楽演奏家、工藤丈輝 舞踏、山田丈造 tp
今年もトリは板橋さんの2時間半。今年は第一部から編成が大きくて、迫力のある演奏が繰り広げられました。FITのトリオは半端なく完成度が高まっているので、そこにさらなる若き強者たちが加わると、期待感を上回る演奏が生まれてくる感じです。特に怪物的な高岡さんのチューバが暴れ出すと物凄いことに…。最後の「アリゲーターダンス」で大盛り上がりのうちに、セットチェンジの休憩。
第二部のオーケストラではベテラン勢が加わり、ますますヒートアップ。片山さんも今年は元気に、パワーあふれる演奏を聴かせてくれたのが嬉しかったです。ゲストの音楽演奏家・等々力さんが加わっての「Aldan-Maadyr」は、瀬尾さんのベースとの合奏が魂に響いてくるようでした。トゥバは、ロシアの中央アジア地区の国のようですが、喉歌にフーメイ(ホーミーと同じですね)、イギルという馬頭琴に似た民族楽器がなんとも懐かしい感じ。工藤さんの舞踏も、メンバーの隙間を縫って舞台の後ろへ前へ移行し次第に衣服を脱ぎ捨てながら、静かに高揚感を煽っていて惹きつけられました。不思議な世界でしたが、板橋さんが初期のジャズプロムナードでアフリカやブラジルや和太鼓などの音楽家と一緒にやっていた時のエネルギーを思い出させてくれました。
ここから後は時間がなくなり、巻き巻きで怒涛の演奏に…それがなんともスピーディーでパワフルで曲のエッセンスが凝縮された面白さがあって、それまでじっくり聴かせていてくれたので、もうラストスパートで突っ走ってくれ!という気持ち。飛び入りで客席から上がった山田さんのトランペットも、類家さんと競い合うように熱くて盛り上げてくれました。最後は板橋さんのソロでFOR YOU、静かに今年のジャズプロムナードの幕を下ろしてくれました。
◯ライヴの後は板橋さんの打ち上げに参加させていただき、瀬尾さんの誕生したばかりの愛娘を語る嬉しそうな顔を見たり、嗜好を共にするファン同士の交流を楽しみ、帰り際にお店の外席で飲んでいたピアニストの田中信正さんと手を触れ合い、充実を極めた2日間は終わっていきました…。
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