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「盤上に散る」塩田武士(講談社)

プロ棋士を描いた「盤上のアルファ」から登場人物などが繋がる、将棋の真剣師にまつわる話。なので併せて読んだ方がよくわかるのですが、プロ棋士の厳しい勝負の世界を描いた前作と、何人もの生き様がミステリアスに明かされていく本作ではちょっとジャンルが違い、読感も異なります。私はどちらもすごく楽しんで読めたので問題ありませんでしたが。

作者の本で初めて読んだ「女神のタクト」のヒロインほどではありませんが、本作の主人公もアラフォー独身の姉御肌で酒が入ると暴力的になるなど、イメージ的に共通点がありました。そんなタイプが好きなわけではありませんが、キャラが強いのは物語にとっては魅力です。冒頭、母を亡くしたばかりの彼女からは思いもよらない感じでしたが、進むほどにどんどん生き生きとしていきました。
相棒のチンピラ君も、人の良さや意外と小心者のところが愛すべき人物。その他、次々と個性の強い人たちが登場し良い具合に絡み合って、知りたい真相へと近づいていく構成が良くできていて満足度の高い作品となっています。ついでに、関西が舞台だから良いのかも、これが東京の話だったらもっと息苦しいものになってしまいそうに思います。
真剣師という賭博将棋の世界に立ち入りすぎず、駒づくり職人のこととか、将棋が身近にある人たちとか、将棋文化への愛に満ちているのも、コテコテなのにさわやかな印象を与えてくれます。ソフトやネットでいつでも対戦できる世の中ですが、コンピューターの中の1ゲームにしてしまってはいけないのですね。

さて、最近の小説を読んでいてよく思うことですが、私と同年代の人物が登場してきたとき、色褪せたモノクロ写真のような昔の時代を生きてきた人として描かれるのに、軽いショックを受けます。本作ではヤクザな刑事がそうです。確かに自分の子供の頃を考えれば、ここまで貧乏ではなかったにしろ、街も人も自然も今のように小綺麗ではなかったと思い出しますが、生命力にはあふれていたかもしれません。
今ここで何故か出合った、いくつもの世代の人物の過去が交錯していくのも、一つの深い魅力になっています。

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長年、同人誌で創作漫画を発表してきましたが、本当は小説が主な表現手段。職業はコピーライターで、趣味は楽器を鳴らすことなど。
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