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つばめろま〜なから、なにかを知りたい貴方へ。
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私にとって1年の計はこの日にあると言っても過言ではない、大切な音楽漬けの2日間、今年で25回目となる「横浜ジャズプロムナード」も、1回目から欠かさずに聴くことができました。四半世紀も病気や慶弔事に当たらなかったのは幸運なことと思います。2日間天気にも恵まれて、あちこち歩き回るのも爽やかな秋のイベントでした。

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<1日目>
●ヒカシュー (KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ)
●低奏帯窮音 (横浜市開港記念会館)
●KANKAWAカルテット (横浜市開港記念会館)
●岸ミツアキトリオ (横浜みなとみらいホール・小ホール)
●鬼武みゆきwith Friends (横浜みなとみらいホール・小ホール)
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<2日目>
●Aki Rissanen トリオ (ランドマークホール)
●Tom Tachi トリオ (ランドマークホール)
●次ナルJAZZ問答 (横浜みなとみらいホール・小ホール)
●板橋文夫オーケストラ+4・堀越千秋~追悼 (関内ホール 大ホール)
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1日目は一人だけで廻るので速歩移動が可能、会場が離れていても大丈夫と、3カ所・5公演を楽しみました。いつも満員で入れない会場も出るようですが、だいたい早めに着けば席は確保できるのです。

●ヒカシュー
(KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ)
【巻上公一(vo)、三田超人(g)、坂出雅海(b)、清水一登(p)、佐藤正治(ds)】
毎年聴きたいけれど、他とプログラムがかぶってしまうことの多いヒカシュー、4年ぶりです。相変わらず自由でカッコいい。なぜロックバンド?の彼らがジャズプロに出てるかって、他のどのステージよりもフリーな音楽だから…それこそがジャズの本質だと思いますし、その一瞬に立ち合えて全身で感じられる歓びが大きいです。音楽のジャンル付けに意味はないんですけどね。
3日後に発売されるニューアルバムからも3曲ほど演奏して、演奏者の新鮮な気持ちも高かったのではないでしょうか。最前列、巻上さんのすぐ前で見上げて聴いていたので、テルミンや口琴の演奏スタイルがよく見えたのも良かったです。40年もバンドを組んでいる他のメンバーとの心もぴったりで、素晴らしく刺激的な時間を過ごせました。

●低奏帯窮音
(横浜市開港記念会館)
【酒井俊(vo)、田中信正(p)、リオ(bs)、須川崇志(vc)、瀬尾高志(b)、竹村一哲(ds)】
毎年聴きたい酒井俊さんは5年連続、今年は低音楽器中心の編成です。素晴らしい演奏力と独創性を持っていて気の合ったメンバーを従え、1時間の中で曲間をつなげてできるだけ多く歌うステージは、まさに俊さんの独壇場。ここ数年はそうしたスタイルですが、どんどん進化している感じです。息が抜けないので、聴く方の集中力も、1時間位がちょうどいいように思えました。
特に今回は、俊さん自身の心の叫びがとても印象的でした。稀代のボイスパフォーマンスを発揮しながら音楽を高めるだけでなく、表現したい気持ちが高ぶっているように思えて胸に迫ってきます。

●KANKAWAカルテット
(横浜市開港記念会館)
【KANKAWA(org)、浜崎航(sax)、越智巌(g)、AKI(ds)】
重ならなければ聴きたいKANKAWA、今回は聴きたいものが3つ重なってましたが、その前で良い席を確保できたのでそのまま。昨年聴いたステージでの即興が素晴らしかったという記憶も強く残っていたこともあります。
今回はニューアルバムからスタンダード曲中心、オルガンというのは抑揚がつけにくい楽器で、ともすれば耳に入っても流れ去ってしまいがちですが…この人はおしゃれでお行儀の良い演奏でないので、すごくステキだと感じました。ブラックミュージックの流れなのでしょうが、日本ではそんなこと関係ないと思っています。KANKAWAミュージックです。そんな彼を作っている反骨や正義や優しさが、ラストの曲中で語られた言葉にあふれていて感動的でした。

●岸ミツアキトリオ
(横浜みなとみらいホール・小ホール)
【岸ミツアキ(p)、本川悠平(b)、力武誠(ds)】
岸さんの演奏を聴くのは2度め。おしゃれで行儀の良いスタンダード中心、この前のKANKAWAはじめ3ステージと正反対なタイプの音楽です…。しかし良かったのは、クラシックの響きの良いコンサートホールでマイクなしの生音で聴けたこと。とにかく上手なピアニストなので、繊細なタッチがとても美しく心地よく感じられました。ドラムとベースもニコニコしていて、優しさに包まれるステージでした。私は違う方向ですが、オーセンティックなジャズが好きな人にはたまらないんだろうなと思います。

●鬼武みゆきwith Friends
(横浜みなとみらいホール・小ホール)
【鬼武 みゆき(作曲,p)、渡辺亮(絵,per)、赤木りえ(fl)、佐藤芳明(acc)】
必ず聴きたいけれど、板橋さんなどとダブることが多い鬼武さん、このところ4年連続で聴けました。今回は 「Station to Station ~音絵物語~」と題して、プロジェクターを設置して絵をスクリーンに映しながらのスペシャル演奏です。
どんな画家が描いたのかと思う絵は、パーカッションの渡辺さんが描いたもの、二人でのコラボレーションで曲を作っているとのことです。私も絵を描いて楽器を鳴らしたりしますが、それぞれに表現の違いがあるので、うまくコラボできると世界が広がる感じがします。音楽は形がなくて一瞬ごとに消えていくものですから、絵と一緒になると輪郭がはっきりする感じです。それがイメージを限定してしまう場合もありそうですが…このステージは素晴らしかったです。
2人で作り上げた世界を、さらにフルートとアコーディオンの魂のこもった演奏が客観性を持って広げていました。曲の美しさに音色の美しさ、リズムの疾走感が相まって。始まる前のセッティングの時から見ていると、鬼武さんがコンサートを創造することへの頑固なまでの情熱がとても伝わってきましたが、そうしたこだわりがあってこそでしょう。数学科の出身という話し、なんだか納得してしまいました。

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2日目は外国からの人も含めて初めて聴くセッションもあり、刺激的なライヴをたくさん聴くことができました。

●Aki Rissanen トリオ
(ランドマークホール)
【Aki Rissanen(p)、Eero Seppä、(double bass)、Teppo Mäkynen(ds)】
ジャズプロにはフィンランドのミュージシャンがよく登場する気がします。私が聴くのも4組目です。昔、ヘルシンキに行った時に街中でジャズフェスティバルの宣伝がされていたのを見ましたが、盛んなのでしょう。ストイックで端正な音楽という印象なのはこのバンドも一緒でした。隣国ながらロシアとは全然違うのが面白いところです。
北欧デザインのようなスッキリしたピアノのメロディ、かっちりとしたテクニックのドラム、飾り気のないベース。雪の積もった森の中を清冽な水が流れるようなイメージの音楽。日本のジャズを聞き慣れると、もっと派手に盛り上がっても良いのではと期待してしまいますが、ここが文化の違いなのかな。だからこそジャズプロで外国人の演奏を聴く意義があると思うのです。

●Tom Tachi トリオ
(ランドマークホール)
【Tom Southerton(b)、立花洋一(p)、Rory Johnson(ds)】
本番前のリハーサルから聴けて、この曲はもっとこんな感じに、というやりとりが見れたのも面白かったのですが、本番はサイコーでした。前のトリオと全く同じ編成、楽器の位置も変わらないところで(ついでに聴いた席も同じで)聴き比べれば、ピアノとドラムの楽器も変わってないのになのに対極の音楽。
立花さんのオリジナル曲はメロディばかりでなくコンセプトもおしゃべりしてくれるのでわかりやすく、ピアノも情感豊か、トムさんのベースはすごく躍動感があってエキサイティングに全体を盛り上げます。ドラムは熱血でパフォーマンスの見せ方も楽しく。ジャズってこんなにも素直に楽しめるものだと知らしめてくれるようなステージでした。

●次ナルJAZZ問答
(横浜みなとみらいホール・小ホール)
【蜂谷真紀(vo,voice,p)、松島啓之(tp)、類家心平(tp)、須川崇志(b)、本田珠也(ds)】
だいぶ前にライヴハウスで聴いたことのある蜂谷さん、みなとみらいホールには雰囲気が合わないような気がしてましたが、やっぱり関内小ホールの方が良かったのでは…と思いましたが、ミスマッチで戸惑うお客さんが見れるのも楽しいところ。
アングラ的なボイスパフォーマンスに、実力者ミュージシャンたち、攻めまくりのプログラム。最初の数曲は感情移入がしにくかったですが、最後の2曲は極限のスピードと重いけれど美しい詞の歌で、とても聴き応えのある演奏で素晴らしかったです。

●板橋文夫オーケストラ+4・堀越千秋~追悼
(関内ホール 大ホール)
【板橋文夫(p)、林栄一(as)、纐纈雅代(as)、片山広明(ts)、吉田隆一(bs)、類家心平(tp)、山田丈造(tp)、後藤篤(tb)、高岡大祐(tub)、太田恵資(vn)、レオナ(tap)、瀬尾高志(b)、竹村一哲(ds)、外山明(ds)、小山ショータ(ds)】
【片桐勝彦(g)、有田圭輔(ヴォーカルカンテ、パルマ)。松丸百合(フラメンコ舞踊)】
堀越千秋さんへの追悼と言うことで、全員が黒の衣装で登場。これまで堀越さんが絵を描いていたステージ後ろには在りし日のスライドの映像が映し出されました。

第一部はオーケストラ、「千秋さん!」からスタートです。締めっぽくなく、あの笑顔を思わせる明るい曲なのが胸を打ちました。「アリゲーターダンス2017
」は高岡さんのチューバをフィーチャー、やはり怪物音楽家です、みんなその迫力に釣られたように凄い演奏でした。レオナさんの曲「 」も良かった…夫婦競演の場面は特に良かったです。かつてはレギュラーだった小山さんが久し振りにゲストで参加、伝説のドラマーになりましたね、一哲さんもどんどん凄くなってますが、やはりひと味違う魅力がありました。

第二部はフラメンコ、カンテとギターと舞踊の三人に、板橋さんが即興でピアノを合わせます。カンテの歌い手だった堀越さんを偲んでの企画でしたが本格的なフラメンコに圧倒されました。堀越さんのカンテはCDで聴いてましたので、叶わなかった共演風景が思い浮かびました。お話ししたことのある画廊香月の人見さんのお話もあって、心に残ります。

第三部は再びオーケストラ。時間が押していたので吉田さんの曲は短く納めて。纐纈さんの曲は、彼女が板橋オケに参加するようになってから一番の見せ場だったでしょう、法螺貝まで吹いての熱演でした。次の「千秋のBurerias」ではフラメンコの3人も登場して、タップ&フラメンコのダンスバトルあり、ドラムバトルあり、の熱く感動的な演奏が繰り広げられました。すぐにアンコールに突入し、3曲を短く間断なく演奏…そんなことできるんだ…最後は板橋さん一人のピアノになってフィナーレと、いつもより考えられたエンディング。やはり、堀越さん追悼というテーマがあったせいでしょう、いつもの年よりも演奏がまとまっていた感じがします。胸いっぱいのジャズプロ2017エンディングとなりました。

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今年も2日間で10時間以上の演奏に立ち会うことができ、でもこの何倍もの聴けなかったステージがあるわけで、演奏者一人一人にスタイルがあって、想いがあって…ということを考えると、すごいことです。客席は高齢化していますが確実に若い人の姿もあって、これからも今の盛況が続いていくことを願うのでした。

25年分の入場バッジ。ホワイトボードにマグネットで貼ってます。
5年目から今の大きさ、良い記念です!

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絵・音・文・歩
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長年、同人誌で創作漫画を発表してきましたが、本当は小説が主な表現手段。職業はコピーライターで、趣味は楽器を鳴らすことなど。
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