つばめろま〜なから、なにかを知りたい貴方へ。
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ロシアのピアニスト、ユリアンナ・アヴデーエワのピアノリサイタルを聴きました。家から徒歩で行ける、鎌倉芸術館の大ホールでやると知って、これは聴かねばと思った次第です。
ぜひ行きたいと思った理由、ひとつには、私の大好きなロシアの若い音楽家であること。もうひとつは、前回2010年ショパン国際コンクールで、45年ぶりの女性優勝者となったアヴデーエワ、かつてはブーニンが優勝したときのNHKのドキュメンタリー番組で、その後は漫画「ピアノの森』や小説「いつまでもショパン」などで描かれてきたショパン・コンクールの優勝者ということで興味がありました。
前情報はそんなところ、実際の演奏を録音でも映像でも聴いていなかったので、チケットを買ってからネット検索してみれば、素晴らしいという人と期待はずれという人の感想が出てきますので、期待と不安の両方が渦巻きます。前日にNHKテレビのクラシック番組でモーツァルトのコンチェルトが放映されていましたが、演奏はあえて見ずにインタビュー部分だけ少し見て、容姿と音楽への姿勢だけは確認。期待が上回ったところで開演を待つことになりました。
○1曲目はモーツァルト、【ピアノ・ソナタ 第6番 ニ長調 K.284「デュルニッツ」】。
私はこの作曲家が苦手で退屈に思ってしまうのですが、アヴデーエワは実に軽やかで楽しそうに弾きます。彼がどうして天才と言われたのか、このあとの演目となっているリストやショパンも大きな影響を受けたというのがどうしてなのか、感じることのできる素晴らしい演奏でした。
○2曲目、3曲目はリスト。この作曲家は好きです。ピアノの超絶技巧で知られますが、叙情的な曲が多くて心に広がってくる気がするのです。
【ヴェルディ《アイーダ》より 神前の踊りと終幕の二重唱 S.436】は、きらびやかな音で満たされる荘厳な感じ、ともすれば色彩に目が眩むようになりそうなところ、一音一音を大切に弾くアヴデーエワは曲の輪郭をくっきりと描いている、と思いました。(この曲の他の人の演奏を聴いたことがないので比較ではなく、あくまで主観です。)
【巡礼の年 第2年「イタリア」から ダンテを読んで〜ソナタ風幻想曲】は、打って変わって重く激しい曲。これは圧巻でした。低音部をパワフルに打鍵しながら、その奥の深慮が感じられます。楽譜と向き合い、作曲家の意図を感じ取るのが好きだというアヴデーエワだからこその演奏かもしれません。感性や個性が際だった演奏も好きですが、この人が理知的なピアニストと言われて評価されている優れたところでしょう。
休憩をはさんで、後半はショパン。ショパンコンクール優勝者だけに、やはり大きな楽しみです。
【24の前奏曲 作品28】、短くてエッセンスが凝縮された曲が次々と、時には間を開けずに演奏されていきます。前のリストのように派手さはないけれど、作曲家の発想の原点が見れるようで興味深く、きっと弾いている人はもっと楽しいのだろうと思いました。一曲ごとに異なる個性を明確に繊細に弾き分けていきながら、全体として一つの曲にまとめあげ、フィニッシュには爽快感がある好演でありました。
アンコールは3曲、ショパンの【ノクターン 第4番 ヘ長調 op.15-1】【マズルカ 第20番 変ニ長調 op.30-3】【マズルカ 第23番 ニ長調 op.33-2 】。万雷の拍手に対してはにかみながらもニコニコと、嬉しそうに応えてくれるアヴデーエワさんが温かくステキでした。
29歳の女性ピアニストですが、モノトーンの光沢のあるスーツに黒のパンツスタイル、決して美人ではないけれど笑顔が素敵な、派手ではないけれど音楽家としての真摯さが全身に現れているような、そして音楽にもそうした魅力があふれている、素晴らしいピアニストです。ロシアらしい泥臭さがあまりなく洗練された演奏で、ただ感動に震えさせられるだけではない、幸せな気持ちにしてくれるコンサートでした。
販売されていたCDの中で、「第16回ショパン国際ピアノ・コンクール・ライヴ」を買ってきましたが、ショパンのピアノ協奏曲1・2番も欲しかった…またそのうち。サイン会は行列が長いので諦めて、身近でお顔を拝見するだけで帰ってきました。今後、どんな曲を弾かれるのか…今回の来日の別プログラムにあったプロコフィエフや、バッハなども聴いてみたいと思ってしまう、すっかりファンになった私でありました。
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ぜひ行きたいと思った理由、ひとつには、私の大好きなロシアの若い音楽家であること。もうひとつは、前回2010年ショパン国際コンクールで、45年ぶりの女性優勝者となったアヴデーエワ、かつてはブーニンが優勝したときのNHKのドキュメンタリー番組で、その後は漫画「ピアノの森』や小説「いつまでもショパン」などで描かれてきたショパン・コンクールの優勝者ということで興味がありました。
前情報はそんなところ、実際の演奏を録音でも映像でも聴いていなかったので、チケットを買ってからネット検索してみれば、素晴らしいという人と期待はずれという人の感想が出てきますので、期待と不安の両方が渦巻きます。前日にNHKテレビのクラシック番組でモーツァルトのコンチェルトが放映されていましたが、演奏はあえて見ずにインタビュー部分だけ少し見て、容姿と音楽への姿勢だけは確認。期待が上回ったところで開演を待つことになりました。
○1曲目はモーツァルト、【ピアノ・ソナタ 第6番 ニ長調 K.284「デュルニッツ」】。
私はこの作曲家が苦手で退屈に思ってしまうのですが、アヴデーエワは実に軽やかで楽しそうに弾きます。彼がどうして天才と言われたのか、このあとの演目となっているリストやショパンも大きな影響を受けたというのがどうしてなのか、感じることのできる素晴らしい演奏でした。
○2曲目、3曲目はリスト。この作曲家は好きです。ピアノの超絶技巧で知られますが、叙情的な曲が多くて心に広がってくる気がするのです。
【ヴェルディ《アイーダ》より 神前の踊りと終幕の二重唱 S.436】は、きらびやかな音で満たされる荘厳な感じ、ともすれば色彩に目が眩むようになりそうなところ、一音一音を大切に弾くアヴデーエワは曲の輪郭をくっきりと描いている、と思いました。(この曲の他の人の演奏を聴いたことがないので比較ではなく、あくまで主観です。)
【巡礼の年 第2年「イタリア」から ダンテを読んで〜ソナタ風幻想曲】は、打って変わって重く激しい曲。これは圧巻でした。低音部をパワフルに打鍵しながら、その奥の深慮が感じられます。楽譜と向き合い、作曲家の意図を感じ取るのが好きだというアヴデーエワだからこその演奏かもしれません。感性や個性が際だった演奏も好きですが、この人が理知的なピアニストと言われて評価されている優れたところでしょう。
休憩をはさんで、後半はショパン。ショパンコンクール優勝者だけに、やはり大きな楽しみです。
【24の前奏曲 作品28】、短くてエッセンスが凝縮された曲が次々と、時には間を開けずに演奏されていきます。前のリストのように派手さはないけれど、作曲家の発想の原点が見れるようで興味深く、きっと弾いている人はもっと楽しいのだろうと思いました。一曲ごとに異なる個性を明確に繊細に弾き分けていきながら、全体として一つの曲にまとめあげ、フィニッシュには爽快感がある好演でありました。
アンコールは3曲、ショパンの【ノクターン 第4番 ヘ長調 op.15-1】【マズルカ 第20番 変ニ長調 op.30-3】【マズルカ 第23番 ニ長調 op.33-2 】。万雷の拍手に対してはにかみながらもニコニコと、嬉しそうに応えてくれるアヴデーエワさんが温かくステキでした。
29歳の女性ピアニストですが、モノトーンの光沢のあるスーツに黒のパンツスタイル、決して美人ではないけれど笑顔が素敵な、派手ではないけれど音楽家としての真摯さが全身に現れているような、そして音楽にもそうした魅力があふれている、素晴らしいピアニストです。ロシアらしい泥臭さがあまりなく洗練された演奏で、ただ感動に震えさせられるだけではない、幸せな気持ちにしてくれるコンサートでした。
販売されていたCDの中で、「第16回ショパン国際ピアノ・コンクール・ライヴ」を買ってきましたが、ショパンのピアノ協奏曲1・2番も欲しかった…またそのうち。サイン会は行列が長いので諦めて、身近でお顔を拝見するだけで帰ってきました。今後、どんな曲を弾かれるのか…今回の来日の別プログラムにあったプロコフィエフや、バッハなども聴いてみたいと思ってしまう、すっかりファンになった私でありました。
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今年で22回めを迎えた横浜ジャズプロムナード、2日間、10ステージを聴くことができました。私も運良く22年間通い続けて来れましたが、強く感じられたのは、ベテラン、中堅、若手がそれぞれに熱い想いを発揮して、それが絡み合ったりぶつかったりして刺激し合い、新しいエネルギーが生まれていることです。そんな演奏をいくつも聴けて、例年になく満足感の大きなジャズプロでした。
聴いてきたステージについて、私の勝手な感想を書かせてもらいます。ミュージシャンの名前にはみんな「さん」を付けたいところですが、文章の都合で敬称なしで失礼します。
1日目・10/11
■Orquesta Libre + Suga Dairo + RONxII
■Shun Sakai & The Long Goodbye
■市川秀男トリオ
■横濱JAZZ オールスターズ
■鬼武みゆきwith Friends
2日目・10/12
■赤松敏弘(vib) meets ハクエイ・キム(p)
■KANKAWAカルテット
■渋谷毅オーケストラ
■板橋文夫 FIT!
■板橋文夫オーケストラ
1日目・10/11
■Orquesta Libre + Suga Dairo + RONxII <横浜市開港記念会館>
芳垣安洋(ds) 青木タイセイ(tb) 塩谷博之(ss,cl) 藤原大輔(ts) 渡辺隆雄(tp)
Gideon Jucks(tub) 高良久美子(vib) 鈴木正人(b) 椎谷求(g) 岡部洋一(per)
スガダイロー(p) RONxII(tap)
昨年に続き、オープニングに選んだバンド。「Aトレイン」や「キャラバン」などエリントンの曲を中心にしたプログラムで、でもアレンジがスタンダードを聴いているような古さを感じさせない、このバンドにふさわしく、スピーディ&パワフルな演奏を聴かせてくれました。
特に、音楽に合わせて踊るのではなく、いっしょに音楽を作っていくロンロンのタップダンスが素晴らしく、スガダイローのピアノはダイナミックだったり美しかったりと変化に富んでいて、渡辺隆雄のトランペットもかっこよかったのが印象的です。昨年以上に面白く刺激的で、2日間のジャズプロへの期待感を高めてくれました。
■Shun Sakai & The Long Goodbye <関内ホール 大ホール>
酒井 俊(vo) 土井徳浩(cl) 太田朱美(fl) 類家心平(tp) 纐纈雅代(as,ts)
坂本弘道(cel) 向島ゆり子(vl) 熊坂路得子(acc) 田中信正(p)
瀬尾高志(b) 竹村一哲(ds)
昨年のジャズプロで久しぶりに聴いて、とても感動した酒井悛さん、今年は多くのバックメンバーが変わり、大幅に若返りました。
女性ジャズボーカルというと、どうも気取った感じが苦手なのですが、酒井俊にはそうしたところがまったくない、スッピンで歌いながらも人情や色気や喜怒哀楽がストレートに出てくるような歌がステキです。
ボーカルが中心になりながらも曲ごとに編成を変え、繊細に歌の世界観を掘り下げて作り上げていくのがとても素晴らしく感動的です。類家心平のトランペットとのデュオや、女性メンバーとの交感や、瀬尾高志や田中信正との息のあったやりとりなど、聴き所満載でした。
CDではよく聴いていながらも生で聴く機会がなかった向島ゆり子、坂本弘道の演奏が聴けたのも個人的に嬉しく。このメンバーでこれからレコーディングするということで、期待に胸が高鳴ります。
■市川秀男トリオ <関内ホール 小ホール>
市川秀男(p) 二本柳守(ds) 加藤真一(b)
聴きに回った一日のプログラムの中で、市川さんの演奏はオアシス的な存在です。アクが強くなくインパクトはありませんが、その品格を感じる音楽からは、ジャズってそもそもはこれが正統なんだろうなと思わされるのです。アメリカのスタンダードもやらない、自分の曲だけで聴かせるところがまた素晴らしく。特に最後に演奏した1曲は心に残りました。一番弟子という斉藤ネコとの話も面白く、久しぶりにネコさんにもジャズプロに登場して欲しいと願うのでした。
■横濱JAZZ オールスターズ <横浜市開港記念会館>
類家心平(tp) 峰厚介(ts) 板橋文夫(p) 古野光昭(b) 守新治(ds)
板橋さんが自ら集めたメンバーで自分の名前で出る、のではなくて、同世代を中心としたバンドで出るのも珍しいことです。ただ、ステージを見れば、実力派揃いの中でもリーダーを努めているようでした。
混雑するのが予想できたので2階のバルコニー席で聴いたのですが、ステージの半分以下、ピアノとサックスしか見えませんでした。でもピアノを弾きメンバーに指示を出す板橋さんの手も顔も上からしっかり見え、これはフロア席とは違う楽しみ方ができたのは良かったです。
いちばん印象に残ったのは類家心平のトランペット、先に聴いていた酒井俊とのステージでは繊細なところを見せてくれましたが、こちらでは思いっきりの良いプレイで楽しませてくれました。
残念ながらサックスの井上淑彦が病気で欠場でしたが、代役が峰厚介というジャズプロならではの豪華さ。聞けばほとんどリハもなしに、しかし名演を聴かせてくれるのがさすがです。それこそがジャズなんだなあと。
■鬼武みゆきwith Friends <関内ホール 小ホール>
鬼武みゆき(p) 中西俊博(vl) 赤木りえ(fl) 鳥越啓介(b) 岩瀬立飛(ds)
鬼武さんは2年ぶり、前回は楊琴奏者がゲストでの演奏でしたが、今回は息のあったメンバーでの安定感あり楽しませてくれるステージでした。
鬼武みゆきの音楽は彼女の心の美しさ、優しさが強く出ていて、赤木りえのフルートや中西俊博のバイオリンとぴったり合います。HPでやられている、各界の人からメッセージをもらって写真とコラボレーションして作られた音楽を、何曲も演奏されました。心にしみます。MCも人柄が出て温かいものです。
終了後はCDを購入して皆さんのサインをいただきました…それにしても鬼武さん、HPで年齢を見てみましたが、間近でお会いしても10歳以上は若く見える、いつまでもお美しい方です。
2日目・10/12
■赤松敏弘(vib) meets ハクエイ・キム(p) w <ヨコハマNEWSハーバー>
赤松敏弘(vib) ハクエイ・キム(p) 市原ひかり(tp) 小山太郎(ds) 生沼邦夫(b)
第1回のジャズプロから8〜10回くらい聴いている赤松さんですが、今回は世代も多様で、それぞれに人気と実力のある人が集まった、なんとも贅沢なメンバー。同世代の仲間とのセッションとはまったく違う、スリリングで創造性にあふれた、最高の演奏でした。赤松さんは演奏や作曲だけでなく、人をまとめる力がどんどん強くなっているように思えます。。
ハクエイ・キムも、数年前に自身のリーダーバンドで聴いたときはもう一つ面白味が感じられなかったのですが、今回は違う世界とふれ合うことでの自由さがよく出ていたと思います。小山太郎のドラムもさすがの切れ味。市原ひかりのサックスも、紅一点で花を添えるだけでない、若い感性を持った魅力が活かされていました。
このおメンバーでのアルバムがもうすぐ出るということですので、とても期待できて楽しみです。
■KANKAWAカルテット <横浜市開港記念会館>
KANKAWA(org) 太田剣(as) 越智巌(g) Gene Jackson(ds)
久しぶり、3回めのKANKAWA。日本のジャズオルガンで第一人者だと思いますが、1曲めはピアノのソロからスタート、このピアノがとても情感があって良いのでした。そしてピアニカを吹いた曲もあって、オルガン演奏の中に刺激的なアクセントを加えます。
以前、みなとみらいホールのパイプオルガンを弾いたのも聴きましたが、とにかく自由に音を楽しむ人だということがわかります。ラストの曲はまるでピンク・フロイドを聴いているかのような壮大なスケール感で感動的でした。
そして、アンコールに応えての語りから演奏の中で、会場みんなで声を揃えて「ジャズ」の一言を叫ぶ、こんな演出を可能にするKANKAWAのカッコよさにしびれます。何も決めずにステージに上るという彼を支えるメンバーもソウルが通じ合っているからでしょう、見事な演奏でした。
■渋谷毅オーケストラ <横浜市開港記念会館>
渋谷毅(p,org) 松風鉱一(as,bs,fl) 峰厚介(ts) 津上研太(as,ss) 林栄一(as)
松本治(tb) 石渡明廣(g) 上村勝正(eb) 外山明(ds)
第1回のジャズプロで聴いて以来、22年ぶりとなりますが、メンバーも6人が一緒というのが驚きです。当時の私にとっては、どうものめりこめない感じだったのですが、演奏者も、聴き手としても、年月を経た今、改めてどう感じるだろうか…と思って聴きました。
…印象も変わりませんでした。不思議、実力者揃いで曲も悪くないし良い演奏なのに、どうして心に入ってこないのでしょう。峰厚介は前日、林栄一はこの後の板橋文夫と一緒の演奏で聴いた時は熱く心に響いたのに…。知的な渋谷毅が率いる礼儀正しい感じが?とも思いますが、ならば前日の市川秀男はなぜ良いと思うのかと。しかしそれこそがジャズならではなのでしょう。だからこんなにたくさんのミュージシャン、ステージの中から自分の感性に合ったミュージシャンやユニットを見つける面白さがあるのですね。
■板橋文夫 FIT! <関内ホール 大ホール>
板橋文夫(p) 瀬尾高志(b) 竹村一哲(ds) +レオナ(tap)
Fumio・Ittetsu・TakashiのFITも5年目くらいになるのでしょうか、最初は板橋文夫が若手の2人を引っ張って育てているような雰囲気もありましたが、年々物凄い進化を見せて、すでに同格のトリオです。息があっている中で、息詰まるような緊張感と爆発的な解放感を出してくる、文句なしに今の音楽界全体を見ても最高のパフォーマンスを持ったグループであると言えるのではないでしょうか。
次のオーケストラで強く感じましたが、板橋文夫+その他のミュージシャンというより、FIT+その他のミュージシャンと思えるほどに、瀬尾高志の自由なベースプレイ、竹村一哲の余裕をもって全体を見渡すドラミングは、ステージの中心となって安定感のあるものになりました。
そしてゲストのレオナによるタップダンスも見ものでした。1日目の最初に見たロンロンのタップとはまったく違う、迫力のある音を全身から叩きだし、絞り出して来るような感じで、板橋音楽を見事に、そして新鮮に体現しました。
■板橋文夫オーケストラ <関内ホール 大ホール>
板橋文夫(p) 瀬尾高志(b) 竹村一哲(ds) 林栄一(as) 纐纈雅代(as) 片山広明(ts)
吉田隆一(bs) 類家心平(tp) 後藤篤(tb) 高岡大祐(tub) 太田恵資(vl)
外山明(ds) 堀越千秋(ライブペインティング) レオナ(tap)
FITで熱くなったステージに、さらに熱風が吹き荒れるオーケストラ。こちらも少しずつ若返りが進んでいますが、今年はトロンボーンが後藤篤になり、板橋文夫と同世代は老眼鏡がトレードマークになりつつある林栄一、激ヤセが少し心配な片山広明だけになりました。少し寂しい感じもありますが、サウンドはものすごくイキイキと弾けて、気持ち良く変わりました。
板橋さんは同世代に対するのとは違って、若手に対してはとても自由にやらせているのではないか、若い人たちも物怖じせずに応えている、というような気がします。
昨年は高岡大祐の怪物パフォーマンスに目が行ってしまっていましたが、昨年は遠慮がちだった纐纈雅代も今年は堂々のソリストぶりを自由に発揮していましたし、類家心平のトランペットも圧倒的な音を聴かせてくれました。吉田隆一と林栄一の曲もあり、バラエティに富んだプログラムでこのオーケストラの魅力が引き出されていたと思います。
レオナのタップダンスはこの大編成の中でも負けずに主張していたし、堀越千秋の巨大絵画もいつも通りジャズの心のように自由に広がっていたし、ジャズプロ2日間の昂った気持ちを締めくくるにふさわしい2時間半でした。
□
演奏者の皆さん、運営スタッフの皆さん、お疲れ様です、感動をありがとうございました。また来年も、さらなる進化と新しい出会いがあることを願っています。
聴いてきたステージについて、私の勝手な感想を書かせてもらいます。ミュージシャンの名前にはみんな「さん」を付けたいところですが、文章の都合で敬称なしで失礼します。
1日目・10/11
■Orquesta Libre + Suga Dairo + RONxII
■Shun Sakai & The Long Goodbye
■市川秀男トリオ
■横濱JAZZ オールスターズ
■鬼武みゆきwith Friends
2日目・10/12
■赤松敏弘(vib) meets ハクエイ・キム(p)
■KANKAWAカルテット
■渋谷毅オーケストラ
■板橋文夫 FIT!
■板橋文夫オーケストラ
1日目・10/11
■Orquesta Libre + Suga Dairo + RONxII <横浜市開港記念会館>
芳垣安洋(ds) 青木タイセイ(tb) 塩谷博之(ss,cl) 藤原大輔(ts) 渡辺隆雄(tp)
Gideon Jucks(tub) 高良久美子(vib) 鈴木正人(b) 椎谷求(g) 岡部洋一(per)
スガダイロー(p) RONxII(tap)
昨年に続き、オープニングに選んだバンド。「Aトレイン」や「キャラバン」などエリントンの曲を中心にしたプログラムで、でもアレンジがスタンダードを聴いているような古さを感じさせない、このバンドにふさわしく、スピーディ&パワフルな演奏を聴かせてくれました。
特に、音楽に合わせて踊るのではなく、いっしょに音楽を作っていくロンロンのタップダンスが素晴らしく、スガダイローのピアノはダイナミックだったり美しかったりと変化に富んでいて、渡辺隆雄のトランペットもかっこよかったのが印象的です。昨年以上に面白く刺激的で、2日間のジャズプロへの期待感を高めてくれました。
■Shun Sakai & The Long Goodbye <関内ホール 大ホール>
酒井 俊(vo) 土井徳浩(cl) 太田朱美(fl) 類家心平(tp) 纐纈雅代(as,ts)
坂本弘道(cel) 向島ゆり子(vl) 熊坂路得子(acc) 田中信正(p)
瀬尾高志(b) 竹村一哲(ds)
昨年のジャズプロで久しぶりに聴いて、とても感動した酒井悛さん、今年は多くのバックメンバーが変わり、大幅に若返りました。
女性ジャズボーカルというと、どうも気取った感じが苦手なのですが、酒井俊にはそうしたところがまったくない、スッピンで歌いながらも人情や色気や喜怒哀楽がストレートに出てくるような歌がステキです。
ボーカルが中心になりながらも曲ごとに編成を変え、繊細に歌の世界観を掘り下げて作り上げていくのがとても素晴らしく感動的です。類家心平のトランペットとのデュオや、女性メンバーとの交感や、瀬尾高志や田中信正との息のあったやりとりなど、聴き所満載でした。
CDではよく聴いていながらも生で聴く機会がなかった向島ゆり子、坂本弘道の演奏が聴けたのも個人的に嬉しく。このメンバーでこれからレコーディングするということで、期待に胸が高鳴ります。
■市川秀男トリオ <関内ホール 小ホール>
市川秀男(p) 二本柳守(ds) 加藤真一(b)
聴きに回った一日のプログラムの中で、市川さんの演奏はオアシス的な存在です。アクが強くなくインパクトはありませんが、その品格を感じる音楽からは、ジャズってそもそもはこれが正統なんだろうなと思わされるのです。アメリカのスタンダードもやらない、自分の曲だけで聴かせるところがまた素晴らしく。特に最後に演奏した1曲は心に残りました。一番弟子という斉藤ネコとの話も面白く、久しぶりにネコさんにもジャズプロに登場して欲しいと願うのでした。
■横濱JAZZ オールスターズ <横浜市開港記念会館>
類家心平(tp) 峰厚介(ts) 板橋文夫(p) 古野光昭(b) 守新治(ds)
板橋さんが自ら集めたメンバーで自分の名前で出る、のではなくて、同世代を中心としたバンドで出るのも珍しいことです。ただ、ステージを見れば、実力派揃いの中でもリーダーを努めているようでした。
混雑するのが予想できたので2階のバルコニー席で聴いたのですが、ステージの半分以下、ピアノとサックスしか見えませんでした。でもピアノを弾きメンバーに指示を出す板橋さんの手も顔も上からしっかり見え、これはフロア席とは違う楽しみ方ができたのは良かったです。
いちばん印象に残ったのは類家心平のトランペット、先に聴いていた酒井俊とのステージでは繊細なところを見せてくれましたが、こちらでは思いっきりの良いプレイで楽しませてくれました。
残念ながらサックスの井上淑彦が病気で欠場でしたが、代役が峰厚介というジャズプロならではの豪華さ。聞けばほとんどリハもなしに、しかし名演を聴かせてくれるのがさすがです。それこそがジャズなんだなあと。
■鬼武みゆきwith Friends <関内ホール 小ホール>
鬼武みゆき(p) 中西俊博(vl) 赤木りえ(fl) 鳥越啓介(b) 岩瀬立飛(ds)
鬼武さんは2年ぶり、前回は楊琴奏者がゲストでの演奏でしたが、今回は息のあったメンバーでの安定感あり楽しませてくれるステージでした。
鬼武みゆきの音楽は彼女の心の美しさ、優しさが強く出ていて、赤木りえのフルートや中西俊博のバイオリンとぴったり合います。HPでやられている、各界の人からメッセージをもらって写真とコラボレーションして作られた音楽を、何曲も演奏されました。心にしみます。MCも人柄が出て温かいものです。
終了後はCDを購入して皆さんのサインをいただきました…それにしても鬼武さん、HPで年齢を見てみましたが、間近でお会いしても10歳以上は若く見える、いつまでもお美しい方です。
2日目・10/12
■赤松敏弘(vib) meets ハクエイ・キム(p) w <ヨコハマNEWSハーバー>
赤松敏弘(vib) ハクエイ・キム(p) 市原ひかり(tp) 小山太郎(ds) 生沼邦夫(b)
第1回のジャズプロから8〜10回くらい聴いている赤松さんですが、今回は世代も多様で、それぞれに人気と実力のある人が集まった、なんとも贅沢なメンバー。同世代の仲間とのセッションとはまったく違う、スリリングで創造性にあふれた、最高の演奏でした。赤松さんは演奏や作曲だけでなく、人をまとめる力がどんどん強くなっているように思えます。。
ハクエイ・キムも、数年前に自身のリーダーバンドで聴いたときはもう一つ面白味が感じられなかったのですが、今回は違う世界とふれ合うことでの自由さがよく出ていたと思います。小山太郎のドラムもさすがの切れ味。市原ひかりのサックスも、紅一点で花を添えるだけでない、若い感性を持った魅力が活かされていました。
このおメンバーでのアルバムがもうすぐ出るということですので、とても期待できて楽しみです。
■KANKAWAカルテット <横浜市開港記念会館>
KANKAWA(org) 太田剣(as) 越智巌(g) Gene Jackson(ds)
久しぶり、3回めのKANKAWA。日本のジャズオルガンで第一人者だと思いますが、1曲めはピアノのソロからスタート、このピアノがとても情感があって良いのでした。そしてピアニカを吹いた曲もあって、オルガン演奏の中に刺激的なアクセントを加えます。
以前、みなとみらいホールのパイプオルガンを弾いたのも聴きましたが、とにかく自由に音を楽しむ人だということがわかります。ラストの曲はまるでピンク・フロイドを聴いているかのような壮大なスケール感で感動的でした。
そして、アンコールに応えての語りから演奏の中で、会場みんなで声を揃えて「ジャズ」の一言を叫ぶ、こんな演出を可能にするKANKAWAのカッコよさにしびれます。何も決めずにステージに上るという彼を支えるメンバーもソウルが通じ合っているからでしょう、見事な演奏でした。
■渋谷毅オーケストラ <横浜市開港記念会館>
渋谷毅(p,org) 松風鉱一(as,bs,fl) 峰厚介(ts) 津上研太(as,ss) 林栄一(as)
松本治(tb) 石渡明廣(g) 上村勝正(eb) 外山明(ds)
第1回のジャズプロで聴いて以来、22年ぶりとなりますが、メンバーも6人が一緒というのが驚きです。当時の私にとっては、どうものめりこめない感じだったのですが、演奏者も、聴き手としても、年月を経た今、改めてどう感じるだろうか…と思って聴きました。
…印象も変わりませんでした。不思議、実力者揃いで曲も悪くないし良い演奏なのに、どうして心に入ってこないのでしょう。峰厚介は前日、林栄一はこの後の板橋文夫と一緒の演奏で聴いた時は熱く心に響いたのに…。知的な渋谷毅が率いる礼儀正しい感じが?とも思いますが、ならば前日の市川秀男はなぜ良いと思うのかと。しかしそれこそがジャズならではなのでしょう。だからこんなにたくさんのミュージシャン、ステージの中から自分の感性に合ったミュージシャンやユニットを見つける面白さがあるのですね。
■板橋文夫 FIT! <関内ホール 大ホール>
板橋文夫(p) 瀬尾高志(b) 竹村一哲(ds) +レオナ(tap)
Fumio・Ittetsu・TakashiのFITも5年目くらいになるのでしょうか、最初は板橋文夫が若手の2人を引っ張って育てているような雰囲気もありましたが、年々物凄い進化を見せて、すでに同格のトリオです。息があっている中で、息詰まるような緊張感と爆発的な解放感を出してくる、文句なしに今の音楽界全体を見ても最高のパフォーマンスを持ったグループであると言えるのではないでしょうか。
次のオーケストラで強く感じましたが、板橋文夫+その他のミュージシャンというより、FIT+その他のミュージシャンと思えるほどに、瀬尾高志の自由なベースプレイ、竹村一哲の余裕をもって全体を見渡すドラミングは、ステージの中心となって安定感のあるものになりました。
そしてゲストのレオナによるタップダンスも見ものでした。1日目の最初に見たロンロンのタップとはまったく違う、迫力のある音を全身から叩きだし、絞り出して来るような感じで、板橋音楽を見事に、そして新鮮に体現しました。
■板橋文夫オーケストラ <関内ホール 大ホール>
板橋文夫(p) 瀬尾高志(b) 竹村一哲(ds) 林栄一(as) 纐纈雅代(as) 片山広明(ts)
吉田隆一(bs) 類家心平(tp) 後藤篤(tb) 高岡大祐(tub) 太田恵資(vl)
外山明(ds) 堀越千秋(ライブペインティング) レオナ(tap)
FITで熱くなったステージに、さらに熱風が吹き荒れるオーケストラ。こちらも少しずつ若返りが進んでいますが、今年はトロンボーンが後藤篤になり、板橋文夫と同世代は老眼鏡がトレードマークになりつつある林栄一、激ヤセが少し心配な片山広明だけになりました。少し寂しい感じもありますが、サウンドはものすごくイキイキと弾けて、気持ち良く変わりました。
板橋さんは同世代に対するのとは違って、若手に対してはとても自由にやらせているのではないか、若い人たちも物怖じせずに応えている、というような気がします。
昨年は高岡大祐の怪物パフォーマンスに目が行ってしまっていましたが、昨年は遠慮がちだった纐纈雅代も今年は堂々のソリストぶりを自由に発揮していましたし、類家心平のトランペットも圧倒的な音を聴かせてくれました。吉田隆一と林栄一の曲もあり、バラエティに富んだプログラムでこのオーケストラの魅力が引き出されていたと思います。
レオナのタップダンスはこの大編成の中でも負けずに主張していたし、堀越千秋の巨大絵画もいつも通りジャズの心のように自由に広がっていたし、ジャズプロ2日間の昂った気持ちを締めくくるにふさわしい2時間半でした。
□
演奏者の皆さん、運営スタッフの皆さん、お疲れ様です、感動をありがとうございました。また来年も、さらなる進化と新しい出会いがあることを願っています。
DUO MORITA in TOKYO
2014年7月26日 スタジオSK(新高円寺)
ドイツに住み活動されている森田ご夫妻、森田満留さん(チェロ)&森田竜一さん(ピアノ)の「デュオ・モリタ」による来日公演。私の妹がドイツ居留中にお世話になったということで、ドイツの音がするからぜひ聴いてみてと誘われ、フォーレとピアソラとショパンの曲目にも惹かれ、行ってきました。
50席もない小さい会場、でも天井は高く夏の夕刻なので天窓から明るい外光も入り、アットホームなサロンコンサートという雰囲気の中ではじまったコンサート。1曲目から、実に刺激的でした。切れのあるチェロ、華やかなピアノ、ふたつの音が魅惑的に絡み合い、クラシックのデュオとは思えないほどに激しくて、ロマンチックな演奏です。
フォーレの2曲目と3曲目はピアノの独奏、そしてチェロが再登場してデュオとなり奏でられたピアソラは、ものすごくカッコイイのでした。リベル・タンゴは有名な曲ですが、これほどステキな演奏ははじめてでした。
休憩が入り、後半はショパン。ショパンがチェロの曲を書いていたということもはじめて知りましたが、ピアノ協奏曲を書いているのですから不思議ではありません。チェロの音色を美しく響かせながら、やはりショパンだなぁと思わせる曲でした。心地よく、どこかもの悲しく。
アンコールの2曲めに、先ほど弾いたピアソラのミケランジェロ70をやって、満ち足りた気持ちの中で終了です。良い余韻でした。帰りにCDを1枚買ったのは、買わずにいられない気持ちでのことです。
前週に山下洋輔ビッグバンドを聴いたばかりでのデュオでしたが、印象的に決して負けないほど、エネルギーをいっぱいもらえるコンサートでありました。
◆プログラム
◯フォーレ/チェロとピアノのためのソナタ第1番 作品109
パヴァーヌ
ノクターン第6番 作品63
◯ピアソラ/リベル・タンゴ
ミロンガニ短調
ミケランジェロ70
◯ショパン/ピアノとチェロのためのソナタ 作品65
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2014年7月26日 スタジオSK(新高円寺)
ドイツに住み活動されている森田ご夫妻、森田満留さん(チェロ)&森田竜一さん(ピアノ)の「デュオ・モリタ」による来日公演。私の妹がドイツ居留中にお世話になったということで、ドイツの音がするからぜひ聴いてみてと誘われ、フォーレとピアソラとショパンの曲目にも惹かれ、行ってきました。
50席もない小さい会場、でも天井は高く夏の夕刻なので天窓から明るい外光も入り、アットホームなサロンコンサートという雰囲気の中ではじまったコンサート。1曲目から、実に刺激的でした。切れのあるチェロ、華やかなピアノ、ふたつの音が魅惑的に絡み合い、クラシックのデュオとは思えないほどに激しくて、ロマンチックな演奏です。
フォーレの2曲目と3曲目はピアノの独奏、そしてチェロが再登場してデュオとなり奏でられたピアソラは、ものすごくカッコイイのでした。リベル・タンゴは有名な曲ですが、これほどステキな演奏ははじめてでした。
休憩が入り、後半はショパン。ショパンがチェロの曲を書いていたということもはじめて知りましたが、ピアノ協奏曲を書いているのですから不思議ではありません。チェロの音色を美しく響かせながら、やはりショパンだなぁと思わせる曲でした。心地よく、どこかもの悲しく。
アンコールの2曲めに、先ほど弾いたピアソラのミケランジェロ70をやって、満ち足りた気持ちの中で終了です。良い余韻でした。帰りにCDを1枚買ったのは、買わずにいられない気持ちでのことです。
前週に山下洋輔ビッグバンドを聴いたばかりでのデュオでしたが、印象的に決して負けないほど、エネルギーをいっぱいもらえるコンサートでありました。
◆プログラム
◯フォーレ/チェロとピアノのためのソナタ第1番 作品109
パヴァーヌ
ノクターン第6番 作品63
◯ピアソラ/リベル・タンゴ
ミロンガニ短調
ミケランジェロ70
◯ショパン/ピアノとチェロのためのソナタ 作品65
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最初のものから少し時間が経ってしまいましたが、この3ヶ月の間に聴きに行ったまったく違うジャンル(笑)の3つのコンサート、「谷山浩子&ROLLYのからくり人形楽団」と「近藤岳オルガンリサイタル」、「山下洋輔スペシャルビッグバンド」で思ったことを記します。
◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆
谷山浩子とROLLYによる異色のコラボレーション、一昨年に登場したときには驚きましたが、しっかりと形になってきた感があります。この日はANNEXと銘打ったように一部メンバーは違いますが、その場限りのものではなく、バンドとしての在り方が見えていたように思えました。ソロシンガーとして40年やってきた浩子さんにとって、初めてのバンド活動といえるかもしれない、と。
たとえば浩子さんとAQ、斉藤ネコでも、息のあったバンドのような形態ではありますが、ネコさんがどんなにハチャメチャにバイオリンを弾きまくっても、基本は谷山ワールドの構築と拡張です。オーケストラ編成の猫森楽団も同様。
けれど、ROLLYさんは谷山ワールドに敬意を表しながらも、その一部を侵略して自分のものにしてしまおうという野心を覗かせます。ROLLYという特異なキャラクターだからこそ可能な仕業。それに浩子さんも対抗して、新しい自分を構築し直して見せてくれる感じ。二人が楽しくハーモナイズしながらせめぎあう、二人とも良い歳になったからこそ、かもしれません。
昨春に観た「からくり人形楽団」ファーストライブよりもずっとそれを感じたのは、成熟したこともあるでしょう、それと山口トモという奇妙なドラマーが加わっていたこと、そして円形劇場だったことも大きな要因だったと思います。ジャズの即興のように音楽が新しく生まれていく現場に居合わせた臨場感の興奮と歓びを、ものすごく強く感じました。
青山円形劇場という大好きな場がなくなってしまうのは、とても残念なことです。音楽だけでなく演劇も観ました。ブリキの自発団の演出には興奮したものですし、新感線も近くて迫力でした。通常のステージとは全く違う演出を強いられ、創造力、対応力が試される劇場だと思います。
音楽の場合は演奏者同士が向き合うと同時に、その先にお客さんの顔が見えるという、客側からは後ろ向きの演奏者の向こうに前向きの演奏者の顔があり、その先にやはりお客さんの顔が見える、つまりは見ている自分も見られる存在となる、不思議な空間。
ここでたぶん20回ほども浩子さんのライブを見てきたでしょうか、彼女に最もふさわしい会場であったことは、この日あらためて確認できたところです。すり鉢状の一番低いステージを円形に囲んだ400足らずの席が、谷山浩子の世界観、共演者との関係、お客さんとの関係をとびきり優しいものにしておりました。これは大きなホールや、スペースゼロでも難しいのです。
行政も企業も、文化に金を出せなくなってきた今、老朽化という名目で拠点そのものがどんどん失われていきそうです。ある程度は仕方ないけれど、オリンピックなんかに巨費を掛けられるなら、もっと本当に大切なものがなにか、見つめて欲しいものです。
谷山さんなど、金(ヒット)は生まないけれど質(アート性)の高い、精神文化の象徴のような存在であると思います。その精神に親密にふれることができる新たな場が誕生してほしいものです。
◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆
妻がオルガンを習っている近藤先生、以前にもコンサートを聴いたことがありますが、今回は曲も面白いからということで、楽しみにしておりました…のは、昨年10月のこと。ホールの前で開場を待っていると、出演者急病のため中止になっていたのです。
それから7ヶ月後のリベンジ、先生ものすごく気合いが入っていると聞いて、さらに楽しみにして、前回は踏み入れることのできなかったミューザ川崎の客席へと、初めて行くことができたのでした。それにしても、これまでにいくつものパイプオルガンを見てきましたが、いつも巨大で美しい存在感に圧倒されてしまいます。それも、表に見えているパイプは一部だけで、裏に何千本も隠れているのですから。
ホールは違いますがうちの妻も発表会の時に、あんな巨大な楽器をあんな高い所で弾いているのかと思うと、感心もし、羨ましくもあり。一度弾いたら病みつきになるでしょうねぇ。
オルガン曲というと、どうしてもバッハ中心の中世宗教音楽になりますが、今回の作品は1930年に書かれた2つの曲と、それに触発されて書かれた近藤先生の作品ということで興味深く、そして素晴らしい演奏を聴くことができました。
L.ヴィエルヌ作「オルガン交響曲第6番」は荘厳な大曲。
近藤岳作「オルガンと2本のトランペットのための『来たれ、創り主なる聖霊』」はトランペット2本も加わって爽やかさも感じる曲。
M.デュリュフレ作「前奏曲、アダージョと『来たれ、創り主なる聖霊』によるコラール変奏曲はより現代風な感じのある曲。
家に練習用のオルガンがあるので、私もたまに即興で弾いたりするのですが、音色はいろいろ変えられても、鍵盤のタッチで音の変化を付けることができないので、表現が難しい楽器だと思います。
それが、オルガンそのものの違いは置いといて、一流の音楽家が演奏すればこんなにも自由に表情豊かに弾けるものかと、感動を覚えたのでした。
終演後、楽屋にも訪問させてもらいましたが、シンフォニーホールの楽屋ってこんなに広いんだと驚きながら、難曲の演奏を成功させた清々しい充実感を漂わせる近藤先生にご挨拶したところで、コンサートは終了となりました。
◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆
山下洋輔 (Piano)金子 健 (Bass)、高橋信之介 (Drums)
[Trumpet]エリック宮城、佐々木史郎、木幡光邦、高瀬龍一
[Trombone]松本 治(Conduct)、中川英二郎、片岡雄三、山城純子
[Saxophone]池田 篤、米田裕也、川嶋哲郎、竹野昌邦、小池 修
巨匠・山下さんも70歳を超え、いま聴いておかないと突然に…などと考えてしまったのは、氏のエッセイ「猫返し神社」で、次の猫を飼いたいけれど先に逝くかもしれないからもう…というようなことが書かれていたからでした。そんなタイミングでこのコンサートの開催を知ったので、平日にも拘わらずチケットを取ってしまった次第。
そうした年齢的な懸念はまったく感じさせない、20年前よりは少しパワーダウンしているかもしれませんが、熱くて激しい、華やかでダンディな、さらに円熟味も増した演奏を聴かせてくれました。
曲目はムソルグスキー「展覧会の絵」とドヴォルザーク「新世界より」、場所もクラシック中心に使われるオーチャードホールと、期待感も大きく膨らみます。どちらも、私の期待感などはるかに上回る、素晴らしい演奏でした。
「展覧会の絵」は組曲ですので、短い1曲ごとに表情が変わっていき、独奏者の個性も際だつところは、まさにジャズ向きと言えましょう。原曲を現代風に解釈し、時に猥雑に、時にセクシーに、でも全体として品位も保ちながらの大胆なアレンジで、とても楽しく聴かせてもらいました。
「新世界より」は、ドヴォルザークの交響曲第9番を、そのまま全4楽章で聴かせるもの。もちろん、原曲の主題をどこまでもジャズの魅力たっぷりにしたアレンジですが、洗練されていて、遊び心もあふれていて、音楽としての驚きと心地よさに満ちていて、まさしくシンフォニーならではの醍醐味を楽しませてくれました。
アンコールはジャズらしくソロを繋いだりして盛り上がり、終了です。
演奏の見事さは、山下さんのピアノによる盛り上げ、編曲し指揮しながらトロンボーンも吹く松本さんへの信頼感、個々のプレイヤーの高い感性と技術、すべてが相乗したものであったと思います。私にとっては馴染みのない出演者も多かったのですが、皆さん、世界の山下洋輔が集めただけの熟達した逸材揃いでありました。
テレビでは見たことのあるエリック宮城のトランペットは画面の中より何倍も刺激的でしたし、川嶋哲郎の吹くフルートも新鮮に響いたし、高橋信之介のドラムも全体を支える安定感が素晴らしかったし…と、枚挙に暇がありません。
全体を通して言えば、クラシックの名曲をジャズ風にアレンジしてみました、というようなものとはまったく次元の異なる、敬意を表しながらの挑戦であり、新しい世界の創造であったと、胸に刻んでおります。
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◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆
「からくり人形楽団ANNEX」
2014.5.10(青山円形劇場)谷山浩子とROLLYによる異色のコラボレーション、一昨年に登場したときには驚きましたが、しっかりと形になってきた感があります。この日はANNEXと銘打ったように一部メンバーは違いますが、その場限りのものではなく、バンドとしての在り方が見えていたように思えました。ソロシンガーとして40年やってきた浩子さんにとって、初めてのバンド活動といえるかもしれない、と。
たとえば浩子さんとAQ、斉藤ネコでも、息のあったバンドのような形態ではありますが、ネコさんがどんなにハチャメチャにバイオリンを弾きまくっても、基本は谷山ワールドの構築と拡張です。オーケストラ編成の猫森楽団も同様。
けれど、ROLLYさんは谷山ワールドに敬意を表しながらも、その一部を侵略して自分のものにしてしまおうという野心を覗かせます。ROLLYという特異なキャラクターだからこそ可能な仕業。それに浩子さんも対抗して、新しい自分を構築し直して見せてくれる感じ。二人が楽しくハーモナイズしながらせめぎあう、二人とも良い歳になったからこそ、かもしれません。
昨春に観た「からくり人形楽団」ファーストライブよりもずっとそれを感じたのは、成熟したこともあるでしょう、それと山口トモという奇妙なドラマーが加わっていたこと、そして円形劇場だったことも大きな要因だったと思います。ジャズの即興のように音楽が新しく生まれていく現場に居合わせた臨場感の興奮と歓びを、ものすごく強く感じました。
青山円形劇場という大好きな場がなくなってしまうのは、とても残念なことです。音楽だけでなく演劇も観ました。ブリキの自発団の演出には興奮したものですし、新感線も近くて迫力でした。通常のステージとは全く違う演出を強いられ、創造力、対応力が試される劇場だと思います。
音楽の場合は演奏者同士が向き合うと同時に、その先にお客さんの顔が見えるという、客側からは後ろ向きの演奏者の向こうに前向きの演奏者の顔があり、その先にやはりお客さんの顔が見える、つまりは見ている自分も見られる存在となる、不思議な空間。
ここでたぶん20回ほども浩子さんのライブを見てきたでしょうか、彼女に最もふさわしい会場であったことは、この日あらためて確認できたところです。すり鉢状の一番低いステージを円形に囲んだ400足らずの席が、谷山浩子の世界観、共演者との関係、お客さんとの関係をとびきり優しいものにしておりました。これは大きなホールや、スペースゼロでも難しいのです。
行政も企業も、文化に金を出せなくなってきた今、老朽化という名目で拠点そのものがどんどん失われていきそうです。ある程度は仕方ないけれど、オリンピックなんかに巨費を掛けられるなら、もっと本当に大切なものがなにか、見つめて欲しいものです。
谷山さんなど、金(ヒット)は生まないけれど質(アート性)の高い、精神文化の象徴のような存在であると思います。その精神に親密にふれることができる新たな場が誕生してほしいものです。
◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆
「近藤岳オルガンリサイタル」
2014年6月1日(ミューザ川崎)妻がオルガンを習っている近藤先生、以前にもコンサートを聴いたことがありますが、今回は曲も面白いからということで、楽しみにしておりました…のは、昨年10月のこと。ホールの前で開場を待っていると、出演者急病のため中止になっていたのです。
それから7ヶ月後のリベンジ、先生ものすごく気合いが入っていると聞いて、さらに楽しみにして、前回は踏み入れることのできなかったミューザ川崎の客席へと、初めて行くことができたのでした。それにしても、これまでにいくつものパイプオルガンを見てきましたが、いつも巨大で美しい存在感に圧倒されてしまいます。それも、表に見えているパイプは一部だけで、裏に何千本も隠れているのですから。
ホールは違いますがうちの妻も発表会の時に、あんな巨大な楽器をあんな高い所で弾いているのかと思うと、感心もし、羨ましくもあり。一度弾いたら病みつきになるでしょうねぇ。
オルガン曲というと、どうしてもバッハ中心の中世宗教音楽になりますが、今回の作品は1930年に書かれた2つの曲と、それに触発されて書かれた近藤先生の作品ということで興味深く、そして素晴らしい演奏を聴くことができました。
L.ヴィエルヌ作「オルガン交響曲第6番」は荘厳な大曲。
近藤岳作「オルガンと2本のトランペットのための『来たれ、創り主なる聖霊』」はトランペット2本も加わって爽やかさも感じる曲。
M.デュリュフレ作「前奏曲、アダージョと『来たれ、創り主なる聖霊』によるコラール変奏曲はより現代風な感じのある曲。
家に練習用のオルガンがあるので、私もたまに即興で弾いたりするのですが、音色はいろいろ変えられても、鍵盤のタッチで音の変化を付けることができないので、表現が難しい楽器だと思います。
それが、オルガンそのものの違いは置いといて、一流の音楽家が演奏すればこんなにも自由に表情豊かに弾けるものかと、感動を覚えたのでした。
終演後、楽屋にも訪問させてもらいましたが、シンフォニーホールの楽屋ってこんなに広いんだと驚きながら、難曲の演奏を成功させた清々しい充実感を漂わせる近藤先生にご挨拶したところで、コンサートは終了となりました。
◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆ ◆ ☆
「山下洋輔 スペシャルビッグバンド」
2014年7月17日(オーチャードホール)山下洋輔 (Piano)金子 健 (Bass)、高橋信之介 (Drums)
[Trumpet]エリック宮城、佐々木史郎、木幡光邦、高瀬龍一
[Trombone]松本 治(Conduct)、中川英二郎、片岡雄三、山城純子
[Saxophone]池田 篤、米田裕也、川嶋哲郎、竹野昌邦、小池 修
巨匠・山下さんも70歳を超え、いま聴いておかないと突然に…などと考えてしまったのは、氏のエッセイ「猫返し神社」で、次の猫を飼いたいけれど先に逝くかもしれないからもう…というようなことが書かれていたからでした。そんなタイミングでこのコンサートの開催を知ったので、平日にも拘わらずチケットを取ってしまった次第。
そうした年齢的な懸念はまったく感じさせない、20年前よりは少しパワーダウンしているかもしれませんが、熱くて激しい、華やかでダンディな、さらに円熟味も増した演奏を聴かせてくれました。
曲目はムソルグスキー「展覧会の絵」とドヴォルザーク「新世界より」、場所もクラシック中心に使われるオーチャードホールと、期待感も大きく膨らみます。どちらも、私の期待感などはるかに上回る、素晴らしい演奏でした。
「展覧会の絵」は組曲ですので、短い1曲ごとに表情が変わっていき、独奏者の個性も際だつところは、まさにジャズ向きと言えましょう。原曲を現代風に解釈し、時に猥雑に、時にセクシーに、でも全体として品位も保ちながらの大胆なアレンジで、とても楽しく聴かせてもらいました。
「新世界より」は、ドヴォルザークの交響曲第9番を、そのまま全4楽章で聴かせるもの。もちろん、原曲の主題をどこまでもジャズの魅力たっぷりにしたアレンジですが、洗練されていて、遊び心もあふれていて、音楽としての驚きと心地よさに満ちていて、まさしくシンフォニーならではの醍醐味を楽しませてくれました。
アンコールはジャズらしくソロを繋いだりして盛り上がり、終了です。
演奏の見事さは、山下さんのピアノによる盛り上げ、編曲し指揮しながらトロンボーンも吹く松本さんへの信頼感、個々のプレイヤーの高い感性と技術、すべてが相乗したものであったと思います。私にとっては馴染みのない出演者も多かったのですが、皆さん、世界の山下洋輔が集めただけの熟達した逸材揃いでありました。
テレビでは見たことのあるエリック宮城のトランペットは画面の中より何倍も刺激的でしたし、川嶋哲郎の吹くフルートも新鮮に響いたし、高橋信之介のドラムも全体を支える安定感が素晴らしかったし…と、枚挙に暇がありません。
全体を通して言えば、クラシックの名曲をジャズ風にアレンジしてみました、というようなものとはまったく次元の異なる、敬意を表しながらの挑戦であり、新しい世界の創造であったと、胸に刻んでおります。
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「聴いたら危険!ジャズ入門」田中啓文(アスキー新書)
ジャズ入門書も数多ありますが、お勧めできる本だと思います。以前に読んで感想を書いたマイルス至上主義の中山康樹氏「超ジャズ入門」とは180度違うのは、きっと筆者も頭においていたのではないでしょうか。フリージャズを楽しく聴こう!というコンセプトでのミュージシャン紹介本です。
また、副島輝人氏の「日本フリージャズ史」や「世界フリージャズ記」が現場に近い評論家が書いた貴重な記録書であったのに対して、こちらは作家がファンとしての視点から熱く想いを綴ったものであるので、入門書と専門書といった位置づけになるかと思います。少し嗜好性が違うところも、このジャンルの幅の広さで面白いところでした。
本書に登場するミュージシャンの4分の1は私も生で聴いたことがあり、最初に取り上げられたペーター・ブロッツマンもその一人ですが、いきなりブロッツマンで来たかと、気合いのほどが感じられました。あの破壊的に吹きまくるサックスは特に危険度が高いですから、本書のタイトルにピッタリです。他に取り上げている人たちも、王道あり、意外性ありで、筆者の趣味全開なところが小気味よく感じられました。
1人1枚ずつ、筆者お勧めアルバムが紹介されていますが、フリージャズはライヴに行くのが1番です、ライヴハウスなんてCD1〜2枚程度の料金ですので。すでに亡くなっていたり活動休止の人、来日を待てない人もいますが、今は動画サイトにたくさん映像もあるので、それを見漁るのも良し。気に入ったらCD購入、というのが良いかと思います。
フリーに限らず、ジャズは理屈でなくまず耳で聴き、できれば目で見て感じることが大切と、基本的な楽しみ方が書かれた、初心者からディープなファンまで面白く読める、ステキな本でありました。
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ジャズ入門書も数多ありますが、お勧めできる本だと思います。以前に読んで感想を書いたマイルス至上主義の中山康樹氏「超ジャズ入門」とは180度違うのは、きっと筆者も頭においていたのではないでしょうか。フリージャズを楽しく聴こう!というコンセプトでのミュージシャン紹介本です。
また、副島輝人氏の「日本フリージャズ史」や「世界フリージャズ記」が現場に近い評論家が書いた貴重な記録書であったのに対して、こちらは作家がファンとしての視点から熱く想いを綴ったものであるので、入門書と専門書といった位置づけになるかと思います。少し嗜好性が違うところも、このジャンルの幅の広さで面白いところでした。
本書に登場するミュージシャンの4分の1は私も生で聴いたことがあり、最初に取り上げられたペーター・ブロッツマンもその一人ですが、いきなりブロッツマンで来たかと、気合いのほどが感じられました。あの破壊的に吹きまくるサックスは特に危険度が高いですから、本書のタイトルにピッタリです。他に取り上げている人たちも、王道あり、意外性ありで、筆者の趣味全開なところが小気味よく感じられました。
1人1枚ずつ、筆者お勧めアルバムが紹介されていますが、フリージャズはライヴに行くのが1番です、ライヴハウスなんてCD1〜2枚程度の料金ですので。すでに亡くなっていたり活動休止の人、来日を待てない人もいますが、今は動画サイトにたくさん映像もあるので、それを見漁るのも良し。気に入ったらCD購入、というのが良いかと思います。
フリーに限らず、ジャズは理屈でなくまず耳で聴き、できれば目で見て感じることが大切と、基本的な楽しみ方が書かれた、初心者からディープなファンまで面白く読める、ステキな本でありました。
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性別:
男性
趣味:
絵・音・文・歩
自己紹介:
長年、同人誌で創作漫画を発表してきましたが、本当は小説が主な表現手段。職業はコピーライターで、趣味は楽器を鳴らすことなど。
下記に作品等アップ中です。よろしくお願いします!
■マンガ作品 COMEE
http://www.comee.jp/userinfo.php?userid=1142
■イラスト作品 pixiv
https://www.pixiv.net/users/31011494
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下記に作品等アップ中です。よろしくお願いします!
■マンガ作品 COMEE
http://www.comee.jp/userinfo.php?userid=1142
■イラスト作品 pixiv
https://www.pixiv.net/users/31011494
■音楽作品 YouTube
https://www.youtube.com/channel/UChawsZUdPAQh-g4WeYvkhcA
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